目次
外壁のカバー工法とは
(画像引用:ニチハ株式会社公式サイト)
外壁のカバー工法とは、既存の外壁に新しい外壁材を直接重ねて取り付けるリフォーム方法のことをいいます。また、既存外壁の撤去が不要なため工期が短く、手軽に外壁をメンテナンスできるという特徴があります。
外壁のカバー工法は、特に古くなった外壁のリフレッシュや断熱性能の向上を目指す住宅にとって、有効なリフォーム方法と言えるでしょう。このように、外壁のカバー工法は、効率的に外壁を改修し、建物の寿命を延ばすための手段として広く利用されています。
外壁のカバー工法のメリット
外壁のカバー工法にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、外壁のカバー工法におけるメリットについて解説します。
外壁のカバー工法のメリットは、以下のとおりです。
- 将来のメンテナンスコストを抑えられる
- 工期が短い
- 外壁の断熱性や防音性が向上する
これらのメリットを考慮すると、外壁リフォームを検討する際の有力な選択肢となるでしょう。
【メリット1】将来のメンテナンスコストを抑えられる
外壁のカバー工法は、既存の外壁を撤去せずに新しい外壁材を重ねるため、工事全体のコストを大幅に削減できます。外壁を取り外す作業やその廃材処理にかかる費用を省けるため、トータルコストが抑えられます。
また、重ねる外壁材によっては将来的なメンテナンスサイクルが長くなるため、長期的なコスト削減が期待できます。これらのことから、結果的に費用対効果の高い外壁リフォームが可能になります。
【メリット2】工期が短い
外壁のカバー工法は、既存の外壁をそのまま活用するため、外壁を一から施工する必要がありません。このため、工事の期間が短く済みます。
特に、既存外壁の撤去や廃材処理が不要なため、従来の外壁リフォームと比べて迅速に作業が進みます。これにより、建物の住人への生活の影響を最小限に抑えつつ、短期間で美観や機能性の向上が実現します。
【メリット3】外壁の断熱性や防音性が向上する
カバー工法では、新しい外壁材を既存の外壁の上に重ねるため、建物の断熱性能や防音性能が向上します。新しい外壁材が追加の断熱層や防音層として機能するため、外部の気温変化や騒音をより効果的に遮断できます。
これにより、冬は暖かく、夏は涼しい快適な室内環境を保つことができ、さらに外部からの騒音も軽減されます。このように、住環境の改善にも寄与する点がカバー工法の大きなメリットです。
外壁のカバー工法のデメリット
外壁のカバー工法には、コストや工期の面で多くのメリットがありますが、耐震性の低下や施工後のメンテナンスの難しさといったデメリットも存在します。そこでここでは、外壁のカバー工法におけるデメリットについて解説します。
外壁のカバー工法におけるデメリットは、以下のとおりです。
- 建物の耐震性が下がる
- 施工後に外壁の下地補修ができない
これらの点を考慮し、専門家と相談しながら適切な判断を下すことが重要です。
【デメリット1】建物の耐震性が下がる
外壁のカバー工法では、既存の外壁に新しい外壁材を重ねることで、建物の重量が増加します。この重量増加は、建物の耐震性に影響を及ぼす可能性があります。
特に、耐震設計が古い建物や、もともと耐震性に不安がある建物の場合、重量増加により耐震性能が低下し、地震時の揺れに対する耐性が弱まるリスクがあります。そのため、カバー工法を採用する前に、専門家による耐震診断を受け、必要に応じて補強工事を行うことが重要です。
【デメリット2】施工後に外壁の下地補修ができない
カバー工法では、新しい外壁材が既存の外壁の上に直接取り付けられるため、施工後に既存外壁の下地にアクセスすることが困難になります。もし、既存の外壁に見えない損傷や劣化があった場合、カバー工法ではその修理が難しく、問題が残ったままになる可能性があります。
これは将来的なトラブルの原因となることがあり、外壁内部のカビや腐食、シロアリの被害が発見しにくくなるリスクも含まれます。施工前に徹底的な調査と補修を行うことが不可欠です。
外壁のカバー工法と塗装のおもな違い
外壁のカバー工法と外壁塗装は、それぞれに異なる特徴とメリットがあります。たとえば、耐久性やメンテナンスサイクルの長さ、断熱性や防音性の効果を重視する場合は、カバー工法が適しています。一方で、比較的手軽に外観をリフレッシュしたい場合や、予算を抑えたい場合は外壁塗装が有効です。
そこでここでは、
- 耐久性
- メンテナンスサイクル
- リフォーム後の効果
の3つの視点から、外壁のカバー工法と塗装のちがいについて見ていきましょう。
【違い1】耐久性
外壁のカバー工法では、新しい外壁材を既存の外壁に重ねて取り付けるため、耐久性が大幅に向上します。使用する外壁材(例えば、金属サイディングや樹脂サイディング)は耐久性が高く、20年以上の耐用年数が期待できます。これにより、建物全体の耐久性が向上し、長期間にわたって外壁の劣化を防ぐことができます。
一方の外壁塗装は、既存の外壁に塗料を塗布することで表面を保護しますが、塗料自体の耐久性はカバー工法ほど高くありません。一般的に、塗装の耐用年数は10年から15年程度で、塗料の種類や施工方法によって変動します。塗膜が劣化すると、再塗装が必要になります。
【違い2】メンテナンスサイクル
外壁のカバー工法は耐久性が高いため、メンテナンスのサイクルが長くなります。一度施工すれば、次のメンテナンスまでの期間は20年以上と長く、頻繁な手入れが不要です。また、新しい外壁材はメンテナンスが比較的簡単で、軽度の汚れやダメージは簡単に対処できます。
一方の外壁塗装は、塗料にもよりますが一般的な耐久年数が10年から15年程度であるため、定期的な再塗装が必要です。塗装が劣化すると、防水性や美観が損なわれるため、10年程度ごとに再塗装を行う必要があります。このため、長期的にはメンテナンスコストが増加する可能性があります。
【違い3】リフォーム後の効果
外壁のカバー工法は、断熱性や防音性の向上といった効果があります。新しい外壁材が追加の断熱層や防音層として機能するため、冬は暖かく、夏は涼しい快適な室内環境を保つことができます。また、外部からの騒音を軽減する効果もあり、住環境全体の改善が期待できます。
一方の外壁塗装はおもに外観の美しさを保つためのもので、防水性や防カビ効果も期待できますが、断熱性や防音性の向上には限界があります。塗料の種類によっては、遮熱効果や防汚効果を持つものもありますが、カバー工法ほどの効果は得られません。
外壁のカバー工法に適したメンテナンスのタイミング
外壁のカバー工法に適したメンテナンスのタイミングを見極めることは、建物の寿命を延ばし、住環境を快適に保つために重要な役割を果たします。そこでここでは、外壁のカバー工法に適したメンテナンスのタイミングについて解説します。
外壁のカバー工法に適したメンテナンスのタイミングは、以下のとおりです。
- 外壁に劣化が確認されたとき
- 業者による定期点検で問題が発見されたとき
- 外壁の断熱性や防音性を向上させたいとき
- 建物の外観を一新させたいとき
それぞれくわしく見ていきましょう。
【1】外壁に劣化が確認されたとき
外壁の表面にひび割れや塗装の剥がれ、カビや藻の発生などの劣化が見られる場合、カバー工法を検討するべきです。これらの劣化は、外壁の防水性能や断熱性能が低下している兆候であり、放置すると内部構造にダメージが広がる可能性があります。
外壁の劣化が進行する前に、早めにカバー工法を行うことで、建物の保護と性能向上が図れます。
【2】業者による定期点検で問題が発見されたとき
外壁の定期点検は、住宅のメンテナンスにおいて重要な役割を果たします。専門業者による点検で、目視では確認しづらい外壁の問題が発見された場合、カバー工法を検討するタイミングといえます。定期点検は、5年から10年ごとに行うのが一般的です。
この際、外壁の劣化状況を詳細にチェックし、必要に応じて適切なメンテナンスを実施することが建物を長持ちさせる秘訣と言えるでしょう。
【3】外壁の断熱性や防音性を向上させたいとき
外壁の断熱性や防音性を向上させたい場合も、カバー工法の実施を検討する良いタイミングです。特に、エネルギー効率の向上や快適な住環境の実現を目指す際には、新しい外壁材を重ねることで断熱性能や防音性能を高めることができます。
このような性能向上のニーズが出てきたタイミングでカバー工法を行うことで、住宅の快適性を大きく向上させることができます。
【4】建物の外観を一新させたいとき
外観の美観を保つことも住宅の価値を維持するためには重要です。外壁の色あせや汚れが目立ち、外観を一新したいと感じたときもカバー工法を実施するタイミングです。
新しい外壁材で外観をリフレッシュすることで、住宅の見た目が大きく改善され、街並みにも美しく調和するようになります。
外壁のカバー工法で使用されるおもな外壁材
外壁のカバー工法では、既存外壁やリフォームの目的などに応じてさまざまな種類の外壁材が採用されます。そこでここでは、外壁のカバー工法で使用されるおもな外壁材について、それぞれ特徴を解説します。
外壁気のカバー工法で使用されるおもな外壁材は、以下のとおりです。
- 金属系サイディング
- 樹脂系サイディング
- 窯業系サイディング
- 木質系サイディング
それでは、各外壁材についてメリット・デメリットを見ていきましょう。
【外壁材1】金属系サイディング
金属サイディングは、アルミニウムやスチールを使用した外壁材です。この材質は軽量でありながら耐久性が高く、耐候性や防火性にも優れています。
金属系サイディングのメリット
金属系サイディングのメリットは、以下のとおりです。
- 軽量で建物への負担が少ない
- 耐久性が高く、腐食やサビに強い
- 色やデザインのバリエーションが豊富で、美観性が高い
- メンテナンスが容易で、清掃や塗装の頻度が低い
金属系サイディングのデメリット
金属系サイディングのデメリットは、以下のとおりです。
- 傷がつきやすい場合がある
- 防音性能は他の外壁材に比べて劣ることがある
【外壁材2】樹脂系サイディング
樹脂サイディングは、主に塩化ビニル樹脂(PVC)を使用した外壁材です。この材質は耐候性に優れ、さまざまな環境条件に対応できます。
樹脂系サイディングのメリット
樹脂系サイディングのメリットは、以下のとおりです。
- 耐候性が高く、紫外線や雨風に強い
- カラーバリエーションが豊富で、色あせしにくい
- メンテナンスが容易で、汚れが付きにくく、洗浄しやすい
- 断熱性能が比較的高い
樹脂系サイディングのデメリット
樹脂系サイディングのデメリットは、以下のとおりです。
- 強度が金属サイディングに比べて劣る
- 高温に弱く、変形する可能性がある
【外壁材3】窯業系サイディング
窯業系サイディングは、セメントと繊維質材料を混ぜ合わせて製造される外壁材です。見た目は木材や石材に似せたものが多く、デザイン性に優れています。
窯業系サイディングのメリット
窯業系サイディングのメリットは、以下のとおりです。
- デザインの自由度が高く、さまざまな外観に対応できる
- 耐火性に優れている
- 断熱性能や防音性能が比較的高い
窯業系サイディングのデメリット
窯業系サイディングのデメリットは、以下のとおりです。
- ほかの外壁材に比べて重い
- 定期的な再塗装が必要で、メンテナンスコストがかかる
【外壁材4】木質系サイディング
木質系サイディングは、木材を使用した外壁材で、自然な風合いが特徴です。なかでも、合板や集成材を使用したものが多く見られます。
木質系サイディングのメリット
木質系サイディングのメリットは、以下のとおりです。
- 自然な風合いで、温かみのある外観を実現できる
- 加工が容易で、デザインの自由度が高い
木質系サイディングのデメリット
木質系サイディングのデメリットは、以下のとおりです。
- 定期的なメンテナンスが必要で、塗装や防腐処理が求められる
- 火災に弱く、耐火性能が低い
- 湿気に弱く、腐食やシロアリの被害を受けやすい
外壁のカバー工法における費用相場
外壁のカバー工法における費用は、使用する外壁材の種類や建物の条件などによって異なります。ここでは、外壁のカバー工法で使用される代表的な外壁材の種類ごとに、費用相場をまとめました。
外壁のカバー工法における費用相場は、以下のとおりです。
外壁材の種類 | 費用相場(1㎡あたり) |
---|---|
金属系サイディング | 6,000~10,000円 |
樹脂系サイディング | 4,000~8,000円 |
窯業系サイディング | 5,000~9,000円 |
木質系サイディング | 7,000~12,000円 |
各外壁材の特性や費用を考慮し、適切な材料を選ぶことが重要です。施工業者に見積もりを依頼し、詳細な費用を確認することで、予算に合った最適なリフォーム計画を立てることができます。
なお、上記の費用相場には仮設足場や工事諸費用、産業廃棄物処理費などは含まれておりません。また、建物の大きさや立地条件などによっても金額が変動するため、検討する際はその点に注意しましょう。
【まとめ】外壁のカバー工法は専門業者に相談しよう
今回は、外壁のカバー工法のメリット・デメリットや費用相場、外壁塗装との違いなどについて解説しました。
外壁のカバー工法とは、既存の外壁に新しい外壁材を直接重ねて取り付けるリフォーム方法のことをいいます。一時的には外壁塗装に比べてコストがかかりますが、メンテナンスサイクルが長くなるため長期的なメンテナンスコストを削減できるなど、多くのメリットがあります。
しかし、外壁のカバー工法は一度施工してしまうとその後既存外壁のメンテナンスができないなどデメリットもあるため、検討の際は必ず専門業者に相談しましょう。
外壁のカバー工法を相談するなら、ペイントGOを活用するのがおすすめです。ペイントGOなら、入力にかかる時間はたったの20秒。個人情報を入力しなくても厳しい審査基準をクリアした優良業者を簡単に検索できます。
信頼できる業者を探したいなら、ぜひペイントGOをチェックしましょう。