目次
錆止め塗料とは
錆止め塗料は、建物の屋根や外壁などの金属部分を保護するために使用される特殊な塗料です。金属は常に周囲の空気中に含まれる水分や酸素と接触しています。この接触が続くと、金属表面に錆が発生し、その結果、金属が腐食してしまう可能性があります。このような問題を解決するために、錆止め塗料が重要な役割を果たします。
錆止め塗料は、金属表面に塗布されることで防錆皮膜を形成します。形成される皮膜は金属表面を覆い、外部からの水分や酸素などの有害な要因を遮断します。これにより、金属表面が錆びることを防ぎ、その耐久性を向上させる効果があります。また、錆止め塗料にはさまざまな種類があり、建物の材料や使用環境に応じて適切なものを選択することが欠かせません。
錆止め塗料の種類
錆止め塗料の種類は、建築や工業分野において広く使用される重要な材料であり、その種類は多岐にわたります。主に、油性系とエポキシ樹脂系の2つの大きなカテゴリに分類されます。
- 油性系
- エポキシ樹脂系
それぞれの特徴について簡単に解説します。
①油性系
油性系の錆止め塗料は、その成分の違いによってさらに細分化されます。まず、1種は油性系で耐候性や耐久性に優れており、主に屋外での使用に適しています。
また、2種は合成樹脂系で乾燥時間が比較的短く、紫外線に対する耐性が高い特徴を持っています。これらの油性系錆止め塗料は、さまざまな環境下での使用に適しています。
②エポキシ樹脂系
エポキシ樹脂系の錆止め塗料は、金属表面の高い耐久性や強固な密着性が求められる場合に使用されます。エポキシ樹脂は水に対する耐性が高く、塗膜の硬さや耐摩耗性が優れています。そのため、外壁や屋根など、耐久性が重要視される場所での使用に適しています。また、エポキシ樹脂系の錆止め塗料は低臭性に優れていて、環境への影響を最小限に抑えることが可能です。
屋根・外壁塗装で錆止め塗料は必要?
屋根や外壁の塗装において、錆止め塗料の必要性は非常に高いと言えます。なぜなら、錆止め塗料を使用しない場合、建物の金属部分が錆びることで重大な問題が引き起こされる可能性があるからです。第一に、金属が腐食すると、建物の強度が低下し、安定性が損なわれる可能性があります。特に屋根や外壁などの構造上重要な部位が錆びると、建物全体の安全性に影響を及ぼしかねません。
また、金属部分が腐食すると、雨漏りの原因となる可能性もあります。錆によって金属の表面が劣化し、穴が開いたり、表面が剥がれたりすることで、雨水が建物内部に侵入する可能性が高まります。雨漏りは、建物の構造や内装に深刻な損害を与えてしまうでしょう。
さらに、錆は建物の美観を損ねる要因でもあります。金属部分が錆びると、表面が不均一になり、建物全体の外観が損なわれます。特に錆が目立つ場所では、建物の印象が悪化し、周囲環境に対する影響も考えられます。
以上の理由から、錆止め塗料を使用して金属表面に適切な保護を施すことが不可欠です。錆止め塗料は金属表面に皮膜を形成し、外部の水分や酸素との接触を遮断することで、錆の発生を抑制します。特に鉄骨や鋼板、トタンなどの金属部分が多く使用される場所や、海沿いなどの塩害や酸性雨の影響を受けやすい地域では、錆止め塗料の使用がますます重要となります。したがって、建物の耐久性を高めた上で美観を保つためにも、錆止め塗料の使用は必要不可欠です。
錆止め塗装を行うタイミング
錆止め塗装は、金属の腐食を防ぎ、建物の寿命を延ばすために重要な役割を果たします。錆止め塗装を行うタイミングは、以下3つのケースが挙げられます。
- 色褪せやチョーキング現象が見られる
- 塗膜のひび割れや剥がれ
- 錆の発生
ひとつずつ簡単に見ていきましょう。
①色褪せやチョーキング現象が見られる
外壁の塗装が色褪せたり、チョーキング現象と呼ばれる粉状のものが付着したりすると、塗膜が劣化している可能性が高いサインです。塗膜の劣化によって、塗装された表面が外部の影響に弱くなり、特に金属部分が露出して錆びやすくなります。このような状況では、塗膜の再塗装が必要ですが、同時に錆止め塗装を行うことが重要です。
錆止め塗装は、金属部分に対して直接的に保護し、錆の発生を防ぐことができます。塗膜の劣化が見られる場合、早めに錆止め塗装を行うことで、金属部分を効果的に保護し、長期間の耐久性を確保できます。また、錆止め塗料は適切に施工されれば、塗装表面の耐候性や美観も向上させることが可能となります。
②塗膜のひび割れや剥がれ
塗膜にひび割れや剥がれが見られる場合、塗装表面の劣化が進行している兆候です。ひび割れや剥がれは、外部からの水分や酸素が入り込み、建物の金属部分が錆びやすくなる可能性が高まります。このような状況では、早急な対処が欠かせません。
ひび割れや剥がれを放置すると、塗膜の劣化が進み、金属部分の錆びが進行する恐れがあります。そのため、ひび割れや剥がれが見られる場合には、錆止め塗装を行うことが非常に重要です。錆止め塗料は、ひび割れや剥がれを補修し、新たな塗膜を形成することで、金属部分をしっかりと保護します。
あわせて、錆止め塗料は塗膜の耐候性や耐久性を向上させる効果もあります。適切に施工されれば、塗膜が再びひび割れたり剥がれたりするリスクを低減させ、建物全体の耐久性を向上させることができます。
③錆の発生
錆がすでに発生している場合、そのまま放置すると建物の金属部分がさらに腐食し、建物の強度が著しく低下してしまう可能性があります。そのため、錆が発生している場合は、早急に対処することが不可欠です。
錆止め塗装を施すことで、錆の進行を抑制し、金属部分を効果的に保護することが可能です。錆止め塗料は、金属表面に密着して防錆皮膜を形成し、外部からの有害な要因を遮断します。また、錆止め塗料は塗膜の耐久性や耐候性を向上させる効果もあります。したがって錆止め塗装を早急に行えば、建物の安定性や美観を確保し、長期間にわたって建物を維持できるでしょう。
錆止め塗料を塗る手順
錆止め塗料を塗る手順は、以下4つの手順で行います。
- ケレン作業
- 養生作業
- 錆止め塗料の塗布
- 中塗り・上塗りの作業
各手順について具体的に解説していきます。
①ケレン作業
錆止め塗料を塗る前に、塗る表面の錆や汚れを徹底的に除去する必要があります。この作業をケレン作業と言います。ケレン作業は、錆止め塗料の密着性を高めるために非常に重要です。
ケレン作業の手順は、以下のとおりです。
- ワイヤーブラシやサンドペーパーを使って、錆や汚れを落とす
- 細かい錆や汚れは、ケレン布を使って拭き取る
- ケレン作業が終わったら、塗る表面を清掃する
ケレン作業が不十分だと、塗料が剥がれやすくなってしまい、錆止め効果が低下します。
②養生作業
錆止め塗料を塗る範囲以外の部分を、マスキングテープや養生シートなどで覆います。養生作業の手順は、以下のとおりです。
- 塗る範囲以外の部分を、マスキングテープや養生シートで覆う
- 窓ガラスやドアノブなどの金物は、ビニール袋などで覆う
- 床には養生シートを敷き、塗料が付着しないようにする
養生作業を怠ると、塗料が付着してしまい、見た目が悪くなったり、後処理が大変になったりします。
③錆止め塗料の塗布
錆止め塗料は、刷毛やローラーを使って塗ります。1回塗りではなく、2回塗り以上することで、より効果的な防錆効果を得られます。錆止め塗料の塗り方は、次のとおりです。
- 刷毛やローラーに、錆止め塗料を適量含ませる
- 塗る表面に、薄く均等に塗る
- 1回塗り終わったら、乾燥させる
- 乾燥したら、2回塗りを行う
1回塗り終わったあとに、完全に乾燥させることが重要です。また、塗料はムラなく均等に塗るようにしましょう。
④中塗り・上塗り作業
錆止め塗料の上には、中塗り塗料と上塗り塗料を塗ります。中塗り塗料は、錆止め塗料と上塗り塗料の橋渡し役を果たします。上塗り塗料は、建物の外観を美しく仕上げる役割を果たします。
中塗り・上塗り作業の手順は、以下のとおりです。
- 中塗り塗料を、錆止め塗料と同じように塗る
- 中塗り塗料が乾燥したら、上塗り塗料を塗る
- 上塗り塗料が乾燥したら完成
塗料の種類や天候・気温によって、乾燥時間が変わります。乾燥時間を十分に確保してから、次の工程に進むことが重要です。
錆止め塗装の費用相場
錆止め塗装の費用相場は、1㎡あたり600~800円です。ただし、費用相場はあくまで目安であり、実際の費用は以下の様々な要素によって大きく変わります。
- 塗装面積:塗装面積が広くなるほど、費用が高くなる
- 塗料の種類:錆止め塗料にはさまざまな種類があり、それぞれ価格が異なる
- 下地の状態:下地の状態が悪い場合は下地処理が必要となり、費用が高くなる
- 施工業者:選ぶ施工業者によって費用が異なる
具体的な費用を知りたい場合は、建物の状態を確認し、塗装面積を計測した上で複数の塗装業者に見積もりを依頼することが重要です。また、適切な塗料や施工方法を選択すれば、コストを最適化できるでしょう。
錆止め塗料を塗る注意点
錆止め塗料を効果的に使用するためには、以下2点に注意する必要があります。
- 上塗り材と下塗り材の相性
- ケレン作業の不足
それぞれについて簡単に見てみましょう。
①上塗り材と下塗り材の相性
錆止め塗料を塗る際には、上塗り材と下塗り材の相性を確認することが欠かせません。異なる種類の塗料同士の相性が悪いと、塗膜の密着性や耐久性が低下し、劣化が早まる可能性があります。
したがって、同じメーカーの製品や、推奨されている組み合わせを選択することが安全です。必要に応じて、プロの塗装業者に相談すると良いでしょう。
②ケレン作業の不足
ケレン作業は、塗膜や汚れをきれいに除去し、塗料が十分に密着するための重要な工程です。しかし、ケレン作業が不足すると、塗膜が浮いたり剥がれたりする可能性があります。
また、ケレン作業が不十分な場合、塗料が均一に塗布されず、塗膜の密着性が低下するおそれがあります。その結果、錆の発生や塗装の劣化が早まる可能性があります。したがって、十分なケレン作業を行うことが重要です。
錆止め塗装の費用を安く抑える方法
錆止め塗装は、建物の寿命を延ばすために重要な役割を果たします。しかし、費用がネックになる場合も多いでしょう。ここでは、錆止め塗装の費用を安く抑える方法をいくつか紹介します。
- 複数の業者から見積もりを取る
- 閑散期に依頼する
- 助成金や補助金を活用する
- 塗料の選択を工夫する
それぞれの方法について簡単に見てみましょう。
①複数の業者から見積もりを取る
複数の業者から見積もりを取ることで、価格を比較検討することが可能です。見積もり依頼時には、以下の情報を伝えるとより正確な見積もりを取得できます。
- 塗装する場所
- 塗装面積
- 現在の状態
- 希望する塗料の種類
- 予算
ただし、安価な見積もりだけを重視せず、業者の信頼性や施工品質も考慮することが大切です。
②閑散期に依頼する
塗装業者の仕事量や需要に応じて、季節によって費用が変動する場合があります。たとえば、塗装業者が繁忙期でない冬や夏を狙って依頼すると、割引価格やキャンペーン価格が適用される場合があります。
③助成金や補助金を活用する
自治体によっては、外壁塗装や屋根塗装に対して助成金や補助金を支給している場合があります。自治体のホームページを確認し、利用できる助成金や補助金がないか確認してみましょう。
なお、助成金や補助金は予算の制限があり受付が終了してしまう場合や、利用期限が定められている場合があるため、早めに調べておくことをおすすめします。
④塗料の選択を工夫する
使用する塗料の種類を検討し、コストパフォーマンスの高いものを選択することで、費用を抑えることが可能です。ただし、安価な塗料を選択する場合は、耐久性や品質に注意しましょう。耐久性や品質が低いものを選んでしまうと、長期的にメンテナンスコストが多くかかってしまうリスクがあります。
まとめ
今回は、屋根・外壁塗装における錆止め塗料の必要性や費用相場についてわかりやすく解説しました。錆止め塗料は建物の屋根や外壁などの金属部分を保護する特殊な塗料で、錆を抑制するのに効果的です。
錆止め塗料を使用しないと、錆が進行し、建物の強度が低下したり雨漏りを引き起こしたりするリスクが高まります。また、建物の美観を損ねてしまう可能性もあるため、適切な錆止め塗料の使用が必要不可欠です。特に、屋根や外壁に金属材を使用している場合や、海沿い地域の場合は錆止め塗料の使用が非常に重要です。
錆止め塗装は、塗装する面積や塗料の種類、選定する業者によって費用相場が異なります。費用の高さがネックになる場合は、複数の業者から見積もりを依頼して比較検討することが重要です。また、閑散期を狙って依頼したり、助成金・補助金を利用したりするのが効果的と言えるでしょう。
ペイントGOでは、厳しい審査基準を満たしたお住まいの地域の優良業者を簡単に検索することが可能です。また、個人情報の入力は一切不要で、塗装費用のシミュレーションもできます。「コストを抑えながら、信頼できる業者に依頼したい」という方は、ぜひ活用してみてください。