目次
塗装が必要な金属屋根の種類と特徴
塗装が必要な金属屋根の種類は主に以下の7つです。
- ガルバリウム鋼板
- エスジーエル鋼板
- トタン
- 銅板
- ステンレス
- チタン
- アルミ
それぞれ解説します。
ガルバリウム鋼板
金属屋根の中でもっともよく使われている屋根材がガルバリウム鋼板です。ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛めっきで作られた鋼板のことです。
1972年にアメリカのベスレヘム・スチール社が開発したアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板の名称です。日本ではガルバリウム鋼板と呼ばれています。
めっき組成は、アルミニウム55%・亜鉛43.4%・シリコン1.6%で構成されています。同じ金属屋根のトタンよりも約4倍もサビにくいと言われ、耐用年数は20〜30年程度です。
エスジーエル鋼板
エスジーエル鋼板は、上述のガルバリウム鋼板を改良させたメッキ鋼板のことです。ガルバリウム鋼板に含まれるめっきにマグネシウムを加えることで、ガルバリウム鋼板の約3倍の耐食性を向上させました。
エスジーエル鋼板は塩害地域の屋根材にも適しています。従来のガルバリウム鋼板は沿岸部から5km以上離れた地域でしか保証が適用になりませんでしたが、エスジーエル鋼板の保証は500m以上となっています。
さらに、穴あき保証もガルバリウム鋼板の10年に比べて25年の保証となっています。しっかりメンテナンスしてあげることで30年以上の耐用年数を誇る金属屋根となっています。
トタン
トタンは、薄い鉄板に亜鉛をめっきした金属板のことです。低コストで加工もしやすいことから住宅をはじめ、倉庫や工場の屋根材として長く使われてきました。
トタンは安価で軽量な点から建物へ与える負担が少ない点がメリットです。しかし、サビやすく遮音性や断熱性が低いため、現在ではあまり使用されなくなっています。
銅板
銅板(どうばん)とは、その名のとおり銅で作られた板のことです。経年で色が変化する特徴があり、施工当初の赤褐色から黒褐色、緑青色へ変化します。
独特の風合いと重厚感から神社仏閣や和風建築などで使われていました。銅板は60年以上持つ耐久性があり、軽量で加工性がよい屋根材ですが、非常に高価です。
非常に高価な点に加え、施工できる職人が少ないため、一般住宅での施工はほとんど使われなくなっています。
ステンレス
ステンレスは、鉄を主成分とする合金のことで、鉄以外にもクロームとニッケルが含まれた屋根材です。ステンレスのためサビにくいことから耐用年数は50年持つとされています。競技場や体育館などの大型施設で使用されることが多いです。
チタン
チタンは屋根材で使われる素材の中でも、もっとも耐久性が高く、半永久的に持つともいわれています。チタンは重量が約3〜4kg程度と非常に軽量です。
有名な建築例として浅草の浅草寺に使われています。チタンは非常に高価なため、一般家庭ではほとんど使われていません。
アルミ
アルミも屋根材として使われることもあります。非常に軽量でガルバリウム鋼板の約半分程度の重さしかありません。アルミは加工性に優れており、リサイクル可能なことから環境にも優しい屋根材です。
金属屋根を塗装する際の費用相場
金属屋根を塗装する際の費用は、使用する塗料によっても異なります。
- ウレタン塗料 費用相場:2,500〜3,500円程度/平方メートル
- シリコン塗料 費用相場:2,000〜3,000円程度/平方メートル
- フッ素塗料 費用相場:3,000〜4,000円程度/平方メートル
- 無機塗料 費用相場:4,500〜5,500円程度/平方メートル
塗料を選ぶポイントは、メンテナンスの頻度を考えて長期的なコストパフォーマンスで見ることをおすすめします。ウレタンやシリコン塗料などは安価に施工できますが、耐用年数が短いためすぐに再塗装が必要になります。
初期費用が高くても、メンテナンスの頻度が少なくなれば、結果的に費用を抑えられることになります。長期的な目線で考えることが大事です。
また、上記の塗料以外にも足場代15〜20万円程度かかり、屋根の面積や勾配などでも価格は異なります。
金属屋根の塗装が必要な劣化症状
ここでは、塗装が必要な金属屋根の劣化症状について解説します。劣化症状を放置すると、塗装では補修できなくなり、葺き替え工事など屋根全体をリフォームすることになります。費用も高額になってしまうため、放置せずに早めにメンテナンスするようにしましょう。
主な劣化症状は以下のとおりです。
- チョーキング現象
- 色あせ
- サビの発生
- 塗膜の剥がれ
それぞれ解説します。
チョーキング現象
チョーキングは「白亜化現象」とも呼ばれ、屋根を触った際に白い粉が付着する現象のことです。白い粉は塗料の中の合成樹脂が分解されて粉状になって、塗装の表面に現れたものです。
チョーキングは紫外線や雨の影響で、経年劣化で起こります。塗膜が劣化しているサインのため、早めに再塗装する必要があります。
色あせ
色あせも塗膜が劣化しているサインです。色あせを放置すると雨漏りにつながることもあるため、屋根にツヤがなくなったり、色あせが見られたら早めに塗装メンテナンスすることをおすすめします。
サビの発生
近年のガルバリウム鋼板などはサビに強くはなっています。ですが、全くサビないわけではありません。サビが進行すると穴があき、雨水の浸入を許し雨漏りにつながるため、サビを見つけたら放置せずに早めに塗装するようにしましょう。
塗膜の剥がれ
経年劣化によって塗装の一部が剥がれてしまうことがあります。放置するとサビにつながるため、剥がれた箇所の塗装を一度剥がしてから再塗装するようにしましょう。
金属屋根を塗装する際の作業工程
ここでは、金属屋根を塗装する際の作業工程について解説します。
- 足場の設置
- 高圧洗浄
- ケレン
- 付帯部塗装
- 縁切り
- 廃材処分
それぞれ解説します。
足場の設置
塗装の前には必ず足場の設置を行います。足場の設置は作業の効率性の向上だけでなく、職人の安全性を確保するためにも必要な作業です。足場を組むことで、高所でも安全に作業できるようになります。
高圧洗浄
塗装前には高圧洗浄機を使って、屋根の汚れを落とす作業が必要です。屋根に付着したカビやコケ、チョーキングの粉を落とします。塗装の前に汚れを落とさないと、塗料の密着性が低下するためしっかりと落とす必要があります。
下地処理・ケレン作業・補修
塗装の前には必ず下地処理を行います。サビが発生している場合は、サビを落として下地を整えるケレン作業を行います。ケレン作業で下地を整える必要性は、塗料の密着性を高めるためです。
屋根材に欠けやひび割れなどがある場合は、パテなどを使って補修を行ってから塗装します。
塗装(下塗り・中塗り・上塗り)
下地処理や補修が終了したら、中塗りや上塗りが密着しやすいよう接着剤の役割でもある下塗りを行います。下塗りの際、さび止め塗装することでサビの再発を防ぎます。
さび止め含めた下塗りがしっかりと乾燥したら、中塗りと上塗りを行います。中塗りは下地と上塗りの密着性を高めるために必要な工程です。
上塗りはツヤを出す仕上げ作業になります。下塗り・中塗り・上塗りと3工程重ねることで、外観が美しく仕上がり耐久性も向上します。
足場解体・清掃
塗料が完全に乾燥したら、最後に足場を解体・清掃を行って終了となります。
金属屋根の塗装費用を抑える方法
金属屋根の塗装費用を抑える方法は以下のとおりです。
- 複数の業者へ見積もりを依頼する
- 屋根と外壁を一緒に工事する
- 火災保険を活用する
- 住宅リフォーム支援制度を活用する
それぞれ解説します。
2社以上の業者へ見積もりを依頼する
「業者への見積もり依頼がなぜ塗装費用を抑えられるの?」と思われるかもしれませんが、価格相場を知ることで余計な工事費用を払わないようにするためです。
屋根塗装や屋根工事などの価格は普段の中で目にするようなものではありません。「適正価格はいくらですか?」と聞かれても分かりませんよね?
そのため、1社のみだと見積もり価格が適正なのか高いのかの判断が付きません。悪徳業者に当たってしまった場合、不当な利益を上乗せされた価格を提示される可能性があります。
余計な費用を支払わないようにするためにも、2〜3社を目安に見積もりを取ることをおすすめします。
屋根と外壁を一緒に工事する
屋根と外壁を一緒に工事をすることで、足場の設置が一度で済むため費用の節約になります。足場の設置には15〜20万円程度かかります。
屋根と外壁が同じような時期にメンテナンスが必要であれば、一緒に工事をすることで費用を節約できます。
火災保険を活用する
台風や強風などの飛来物で「塗装が剥がれた」「屋根材が破損して屋根塗装が必要になった」などの場合は、火災保険が使える可能性があります。ただし、保険会社の損害鑑定人が経年劣化と判断した場合は対象外となります。
また、免責金額を設定している場合、修理費用が免責金額を下回る場合も保険が使えませんので注意が必要です。
住宅リフォーム支援制度を活用する
住宅リフォーム支援制度は全国の都道府県や市区町村が実施するリフォームの補助制度です。主には省エネルギー化や耐震強化につながるリフォーム、子育て支援に対するものが多いです。
ガルバリウム鋼板などの金属屋根は、カバー工法による断熱性の向上や屋根を軽量化して耐震強化におすすめな屋根材です。省エネや耐震強化制度の中で、カバー工法や葺き替え工事、外壁塗装などの工事が対象となる場合があります。
対象となるかどうかは各地方公共団体によって異なるため、以下のサイトでチェックしてみることをおすすめします。
参考:一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」
金属屋根を塗装する際の注意点
ここでは、金属屋根を塗装する際の注意点について解説します。主な注意点は以下のとおりです。
- ケレン作業で確実にサビを取り除くこと
- サビ止め塗料を塗る
- 金属屋根の実績がある業者へ依頼する
それぞれ解説します。
ケレン作業で確実にサビを取り除くこと
ケレン作業は、金属屋根を塗装する前に汚れやサビを落とす作業のことです。また、塗料の密着性を高めるためにも必要な作業です。ケレン作業を行わない、またはいい加減に行ってしまうと、サビが拡大してしまい塗料もすぐに剥がれてしまいます。
サビ止め塗料を塗る
サビ止め塗料は、サビの進行を防ぎ再発するのを抑制する効果があります。ケレン作業とともに大事な作業工程です。サビ止め塗料を塗る際は、必ず上述のケレン作業を行います。
金属屋根の実績がある業者へ依頼する
金属屋根への塗装を依頼する際は、必ず金属屋根の塗装や工事の実績がある業者へ依頼することが重要です。金属屋根に精通していない業者へ依頼してしまうと、金属屋根に適した下地処理や塗装ができません。
塗装がすぐに剥がれたり、最悪の場合雨漏りにつながる可能性があります。金属屋根の実績があるかどうかは、業者のホームページの施工実績があるかどうかを確認したり、口コミなどをチェックするようにしましょう。
まとめ
今回は、塗装が必要な金属屋根の種類と費用相場について解説しました。塗装が必要な屋根は以下の7つです。
- ガルバリウム鋼板
- エスジーエル鋼板
- トタン
- 銅板
- ステンレス
- チタン
- アルミ
塗装は防水性を高めるためには必要な作業です。塗装が劣化すると、チョーキング現象や色あせ、サビ、塗膜の剥がれなどが起こります。
上記の劣化症状を放置すると雨漏りにつながるため、早急にメンテナンスが必要となります。メンテナンスを依頼する際は、屋根塗装の実績がある業者へ依頼することが大切です。
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