塗装が必要な金属屋根の種類
まず、お住まいの金属屋根について、塗装の必要性を確認しましょう。塗装が必要な金属屋根の種類は、主に以下の2種類です。
- ガルバリウム鋼板
- トタン
それぞれの屋根材について詳しく見てみましょう。
①ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、鋼鉄に亜鉛やアルミニウムなどをめっきしたものです。ガルバリウムは非常に高い耐食性を誇り、特に屋根材として広く利用されています。屋根としての人気の理由のひとつは「耐久性」にありますが、長期間にわたって耐候性を保つためには、定期的な塗装が欠かせません。
塗装が行われない場合、外部環境からの影響や経年劣化により、塗膜が剥がれたり、金属表面に錆が発生したりする可能性があります。したがって、屋根の耐久性や美観が損なわれることを防ぐために、定期的な塗装メンテナンスが重要です。
②トタン
トタンは亜鉛メッキを施した鉄鋼板のことで、その耐食性により広く屋根材として利用されています。亜鉛メッキは金属表面を保護し、酸化や腐食から守る効果があるため、比較的長期間、塗装なしで使用することができます。
ただし、外部の環境条件や塗装の状態によっては、定期的な塗装が推奨されます。たとえば、強い紫外線や海岸近くの環境では、塗装が劣化しやすくなる場合があります。また、塗装が剥がれたり傷んだりすることで、トタンの表面が直接風雨の影響を受けやすくなることも考えられます。そのため、トタン屋根の耐久性と美観を保つためには、定期的な塗装メンテナンスが欠かせません。
金属屋根の劣化症状
金属屋根は、耐久性の高い屋根材として知られていますが、経年劣化によってさまざまな症状が現れます。以下に、代表的な4つの劣化症状を解説します。
症状①色褪せ
色褪せは、金属屋根が長期間にわたって紫外線や気候条件の影響を受けることで、屋根の表面が本来の鮮やかな色合いを失い、くすんで見える現象です。特に強い紫外線にさらされる場合や、気候が変動する環境では、色が褪せやすくなります。色の変化は、屋根の美観に影響を与えるだけでなく、屋根材の表面における保護機能も低下させる可能性があります。
また、色褪せが進行すると、屋根の素材がより早期に劣化するおそれがあり、その結果、耐久性や保護能力が低下することが考えられます。
症状②浮き
浮きとは、屋根材の下地や塗装が表面から浮き上がる現象であり、屋根材と下地の密着が不十分な状態で生じます。この問題が発生すると、屋根の表面が均一でなくなり、耐久性や保護性能が低下するおそれがあります。
たとえば、屋根材と下地の間に隙間ができることで、雨水や湿気が侵入しやすくなり、屋根材や下地の劣化を促進するかもしれません。また、浮きがあると風の影響で屋根材が揺れたり、剥がれたりする可能性もあります。
症状③錆
錆は、金属屋根が酸素と水との反応によって生じる鉄の酸化物の形成を指します。特に亜鉛メッキやガルバリウムで表面処理された屋根材であっても、長期間にわたる風雨により、屋根の表面の保護被覆が剥がれることがあります。被覆の剥がれが起こると、金属部分が直接大気中の酸素と水分と接触し、錆の発生が促進されます。
錆は屋根の外観を損なうだけでなく、金属の耐久性を低下させることから構造的な強度や機能性にも影響を与えるかもしれません。特に錆によって生じる穴や腐食は、屋根の防水性能を損ない、内部に水漏れを引き起こすおそれがあります。
症状④塗膜の剥がれ
塗膜の剥がれとは、屋根に施された塗装が時間の経過や外部要因の影響によって、屋根表面から剥がれ落ちる現象を指します。塗膜の剥がれによって、屋根の金属部分が直接外部の要因から影響を受けやすくなります。
たとえば紫外線や雨水、風などが塗膜の欠損部分に直接作用すると、屋根材の表面が傷みやすくなります。その結果、屋根本来の保護機能が低下し、金属部分に錆が発生するかもしれません。錆が発生すると、金属の耐久性が低下し、屋根の強度や耐候性が損なわれる可能性があります。また、塗膜の剥がれが進行すると、屋根全体の美観も損なわれるでしょう。
金属屋根の塗装方法
金属屋根は放置すると、さまざまな劣化症状が生じます。したがって、適切な時期に塗装を施す必要があります。
ここでは、金属屋根の塗装方法について詳しくみていきましょう。金属屋根の塗装は、一般的に以下6つのステップで行われます。
- 足場の設置
- 高圧洗浄
- 下地処理
- 錆止め塗装
- 中塗り・上塗り
- 足場の解体
各ステップを詳しく解説していきます。
ステップ①足場の設置
高所での作業を安全に行うためには、まず建物の周りに足場を設置する必要があります。足場は、作業中の転倒や落下を防ぐための重要なものです。設置は専門業者に依頼し、地盤の安定性を確認した上で、しっかりとした基盤の上に組み立てます。手すりや作業床、安全ネットを適切に配置し、作業員が安全に移動できるようにします。
ステップ②高圧洗浄
次に、屋根表面の汚れや古い塗膜、錆を除去するために高圧洗浄を行います。高圧洗浄機を使用して、水圧でしっかりと汚れを洗い流します。この作業によって、塗装の密着性を高めるための下地が整えられ、特に苔やカビが生えている場合は、これらも丁寧に除去します。
ステップ③下地処理
高圧洗浄が完了したら、屋根表面を乾燥させ、下地処理を行います。まず、錆が発生している部分をワイヤーブラシやサンドペーパーで削り取ります。次に、屋根表面の凹凸を補修し、滑らかにします。下地処理は、塗装の仕上がりに大きく影響するため、丁寧に行うことが欠かせません。
ステップ④錆止め塗装
下地処理が完了したら、錆止め塗料を塗布します。錆止め塗料は、金属屋根の表面に錆が再発するのを防ぐための重要な役割を果たします。全体をしっかりと保護するために均一に塗布し、乾燥時間を十分にとり、次の工程に進みます。
ステップ⑤中塗り・上塗り
錆止め塗装が乾燥したら、中塗りと上塗りを行います。中塗りは、下地と上塗りの間をつなぐ役割を持ち、塗料の密着性を高めます。上塗りは、最終的な仕上げ塗装であり、美観を整え、耐久性を持たせます。塗料は適切な量を使用し、ムラなく均一に塗布することが重要です。中塗りと上塗りの間には、乾燥時間をしっかりと確保します。
ステップ⑥足場の解体
塗装が完全に乾燥し、作業が完了したら足場を解体します。安全に注意しながら足場の部材をひとつひとつ丁寧に取り外し、元の状態に戻します。最後に、周囲の片付けを行い、全体の作業を終了します。
金属屋根における塗装の費用相場
金属屋根の塗装を検討する際、気になるのは「費用」ではないでしょうか。金属屋根の塗装費用は、一般的な塗り面積である80㎡で50万円前後といわれています。
なお、塗装費用は以下の要因で変動します。
- 屋根の面積
- 使用する塗料
- 屋根の劣化状態
- 施工業者
- 施工環境(付帯工事の有無)
したがって、塗装工事を依頼する際は、複数の業者に見積もりを依頼し、価格を比較することが重要です。
金属屋根における塗装の注意点
金属屋根の塗装は、美観を維持するだけでなく、錆から屋根材を守る重要な役割を果たします。しかし、誤った施工方法で塗装を行うと、かえって屋根材を傷めたり、塗装の効果を十分に得られなかったりする可能性があります。
以下に、金属屋根の塗装における3つの注意点を紹介します。
- 下地処理を怠らない
- 錆止め効果のある塗料を使用する
- 屋根を傷つけないようにする
ひとつずつ見てみましょう。
注意点①下地処理を怠らない
塗装を行う前に、必ず高圧洗浄で屋根表面の汚れやコケなどを徹底的に洗い流します。また、ケレンと呼ばれる作業で、塗膜の剥がれや錆などを取り除き、塗装面の凹凸をなくして滑らかな状態にします。
下地処理を怠ると、塗料の密着性が悪くなり、剥がれやすくなったり、錆が発生しやすくなったりする可能性があります。
注意点②錆止め効果のある塗料を使用する
金属屋根は、経年劣化によって錆が発生しやすくなります。そのため、塗装には錆止め効果のある塗料を使用しなければなりません。錆止め塗料は錆の進行を抑制し、再発を防ぐ効果があります。もし錆が発生している場合は、錆止め塗料を塗る前に、しっかりと研磨して錆を落とすことが重要です。
注意点③屋根を傷つけないようにする
塗装作業を行う際は、屋根を傷つけないように注意を払わなければなりません。足場を設置する際や、高圧洗浄を行う際などに、屋根材を傷つけてしまうリスクがあります。また、塗装に使用する道具も、屋根材を傷つけないものを選ぶと安心です。
まとめ
今回は、金属屋根の塗装方法や費用について詳しく解説しました。金属屋根の中でも、ガルバリウム鋼板やトタンは、適切な時期に塗装することが欠かせません。塗装を怠ると、塗膜の剥がれや錆の発生といった劣化が生じてしまいます。
ただし、正しい塗装作業のステップを踏まなければ、適切なメンテナンスとは言い切れません。特に、塗装作業の中でも「丁寧な下地処理」と「効果のある錆止め塗装」が重要です。
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