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外壁・屋根塗装の3回塗りは丈夫な塗膜を形成するため
外壁や屋根などを塗装する際は、塗料を3度塗り重ねる「3回塗り」が基本です。塗料を塗り重ねることで丈夫な塗膜を形成できるためです。
外壁や屋根は常に紫外線や雨風にさらされており、時間が経つと徐々に塗膜が劣化してきます。塗装は見た目の印象をよくするだけではなく、防水性を高めるためにも必要です。一度の塗装だけでも多少防水性は持っていますが、すぐに劣化してきます。
一度塗膜が劣化すると、水を吸収しやすくなってしまうため雨水が染み込み雨漏りにつながります。紫外線や雨風から建物を守るためには強い塗膜を作る必要があります。3回塗ることは建物を長持ちさせるためには必要な回数です。
では、「強い膜を作るのであれば、回数を増やせばよいのでは?」と思われるかもしれませんが、ただ塗り重ねればよいというわけではありません。
製造しているメーカー指定の回数以上を塗ってしまうと、塗膜内部の湿気が逃げづらく溜まりやすく、下地材などの腐敗を招きやすくなってしまうため、塗装回数を増やせばよいわけではありません。
2回や3回以上塗り重ねる場合もある
塗料の種類や塗装する下地の劣化が酷い場合には、2回または3回以外の塗装方法で塗る場合もあります。
下塗りや中塗りが必要ない塗料の場合は2回のみ
製品によっては下塗りや中塗りをしなくてもよい場合があります。下塗りが不要な製品の場合は、中塗り1回・上塗り1回の合計2回になります。
また、中塗りを必要としない製品の場合は、下塗り1回・上塗り1回の合計2回となります。これは、近年の塗装の進化によって、2回でも3回と同様に塗膜が強化ができるようになっているためです。
下地の状態によっては3回以上塗り重ねる
塗装の基本は下塗り・中塗り・上塗りそれぞれ1回の合計3回ですが、下地の傷みが酷い場合やサビが発生している場合には3回以上塗り重ねる場合もあります。
傷みが酷い場合は、塗料の密着度を高める役割のある下地となる下塗りを2回、または2回以上行う場合があります。下塗り2回(または2回以上)・中塗り1回・上塗り1回の合計4回(または4回以上)となります。
実際の施工時は、下地の傷みを確認しながら下塗りの回数を増やす判断をする場合があります。
外壁・屋根塗装の3回塗りの役割
ここでは、外壁や屋根を塗装する際の「下塗り」「中塗り」「上塗り」それぞれの役割について、もう少し詳しく解説します。
下塗り(1回目)の役割
塗装の1回目にあたる下塗りは塗装工程において、もっとも重要となる作業です。塗装のベースとなる下塗りの出来が塗膜の耐久性を決めるといっても過言ではありません。
下塗りは、中塗りと上塗りの密着性を高める接着剤の役割を持つ塗料です。下塗りで使われる塗料には、プライマーやシーラー、フィーラー、サーフェイサーなどの塗料があります。これらは塗り外壁や屋根の種類によって使い分けられます。
中塗り(2回目)の役割
中塗りの役割は色付けをするためです。上塗りの1回目にあたり、上塗りと同じ色を使うのが一般的です。
基本は同じ塗料を使用しますが、中塗りと上塗りをあえて違う色にする場合もあります。それは、業者の不正や施工不良を防ぐためです。業者によっては塗料の節約や工数削減のために、中塗りを塗らなかったり、下塗りの上から上塗りをする悪徳業者も存在します。
ですが、塗料を変えてしまうと塗料の本来の効果を発揮できずに耐久性が下がってしまったり、色ムラができて見た目の印象が悪くなったりします。
上塗り(3回目)の役割
3回目は仕上げ作業に必要な工程です。中塗りで色付けしたのち、2回目の上塗りをすることで色ムラをなくして均一に仕上げます。
2回上塗りすることで塗膜に厚みも生まれ、耐久性も向上します。上塗りは、外観の印象や耐久性にかかわる重要な工程となります。
外壁・屋根塗装する場合で3回塗り以外にも大事なポイント
外壁や屋根塗装をする際、3回塗り以外でも大事なことがあります。それは以下のポイントです。
- メーカー規定の乾燥時間を守る
- 使用する塗料の塗布量を守る
- 中塗り、上塗りの色を変える
それぞれ解説します。
メーカー規定の乾燥時間を守る
3回塗りと同様に大事なことがあります。それは乾燥時間です。乾燥時間は塗料によって決まっており、下塗り・中塗り・上塗りごとに乾燥させる必要があります。乾燥時間は塗料によって異なりますが、3〜4時間程度は必要になります。
また、気温や湿度によっても乾燥時間は異なります。10℃以下の寒い日や湿度85%などの湿気が多い日は塗料が乾きにくくなるため、さらに乾燥時間を必要とします。そのため、「下塗り」「中塗り」「上塗り」を1日ごとに分けて行うのが一般的で、最低でも塗装時間は3日程度は必要です。
使用する塗料の塗布量を守る
塗料にはメーカーが定めた塗布量というものがあります。塗料の性能を十分に発揮するためには、製品ごとにメーカーが定めた量を塗り重ねる必要があります。
使用する塗料の量は以下のように記載があるはずです。
「塗布量 0.25〜0.35kg/㎡(平方メートル)」
塗布量が守られなければ塗料の本来の性能が発揮できずに、剥がれなどの不具合が起こります。塗装後はすぐに症状が現れないこともあるため、気づくのが遅れてしまうこともあります。
見積書の段階で使用する塗料が適正数値になっているかどうかを確認する必要があります。塗布量の情報は、メーカーのホームページやパンフレットなどでも確認できますので、見てみるとよいでしょう。
中塗り・上塗りの色を変える
中塗りと上塗りは同じ塗料を使うのが基本ですが、施工不良や業者の不正を防ぐためにあえて色を変えることは上述で説明しています。
しかし、色を変えるのにはデメリットもあります。中塗りと上塗りの色を変えた場合、塗料の性能を十分に発揮できない可能性があるためです。また、塗装代が余計にかかったり見た目の色合いが悪くなる、劣化が早まる恐れがあります。
塗装回数を守らないと起こる3つの不具合
塗装回数を守らないと起こる不具合は以下のとおりです。
- 塗膜の剥がれや膨れが起こる
- 塗装ムラが生じる
- 規定の耐用年数よりも短くなる
それぞれ解説します。
塗膜の剥がれや膨れが起こる
下塗りをしていなかったり、メーカー規定よりも少ない塗りの回数の場合、塗膜の密着性が低くなり、塗装しても剥がれてきたり塗膜の膨れが起こることがあります。
このような状態は、塗料の本来の効果を発揮できないため、塗膜の劣化だけでなく防水効果が機能しなくなるため雨漏りにつながる場合があります。
塗装ムラが生じる
塗装回数が守られていない場合は、塗装ムラが生じます。塗装ムラが起きてしまうと、見た目の印象も悪くなり、防水機能も正しく発揮されないこともあります。
規定の耐用年数よりも短くなる
塗料は、メーカー規定の塗装回数を守ることで効果を発揮します。塗装回数が守られていないと上述の塗料の剥がれや塗装ムラだけでなく、耐久性にも影響を及ぼします。
塗装後すぐに劣化しなくても、塗料の耐用年数よりも前に劣化してしまうでしょう。建物が置かれている環境にもよりますが、耐用年数よりも前に塗装した外壁や屋根に汚れや色あせ、ひび割れが目立つようであれば正しく塗装されていない可能性があります。
外壁・屋根塗装の塗り回数不足を防ぐ方法
外壁・屋根塗装の塗り回数不足を防ぐ方法は以下のとおりです。
- 契約前の見積書や業者へ確認する
- 工事中の作業工程を確認する
- 塗装実績が豊富な業者へ依頼する
それぞれ解説します。
契約前の見積書や業者へ確認する
正しい塗装回数で作業してもらうためには、契約前の見積書に記載されている内容を確認します。見積書の記載に下塗りや上塗りなどの工程が書かれているかを確認してください。
優良業者が作成してくる見積書には、使用する塗料の名称や塗布量、乾燥工程などが詳細に書かれているはずです。
「下塗り1回、中塗り1回、上塗り1回」または「下塗り1回、上塗り2回」などが記載されていれば、3回塗りの作業を想定している証拠になります。名称や工程などが記載していない業者は作業工程を守らない可能性があります。
見積書に記載されていない場合は、再度詳しい工程を入れてもらうか、ほかの作業工程を守ってくれそうな業者へ依頼するようにしましょう。
工事中の作業工程を確認する
契約前に確認しなかった場合や工事の途中でも、塗装回数を確認することはできます。塗装工事を行う際は必ず作業工程表や工事工程表を作成します。
工程表の中に、「下塗り」「中塗り」「上塗り」などの記載がある箇所を確認してみましょう。下塗り・中塗り・上塗りの3つ記載されている場合は3回塗りが行われています。記載がない場合は、工事担当者へ確認してみましょう。
工事現場へ直接確認に行けない場合は、作業工程ごとに写真を送ってもらうのも一つです。
塗装実績が豊富な業者へ依頼する
3回塗りを行わない手抜き工事をされないためにも、塗装実績が豊富な業者へ依頼することが重要です。塗装工事の実績が豊富な業者は、自社ホームページ内に施工実績を公開しています。
施工実績の中には作業工程が載っているはずです。施工実績をいくつか確認して、いずれも作業工程の中に下塗り・中塗り・上塗りの工程が載っていれば、その業者は3回塗りの作業工程を守る業者と判断できます。
塗装回数に関するトラブルが起きたときの対処法
ここでは、塗装回数をめぐってトラブルが起きたときの対処法について解説します。トラブルが起きたときの対処法は以下のとおりです。
- まずは施工業者に対応してもらう
- 業者で解決しない場合は第三者機関に相談する
それぞれ解説します。
まずは施工業者に対応してもらう
「工事中に3回塗りが守られていない」「工事後にすぐに塗装が剥がれてしまった」「塗装の浮きを発見した」などの不具合があった場合は、まずは施工業者へ相談しましょう。
工事中の不具合などに関しては、工事期間中に業者へ伝えてください。塗装工事後に不具合を発見した場合は、なるべく早く業者に連絡するようにしましょう。時間が経過してしまうと、工事の不具合かどうかの判断も難しくなるため対応してもらえないこともあります。
業者で解決しない場合は第三者機関に相談する
業者へ相談しても対応してもらえない場合は、以下の第三者機関へ相談してみましょう。以下の2つの機関は外壁や屋根工事などの住宅に関するトラブルを扱う相談窓口です。
トラブルの内容を説明すると、次にどのような対応すべきかを教えてくれます。
- 住まいるダイヤル(国土交通大臣指定の住まいの相談窓口)
参考:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいダイヤル)
- 消費者センター(国民生活センター)
参考:消費者センター(国民生活センター)ホットライン「188」
悪徳業者による詐欺や多額の費用をだまし取られてしまった場合は、最寄りの警察の生活安全相談係や警視庁生活安全相談センターに相談しましょう。弁護士会の法律相談センターでも無料で相談に乗ってくれます。
参考:警察署一覧
参考:警視庁生活安全相談センター 電話:03-3581-4321(警視庁代表)
参考:弁護士会の法律相談センター
まとめ
今回は、外壁・屋根塗装の基本である「3回塗り」の必要性について解説しました。3回塗りの必要性は「丈夫な塗膜を形成するため」です。
外壁や屋根は常に紫外線や雨風の影響を受けます。一度のみの塗りでは水を吸収しやすくなり、十分な防水機能を発揮できずに雨漏りにつながることがあります。
紫外線や雨風から建物を守るために強い塗膜を作る必要があります。そのためにも下塗りで下地をしっかりと行い、中塗りで色付けとともに塗膜を作り、仕上げに上塗りで塗膜をさらに強いものにします。
建物を保護するためにも、3回塗りの工程をしっかり守る優良な業者へ依頼する必要があります。優良な業者をすぐに見つけられない場合は、「ペイントGO」がおすすめです。
ペイントGOは優良な外壁・屋根塗装業者を探せる検索サイトです。施工実績や接客対応など厳しい審査基準に合格した業者のみが掲載されており、お住まいの近くの業者がすぐに見つかります。
外壁や屋根塗装にかかる費用も事前にシミュレーションも可能ですので、ぜひご活用ください。