塗装が必要な屋根とは?
「うちの屋根は塗装が必要なの?」という疑問を持っている方が多いのではないでしょうか。ここでは、塗装によるメンテナンスが必要な屋根材を紹介します。塗装が必要な屋根材は、以下のとおりです。
- スレート屋根
- セメント瓦
- トタン屋根
- ガルバリウム鋼板
ひとつずつ詳しく見てみましょう。
①スレート屋根
スレート屋根とは、厚さが約5mmほどの薄い板状の屋根材のことを言い、その素材は主にセメントから構成されています。スレート屋根は耐久性が高く、スタイリッシュなデザインが特徴であるため、近年では需要が増加しています。
一方で、セメントが主成分であるため、塗膜の保護が必要とされます。なお、スレート屋根においては、屋根の頂点に位置する棟に金属製の素材が使用されており、これは一般的に棟板金として知られています。
②セメント瓦
セメント瓦とは、セメントと川砂を混ぜて製造された屋根瓦を指し、その耐用年数は通常30〜40年ほどで優れた耐久性を有しています。かつてはさまざまな形状があり、手頃な価格で入手できていたため、多くの住宅の屋根に広く利用されていました。しかし最近では、低価格かつ高い耐久性を持つガルバリウム鋼板などの新しい屋根材が開発されたことから、セメント瓦の新規使用は減少しています。
③トタン屋根
トタン屋根は、亜鉛めっきが施された薄い合板で構成される屋根であり、住宅だけでなく、倉庫や工場などでも幅広く利用されています。素材は軽量であり、建物に対する負担が軽減され、また施工費用が低いといった利点があります。
ただし、逆にサビが発生しやすいため、塗装によるメンテナンスは欠かせません。また、遮音性や断熱性が低いといった欠点も存在します。
④ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板とは、亜鉛に加えてアルミとシリコンがコーティングされた素材のことです。ガルバリウム鋼板の耐用年数は、一般的に25〜35年程度です。価格はスレートよりわずかに高いですが、その耐用年数には5〜10年ほどの差があります。
ガルバリウム鋼板は薄くて軽量であり、その利点には耐久性がある反面、ひび割れしやすいという欠点もあります。したがって、定期的な塗装メンテナンスによって状態を維持することが欠かせません。
屋根塗装の費用相場と内訳
屋根塗装を検討するにあたり、「費用面が心配」という方も多いでしょう。結論から言うと、屋根塗装の費用相場は「40万円〜」です。ただし、屋根塗装の費用は屋根の種類や面積、使用する材料などによって大きく異なります。
したがって、ここでは屋根塗装の費用内訳について詳しく紹介します。あらかじめ費用の内訳を知っておくことで、どれくらいのコストがかかるのかを把握しやすくなるでしょう。屋根塗装の費用内訳は、次の4つに大別されます。
- 塗料・材料代
- 人件費
- 足場代
- 諸経費
では、ひとつずつ見てみましょう。
①塗料・材料代
屋根塗装を行う際、以下の材料が必要です。
- 塗料
- 養生シート
- 飛散防止ネット
- シーリング材
材料の費用は、屋根の面積や状態によって必要な量や種類が異なります。なかでも、塗料に関しては選ぶものによって費用が大きく異なります。塗料ごとの費用相場は、次のとおりです。
塗料 | 費用(1㎡あたり) |
---|---|
ウレタン | 1,800〜2,000円 |
シリコン | 2,300〜3,500円 |
フッ素 | 3,000〜5,000円 |
なお、安価な塗料は耐用年数が短いため、塗り替え頻度が多くなります。その結果、メンテナンスにかかるトータルコストが割高になるので要注意です。
②人件費
屋根塗装では、工事にかかわるすべての労働者に人件費が発生します。たとえば、下記のような作業によって、人件費が発生しています。
飛散防止ネット張り(1㎡あたり) | 100〜200円 |
---|---|
高圧洗浄(1㎡あたり) | 100〜300円 |
養生(1㎡あたり) | 250〜400円 |
下地補修(1㎡あたり) | 1,700〜2,500円 |
シーリング補修(1㎡あたり) | 500〜1,500円 |
なお、上記の費用は依頼する業者や地域、屋根の状態によって変わるので、目安として参考にしてください。
③足場代
屋根塗装では、作業の安全を最優先するために足場の設置が欠かせません。足場設置における費用の相場は、次のとおりです。
足場代(1㎡あたり) | 600〜800円 |
---|---|
飛散防止ネット(1㎡あたり) | 100〜200円 |
なお、足場代は屋根や建物の面積によって大きく変動するため、依頼する業者からあらかじめ見積もりを取っておくと安心です。
④諸経費
諸費用は、屋根塗装を行う際の「運営費」として必要なコストです。たとえば、以下のような費用が諸経費として含まれます。
- 業者が現場に向かうまでの交通費
- 工事開始前の事務手数料
- 工事で発生する廃材処理費
- 業者の利益
諸費用は全体の費用の約30%を占めるケースが多く、それ以上多い場合は利益を上乗せされている可能性があります。したがって、見積もりを取得する際は、諸経費の割合や内訳を細かくチェックしておきましょう。
屋根塗装の費用が変動する要因
前述のとおり、屋根塗装の費用は様々な要因によって変動します。では、具体的にどのような要因によって変動するのでしょうか。挙げられる要因は、次の5つです。
- 屋根の面積や数
- 屋根の勾配
- 屋根の種類
- 屋根の劣化状態
- 使用する塗料
ひとつずつ簡単に解説します。
①屋根の面積や数
屋根の面積や数は、費用に影響を及ぼします。まず屋根の広さが拡大すると、それに伴って必要な塗料の量も増加し、作業に要する時間も増えることから、全体的な塗装費用が上昇します。逆に、屋根の広さが狭まれば、材料や作業にかかるコストは相対的に低くなるでしょう。
同様に、屋根の数が複数ある場合も、それぞれの屋根に対する塗料の必要量や作業時間が加算され、全体的な費用が増加することが予想されます。一方で、単一の屋根の場合は、その分塗料や作業にかかるコストが低減する可能性があります。
②屋根の勾配
屋根の勾配に関しても、屋根塗装の費用変動において重要な要素です。その理由は、屋根勾配の急傾斜度が増すにつれ、作業が複雑化し、足場の組み立てや足元の安全確保において追加の労力が必要となるからです。急勾配の屋根では、作業員がより注意深く動かなければならず、特殊な足場や安全対策が必要となることがあります。また、急傾斜の屋根に対応した足場や安全ネットの設置、作業員の安全教育などが含まれます。
このような追加の要因は、作業の複雑さや労力の増大を意味し、その結果、屋根塗装に要する全体の費用が増加することを意味します。逆に、勾配が緩やかな屋根の場合、足場の組み立てや作業の安全確保に必要な労力が相対的に低減するため、費用が抑えられることが予想されます。
③屋根の種類
屋根塗装は、屋根の材質に応じて異なる塗料や施工方法が必要になります。たとえば、トタン屋根は亜鉛めっきが施された薄い合板で構成されているため塗装が必要であり、その種類や色によっても塗料の選択が変わります。また、ガルバリウム鋼板はアルミニウム、亜鉛、シリコンなどが含まれており、耐久性に優れていますが、その特性に基づいて特殊な塗料が使用されることがあります。
各素材は異なる特性やメンテナンスの必要性を持っており、それぞれに対応するためには適切な塗料と施工方法が必要です。したがって、屋根の種類が変わることで、必要な塗料の種類や量、作業の手順が変動し、それが結果的に屋根塗装の費用に影響を与えることが考えられます。
④屋根の劣化状態
屋根の劣化状態も、費用に大きく影響します。もし屋根の劣化が進行している場合、適切な補修が必要になるため、追加費用として上乗せされる形となります。
また、劣化の程度や範囲に応じて、修復に必要な作業量や使用する材料の種類が変わります。たとえば、一部の屋根を補修するだけで済む場合もあれば、屋根全体を取り替えなければならない場合もあります。それぞれの状況に応じて、適切な材料や技術を用いた作業が求められ、それらの要因が費用に直結します。
さらに、劣化が著しく進行している場合、周辺の構造物や防水層への悪影響が考えられます。著しい劣化が見られた際は、屋根の補修に加えて関連する領域も確認・修復する必要が生じるでしょう。その結果、必要な作業量が増え、トータルコストも割高になるため注意が必要です。
⑤使用する塗料
屋根塗装において、使用する塗料の選択も費用に影響を与えます。前述のとおり、塗料にはさまざまな種類が存在し、それぞれが異なる特性や耐久性を持っています。たとえば、高品質な塗料は、耐久性や防水性に優れており、屋根を長期間保護することが期待されます。一方で、高品質な塗料は価格が高くなり、全体の塗装費用を押し上げることになります。
また、知名度の高いブランドや信頼性のあるメーカーの塗料は、一般的に品質が保証されているため、その分価格が高めに設定されていることがあります。対照的に、一般的なブランドや市場で広く利用されている塗料は、相対的に手頃な価格で提供されますが、品質や耐久性には注意が必要です。
このように、使用する塗料の選択は塗装費用に直結しますが、適切な塗料を選ぶことで、長期的なメンテナンスコストを抑えつつ、屋根の美観や保護機能を確保することが可能です。
屋根塗装の費用を安く抑える方法
屋根塗装では、ある程度のまとまった費用が発生します。そのため「少しでも費用を安く抑えたい」と考える方も多いのではないでしょうか。ここでは、屋根塗装の費用を効果的に安く抑える方法を紹介します。具体的な方法は、次の4つです。
- 相見積もりを取る
- 助成金や補助金を利用する
- 火災保険を利用する
- 外壁塗装を同時行う
それぞれの方法を詳しく見てみましょう。
①相見積もりを取る
相見積もりを取るとは、屋根塗装を検討する際に、複数の塗装業者に対して見積もりを依頼し、それらを比較検討することです。複数の業者から見積もりを取ることで、各業者が提供するサービス内容や価格を明確に理解できます。また、相見積もりを行うことで競争が生まれ、業者同士が価格や提供条件で競り合うことが期待できます。結果として、適切な価格と品質のバランスを見つけることができ、コストを最適化することが可能です。
一方、見積もりを取ることで、予算内で最良の選択を行うだけでなく、信頼性や実績なども見極めることができます。単なる価格だけでなく、信頼性や施工実績といった要素も考慮に入れ、総合的な判断を下せるでしょう。
②助成金や補助金を利用する
地域や自治体が提供する補助金や助成金を申請・受け取ることで、費用を削減するのもひとつです。たとえば、地域や自治体が環境にやさしい塗料の使用やエネルギー効率向上を図るための工事に対し、助成金や補助金を提供することがあります。
補助金や助成金が提供されれば、その一部を地域や自治体が負担してくれるため、個々の負担が軽減されるとともに、計画を実施しやすくなるでしょう。
③火災保険を利用する
屋根に関する損害が火災保険の対象となる場合、その損害を補償するために火災保険を活用し、修理や補修工事にかかる費用を軽減することが可能です。火災保険は、屋根に限らず様々な損害に対応するため、火災だけでなく風災や雹災などの自然災害や、落雷や木の倒壊などの異常事態による損害も対象となることもあります。
仮に被災した場合、火災保険から支払われる保険金を活用することで、屋根に対する修理や補修工事に必要な費用を一部または全額カバーすることができます。
なお、被害が発生した際にスムーズな補償を受けるためには、損害が生じた直後に保険会社への連絡や申請手続きを迅速に行うことが重要です。
④外壁塗装を同時に行う
屋根塗装を行う際、建物の外部を保護する重要なメンテナンス作業である外壁塗装を同時に行うのもひとつの方法です。外壁と屋根の塗装工事を同時に行うことで、施工効率が向上します。具体的には、同時に作業を進めることで、作業員や資材の移動が最小限に抑えられ、それに伴う時間や労力が節約されます。
また、同時に外壁と屋根の塗装を行う場合、大規模な作業量に対して割引が適用されることもあります。見積もり全体に適用される割引は、通常よりもコストを削減する効果が期待できるでしょう。
屋根塗装の業者を選ぶポイント
失敗しない屋根塗装は、業者選びが非常に肝心です。業者選びに失敗してしまうと、施工不良や金銭トラブルなどの問題に直面してしまうかもしれません。そのような事態を避けるためにも、業者を選ぶポイントをしっかり理解しておくことが重要です。
屋根塗装の業者を選ぶときは、次の3つをチェックしておきましょう。
- 施工実績が豊富
- 見積書の説明が丁寧
- アフターフォローがある
ひとつずつ解説します。
①施工実績が豊富
業者の選定において、施工実績が重要な指標となります。豊富な実績がある業者は、さまざまな事例に対応できるスキルや経験を持っている可能性が高く、品質の高い仕上がりを期待できます。また、業者の「信頼度」を見極める重要な判断材料にもなるでしょう。
②見積書の説明が丁寧
良い業者は、見積書を作成する際にその内容を丁寧に説明してくれます。また、見積書が分かりやすく、具体的な項目や費用が詳細に記載されているかどうかも重要です。透明性があり、納得いく説明がある場合、信頼性が高い業者であると判断しましょう。
③アフターフォローがある
良い業者は、工事完了後もアフターフォローを提供しています。塗装が終わった後にも問題が生じた場合や、保証期間内に何かトラブルがあった際に、迅速かつ適切に対応してくれる業者を選ぶことは重要です。ちなみに、アフターサービスが充実している業者は、顧客満足度が高い傾向にあります。
まとめ
今回は、塗装が必要な屋根材や、屋根塗装の費用相場について解説しました。あなたの家の屋根が塗装を必要とする場合、塗装にかかる費用の予算計画を立てておくと安心です。また、屋根塗装はまとまった費用が必要になるため、助成金や火災保険の利用などのコストを安く抑える方法もチェックしておくと良いでしょう。
一方、屋根塗装においては慎重な業者選びも必要不可欠です。業者選びでは、施工実績や見積書、アフターフォローといった観点をしっかり確認しておきましょう。
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