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遮熱塗料の特徴
遮熱塗料は、太陽光のうち、熱の原因となる近赤外線領域の光を反射することで、建材の温度上昇を抑制します。一般的な塗料と比較して、表面温度を大幅に低く抑えることができ、夏場の室内温度上昇を抑制する効果が期待できます。
屋根塗装で遮熱塗料を使うメリット
「屋根塗装で遮熱塗料を使うと、どんなメリットがあるのだろう」と気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、遮熱塗料を使う具体的なメリットを4つ紹介します。
- 夏場の室内温度が快適になる
- 耐用年数が長い
- 省エネ効果がある
- 建物の劣化を抑えられる
それぞれのメリットについて、簡単に解説します。
①夏場の室内温度が快適になる
遮熱塗料は、太陽光の近赤外線領域を反射することで、屋根の温度上昇を抑制します。一般的な塗料と比較して、表面温度を大幅に低く抑えることができ、夏場の室内温度上昇を2〜3℃程度低くすることが可能です。
特に、2階建て住宅では、屋根からの熱の影響を受けやすい2階の室温が大きく下がります。たとえば、真夏の昼間に、屋根の表面温度が一般的な塗料の場合70℃を超えるのに対し、遮熱塗料の場合は40℃程度に抑えることができます。この温度差は、室内温度にも大きく影響し、エアコンの冷房効率を大幅に向上させます。
②耐用年数が長い
遮熱塗料は、特殊な顔料や樹脂を使用しているため、一般的な塗料よりも耐用年数が長くなります。具体的には、一般的な塗料の耐用年数が10〜15年であるのに対し、遮熱塗料は15〜20年程度とされています。
遮熱塗料を使用すれば、15〜20年に1回の塗り替えで済むため、足場代や塗装費用などのコストも大幅に削減できるでしょう。
③省エネ効果がある
遮熱塗料は、室温上昇を抑えることで、エアコンの使用頻度を減らすことが可能です。その結果、電気代を節約し、省エネ効果が期待できます。
特に、猛暑が続く夏場は電気代が高騰するため、遮熱塗料の効果が大きく表れます。試算によると、夏場の電気代を10~20%程度節約できる可能性があります。たとえば、夏場の電気代が2万円の場合、遮熱塗料を使用することで、年間2,000円~4,000円程度節約できます。このように、遮熱塗料は電気代を節約できるため、家計にも環境にも優しい塗料と言えるでしょう。
④建物の劣化を抑えられる
遮熱塗料がもたらす建物の劣化抑制効果は、屋根表面を保護することで実現されます。遮熱塗料は、屋根の表面を紫外線や気候変動から保護し、屋根材料の劣化や傷みを防ぎます。特に、紫外線は建材に対して非常に有害であり、時間の経過とともに建物の外観や構造に損傷を与える可能性があります。しかし、遮熱塗料の遮熱効果により、屋根の表面温度が低下し、紫外線によるダメージが軽減されます。そのため、屋根の劣化や傷みを防ぐだけでなく、建物全体の外観や構造の保護にも役立ちます。
さらに、屋根の劣化を防ぐことは、建物全体のメンテナンスコストを低減し、所有者にとって長期的な経済的利益をもたらします。したがって、遮熱塗料は建物の耐久性を向上させ、維持費用を抑えるだけでなく、建物全体の価値を維持する効果も期待できるといえるでしょう。
遮熱塗料の定番商品3種
遮熱塗料は、太陽光の熱を反射し、建材の温度上昇を抑制することで、室温上昇を抑えた上で省エネ効果が期待できます。多くのメーカーから様々な遮熱塗料が販売されていますが、その中でも定番商品として長く人気を集めている以下3つの製品を紹介します。
- アレスクール2液F
- サーモアイSi
- クールタイト
ひとつずつ簡単に見ていきましょう。
①アレスクール2液F(関西ペイント)
アレスクール2液Fは、遮熱性能と耐久性を両立した高性能遮熱塗料です。フッ素樹脂を配合しており、長期間にわたって高い遮熱効果を維持できます。太陽光を効率的に反射し、表面温度の上昇を抑制するほか、防カビ・防藻性にも優れています。
▷アレスクール|関西ペイント
②サーモアイSi(日本ペイント)
サーモアイSiは、高い遮熱性能と耐久性を誇るシリコン樹脂塗料です。低汚染性や防カビ、防藻性にも優れているのが特徴です。
▷サーモアイSi|日本ペイント株式会社
③クールタイト(エスケー化研)
クールタイトとは、ポリウレタン樹脂を配合している遮熱性能と耐久性を兼ね備えた遮熱塗料です。表面温度上昇を抑制し、室温上昇を抑えるほか、低汚染性や防カビ、防藻性にも優れています。
▷クールタイト|エスケー化研株式会社
屋根塗装における遮熱塗料の費用相場
屋根塗装における遮熱塗料の費用相場は、1平方メートルあたり約2,500円~5,000円です。一般的な塗料よりも高価ですが、省エネ効果や建物劣化抑制などのメリットを考慮すると、長期的に見て費用を抑えられる可能性があります。
なお、費用相場は以下の要因によって変動します。
- 屋根の面積
- 屋根の形状
- 使用する遮熱塗料の種類
- 施工業者の選定
屋根の面積が大きくなるほど、費用は高くなります。たとえば、30坪の住宅の場合、遮熱塗料の費用は約52万円~75万円となります。また、複雑な形状の屋根は施工に手間がかかるため、費用が高くなります。たとえば、寄棟屋根や複雑な形状の屋根は、切妻屋根よりも費用が高くなります。さらに、高性能な遮熱塗料は費用が高くなります。たとえば、反射率の高い遮熱塗料は、一般的な遮熱塗料よりも高価です。
一方、選ぶ業者によっても費用は異なります。複数の業者から見積もりを取り、相場よりも割高ではないかを精査することが欠かせません。
遮熱塗料がおすすめのケース
遮熱塗料は、太陽光の熱を反射し、室温上昇を抑える効果がある塗料です。夏場の室温を快適に保ちたい場合や、省エネ効果を期待したい場合におすすめです。
ここからは、遮熱塗料が特に効果的なケースを4つ紹介します。
- 金属材の屋根を使用している
- 2階にリビングがある
- 吹き抜け天井がある
- 3階建てである
各ケースについて簡単に見ていきましょう。
①金属材の屋根を使用している
金属材は熱伝導率が高いため、太陽光の熱を吸収しやすく、屋根の表面温度が上がりやすいという特徴があります。真夏の昼間、一般的な塗料を使用した金属屋根の表面温度は70℃を超えることもありますが、遮熱塗料を使用した場合は40℃程度に抑えることができます。
②2階にリビングがある
2階は1階よりも熱が溜まりやすく、夏場は特に室温が高くなりやすい傾向があります。その理由は、1階よりも天井が高く、熱が上部に溜まりやすいことや、屋根からの熱の影響を受けやすいことが原因です。
遮熱塗料を使用すれば、2階の屋根と外壁に遮熱効果を持たせることができ、室温上昇を抑えられます。2階のリビングは、家族が集まることが多い場所です。室温が快適であれば、エアコンの設定温度を低く抑えることができ、電気代の節約にもつながります。
③吹き抜けの天井がある
吹き抜けがあると、暖かい空気が上部に溜まりやすく、室温が高くなりやすい傾向があります。遮熱塗料を使用すれば、吹き抜けの天井に遮熱効果を持たせることができ、室温上昇を抑えることが可能です。
実際に、吹き抜けの天井に遮熱塗料を使用すると、夏場の冷房効率が10〜20%向上するといわれています。
④3階建てである
3階建ては、2階建てよりもさらに熱が溜まりやすく、夏場は特に室温が高くなりやすい傾向があります。3階建て住宅では、1階と2階の屋根に加えて、3階の壁にも遮熱塗料を使用することで、室温上昇を効果的に抑制することが可能です。
たとえば、3階に寝室がある場合、遮熱塗料を使用することで、夏場の寝室の室温を2℃程度低く抑えることができます。
遮熱塗料を使う注意点
遮熱塗料は、夏場の室温上昇を抑える効果が期待できる塗料ですが、いくつかの注意点があります。ここからは、以下4つの注意点を解説します。
- 冬の寒さを抑える効果は期待できない
- 費用が高い
- 色による性能の違いがある
- 表面が汚れると遮熱効果が低下する
ひとつずつ簡単に見てみましょう。
①冬の寒さを抑える効果は期待できない
遮熱塗料は、太陽光の熱を反射することで室温上昇を抑える効果がありますが、冬の寒さを抑える効果はありません。逆に、熱を反射しすぎることで、室内温度が低下しやすくなる可能性があります。
冬場の寒さ対策には、断熱材や内窓などの対策が有効です。真冬の朝晩、室温が15℃以下になると、暖房器具を長時間稼働させてもなかなか暖かくならないことがあります。遮熱塗料は、冬の寒さを抑える効果はないため、断熱材や内窓などの対策と併用することで、快適な室温を保てるでしょう。
②費用が高い
遮熱塗料を選ぶ際の注意点のひとつとして挙げられるのが、費用の高さです。遮熱塗料は一般的な塗料よりも高価であるため、初期投資費用が増加します。しかし、初期費用が高いという点においても、遮熱塗料の使用は長期的な利点を考慮すべきです。
遮熱塗料は、省エネ効果をもたらし、冷房や暖房の使用量を削減することができます。その結果、エネルギー費用が低減され、長期的な視点から見ると、遮熱塗料の導入によって節約される費用が、初期投資額を上回る可能性があります。
また、遮熱塗料は通常の塗料よりも耐久性が高く、塗り替えやメンテナンスの頻度が低くなることが期待されます。その結果、建物の維持管理コストも削減され、遮熱塗料の長期的な経済的メリットがさらに強化されます。そのため、遮熱塗料の費用が高いという初期のハードルはあるものの、その効果と利益を考慮すると、長期的な視点での投資として十分に合理的と言えます。
③色による性能の違いがある
遮熱塗料は、白色や淡色系の塗料の方が熱を反射しやすく、遮熱効果は高くなります。一方、黒色などの濃色系の塗料は、熱を吸収しやすく遮熱効果は低くなります。
したがって、建物のデザインや周囲の環境に合わせて、色を選ぶことが重要欠かせません。なお、黒色などの濃色系の遮熱塗料は、熱を吸収しやすく冬は室内を暖かく保つため、色による性能の違いは一長一短と言えるでしょう。
④表面が汚れると遮熱効果が低下する
遮熱塗料は、表面が汚れると光を反射しにくくなり、遮熱効果が低下します。したがって、定期的に屋根や外壁を清掃し、汚れを落とすことが重要です。雨水やホコリなどの汚れが堆積すると、遮熱塗料の表面が覆われ、光を反射しにくくなります。屋根や外壁の清掃は、高圧洗浄機やブラシなどを使用して行います。高所作業が必要となる場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。
遮熱塗料で屋根塗装する費用を抑える方法
屋根塗装は安価ではないので、できるだけ費用を抑えたいと考える方も多いのではないでしょうか。遮熱塗料は、一般的な塗料よりも高価ですが、いくつかの方法で費用を抑えることができます。
ここからは、遮熱塗料で屋根塗装する際に費用を安く抑える方法を紹介します。費用を抑える方法は、以下のとおりです。
- 複数の業者から見積もりを取る
- 外壁と同時塗装する
- 助成金や補助金を活用する
- 塗装時期を検討する
- 安価な塗料を選ぶ
ひとつずつ簡単に解説していきます。
方法①複数の業者から見積もりを取る
複数の業者から見積もりを取ることで、価格を比較検討することが可能です。最低でも3社程度の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
なお、見積もり依頼時には、屋根の面積や形状、希望する塗料の種類などを伝えてください。見積書の内容をしっかりと確認し、不明点があれば業者に質問しましょう。
方法②外壁と同時塗装する
屋根と外壁を同時に塗装することで、足場代などの費用を節約できます。足場代は、屋根塗装費用全体の20~30%を占めるため、大きな節約につながります。したがって、屋根と外壁の塗装時期が近い場合は、同時塗装を検討しましょう。同時塗装することで、足場代だけでなく、塗料代や人件費も節約できる場合があります。
方法③助成金や補助金を活用する
自治体によっては、遮熱塗料の塗装費用を補助する制度があります。事前に調べて、利用できる場合は積極的に活用しましょう。国土交通省の「クールビズ推進事業」では、遮熱塗料の塗装費用の一部を補助する制度があります。
また、自治体によっては、独自の助成金・補助金制度を設けている場合があります。これから塗装を検討する際は、お住まいの自治体ホームページなどで確認しましょう。
方法④塗装時期を検討する
塗装時期によっては、費用が安くなる場合があります。一般的には、3月~5月と9月~11月が塗装のベストシーズンとされています。この時期は天候が安定しており、塗料が乾燥しやすいというメリットがあります。
なお、あえて塗装のベストシーズンを避けることで、塗装費用を安く抑えられる可能性があるでしょう。
方法⑤安価な塗料を選ぶ
遮熱塗料には、様々な種類があります。高性能な遮熱塗料は費用が高くなりますが、比較的安価な遮熱塗料もあります。費用と性能のバランスを考慮して、最適な遮熱塗料を選びましょう。遮熱性能は、反射率や遮熱係数などの指標で確認できます。安価な遮熱塗料は、高性能な遮熱塗料よりも性能が劣りますが、それでも一般的な塗料よりも遮熱効果は期待できます。
まとめ
今回は、屋根塗装で遮熱塗料を使うメリットや費用相場について詳しく解説しました。屋根塗装で遮熱塗料を使うと、屋根の表面温度を大幅に低く抑えられ、夏場の室内温度の上昇を抑制する効果を期待できます。特に、2階にリビングがある場合や吹き抜け天井がある場合、3階建ての住宅である場合には、遮熱塗料の使用が効果的です。
なお、一般的な塗料と比べて、初期投資が割高になる点が注意点としてあげられます。とはいえ、メンテナンス回数が減ることや省エネ効果があることによるコスト削減で、コストパフォーマンスは向上すると言えるでしょう。
遮熱塗料を使う塗装は、屋根の面積や形状、使用する塗料の種類によって費用相場が変動します。また、選ぶ業者によっても費用が変わるため、さまざまな要因を考慮し最適な業者を選ぶようにしましょう。
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