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外壁から雨漏りが発生するのはどうして?
多くの方が、雨漏りと聞くと屋根から発生するものと考えがちです。
そのため、「雨漏り調査で屋根を診てもらったけど、何の不具合も無いと言われた。本当にちゃんと点検してくれたの?業者の知識不足?」と思われる方も多いです。
しかし、屋根に原因が無い場合は、多くの場合で外壁に原因があります。
屋根から雨漏りが起こった場合、「天井裏からポタポタと水の音がする」「天井や室内の壁にシミができた」など、雨漏りの症状は天井に表れます。
屋根材、あるいは屋根材の下に敷いてあるルーフィングに何かしらの不具合があった場合、屋根から侵入した雨水は途中で下地材や梁などに含水されます。
そして、下地材や梁から溢れ出た水が下に向かって移動していくため、ほとんどの場合で天井に何かしらの不具合が発生します。
この、「わかりやすいカタチで、天井に何かしらの不具合として表れる」ことが、皆様が雨漏りは屋根から起こるものと認識している大きな要因でしょう。
外壁からの雨漏りは発生がわかりにくい?
一方、外壁から雨漏りが起こった場合はどうでしょう?
外壁のひび割れなどから侵入した雨水は、屋根と同様に下に向かって移動していきますが、基本的に横方向には移動しません。
そのため、室内の壁面には雨染みなどができにくく、わかりやすいカタチで症状として表れないのです。
また、外壁からの雨漏りの特徴として、強風を伴う横殴りの雨でないと雨漏りが発生しにくいという点が挙げられます。
上述のように基本的に外壁からの雨漏りは下に向かって移動するため、横から強烈に吹き付ける雨天でないと雨漏りが発生しないのです。
そのため、「前回の台風では雨漏りしなかったのに、今回初めて雨漏りが起こった」「暴風雨でも雨漏りが起こる時と起こらない時がある」といったケースは、風向きが大きく関係しています。
このように、通常の雨では雨漏りが発生せず、散水調査の際も雨漏りが再現しにくく、原因箇所の特定が難しいのが外壁からの雨漏りです。
さらに問題は、外壁から侵入してきた雨水は外壁内の防水紙、そして断熱材によって遮断されるという点です。
防水紙、断熱材に雨水が含水されてしまい、室内の壁に雨染みを作るまでなかなか至らないのです。
逆に言えば、室内に雨染みを作っている場合、
・外壁(防水紙・断熱材を含む)の劣化がかなり進行してしまっている
・防水紙・断熱材でも受け止めきれないほどの雨水が一度で侵入してきた
この2つのケースが考えられるでしょう。
それでは、そもそもなぜ外壁から雨漏りが発生するのかについて詳しく見ていきましょう。
新築・築浅での雨漏りは施工不良の可能性大
新築から間もない住宅、あるいはまだ数年未満の住宅で雨漏りが起こった場合、施工不良が原因である可能性が高いです。
雨漏りの原因箇所になりやすい窓・サッシの枠周り、また外壁と屋根が取り合う部分の雨仕舞がきちんとできていない場合に雨漏りが起こりやすいです。
ちなみに雨仕舞とは、建物内部に雨水が侵入しないようにする製品の構造や設置・固定の仕組みを指します。
築10年以上なら外壁の劣化が原因
築10年以上の外壁には、コーキングの劣化・ひび割れ(クラック)・塗膜の欠けや浮きといった劣化症状が表れはじめます。
それらのいずれもが雨漏りの原因となる可能性があります。
また、幕板や水切り、笠木といった付帯部も劣化が進み、雨漏りの原因箇所になり得ます。
外壁からの雨漏りの原因となりやすい事例として、
・窓・サッシ周りのコーキングの劣化、ひび割れ
・外壁目地のコーキングの劣化、ひび割れ
・幕板裏のコーキングの劣化、ひび割れ
・外壁のひび割れ、変形、破損
・水切り金具の不具合(塗膜剥がれ・釘の浮き・腐食など)
・ベランダやバルコニーの防水層の劣化
・笠木コーキングの劣化、腐食
などが挙げられます。
こういった劣化症状が起こらないように、塗膜によって外壁を守るのが外壁塗装です。
どんな外壁材であっても、そのままでは雨水や紫外線に長期間耐久できるようにはできていません。
だからこそ、塗装によって塗膜を作ることで、雨水や紫外線など外的要因から建物を保護しているのです。
塗膜による耐久性・防水性などが経年によって落ちてくると、外壁は外的要因の影響を直接受けてしまいます。
そうなれば、外壁材は一気に劣化してしまう恐れがあります。
雨漏りの発生を防ぐためには、「雨漏りなど被害が起こる前に外壁塗装を行い、建物を雨水や紫外線から守る」ことが何より重要です。
外壁塗装・屋根塗装だけでは雨漏りは直らない
雨漏りが発生すれば、屋根修理・雨漏り修理の専門店、あるいは塗装業者や工務店などに依頼をされるかと思います。
その際、塗装業者によっては「外壁塗装・屋根塗装をすれば雨漏りが止まりますよ」と断言する場合がありますが、これは誤りです。
塗装業者の言葉を信じて高額な塗装工事をしたにも関わらず雨漏りが止まらなかった…、というのは実は非常に多い事例です。
塗装をしたからといって雨漏りが直るほど、雨漏り修理は簡単な工事ではありません。
後述で詳しく解説しますが、「塗装すれば雨漏りが直る」と言ってくる業者を信用しないでください。
優良塗装業者は「塗装すれば雨漏りが直る」とは言わない
雨漏り修理を行う際は、多くの業者が散水調査を行い、「ここが原因だろう」という見立てを行います。
経験豊富な業者であっても見立て通りにいくのは8〜9割程度で、それ以外は予想外の箇所が雨水の侵入経路になっています。
次の図は屋根の構成図になります。
屋根材が違えどほとんどの屋根はこのような構成になっています。
この場合、一番最初に屋根表面で建物を雨水から守っているのが屋根材になりますが、これを一次防水と言います。
そして、屋根材の隙間から屋根内部へと侵入した雨水を二段構えで防いでいるのがルーフィング(防水紙)であり、これを二次防水と言います。
屋根から雨漏りが起こる場合、屋根材だけの劣化・破損で雨漏りが起こることはほとんどなく、多くの場合でこの二次防水に何かしらの不具合が起こっています。
図を見ていただくとわかるように、屋根内部に雨漏りの原因がある状態で、屋根表面の屋根材をいくら塗装しても根本的な解決にはなりません。
この場合必要になるのは、屋根工事業者による屋根葺き替え工事です。
ですので、「塗装すれば雨漏りが直る」といったことはあり得ません。
外壁表面に雨漏りの原因がある場合なら、塗膜を塗り替えることによって一時的に雨漏りが止まって直ったように見えることもあるでしょう。
しかし、雨漏りの原因は多岐にわたるため、本当に信頼できる優良業者であれば無責任に「塗装すれば雨漏りが直る」とは決して言ったりはしません。
塗装は外壁材・屋根材を保護するために行うもの
外壁塗装・屋根塗装は、雨漏りを直すために行うものではありません。
あくまでも、外壁材・屋根材が劣化して雨漏りが発生しないよう、外壁材・屋根材を保護するために行う工事です。
スレートなどの屋根材やモルタル・窯業系サイディングなどの外壁材は、それ自体は防水性が決して高くありません。
そのため、表面に塗膜を形成することで水が素材に染み込むのを防いでいるのです。
いずれの素材も水分を吸い込むと膨張し、吸い込んだ水分が乾燥すれば収縮します。
この膨張と収縮を繰り返すことで素材自体が脆くなってしまい、ひび割れなどの不具合を引き起こすのです。
こういった不具合を引き起こさないように、水分から外壁材・屋根材を守るために行われるのが外壁塗装・屋根塗装なのです。
塗装工事は建物の維持・保全、特に防水性の維持・回復を目的とした工事であり、補修・修繕を目的とした工事ではありません。
前項で解説した通り、内部の原因箇所を補修・修繕せずに表面を塗膜で覆ってしまえば、言わば「臭い物に蓋をする」状態になってしまうのです。
塗装工事の目的が補修・修繕ではないので当然ですね。
雨漏りを直すためには、原因箇所ごとに適した補修・修繕工事を行う必要があり、塗装工事だけでどんな雨漏りでも直るといったことは決してありません。
雨漏り修理には塗装工事以外も必要になる
ここまで解説してきた通り、塗装工事だけでは雨漏りを直すことはできません。
雨漏り修理後に外壁や屋根を雨水から守るために塗装工事を行うことはありますが、雨漏りを直すためには必ず塗装工事とは別で補修・修繕工事が必要となります。
そして、塗装工事とは別の補修・修繕工事が行われる訳ですから、当然その分は見積書に反映されます。
塗装業者によって見積書の書式は違いますが、本来であれば塗装工事とは別に、補修・修繕工事に関する項目(使用部材や工賃、金額など)が記載されているはずです。
もしそれらの記載が無く、「一式」表記でまとめた見積書を提出してくる業者がいれば、そのような業者に工事を依頼するべきではありません。
見積書は塗装業者が皆様に対して、「当社は〇〇という材料を使って、工賃は〇〇円で工事します」と明記するものです。
それを一式とまとめてしまっては、何の工事にいくらかかったのか、そもそも本当に適正な工事を行なったのかが全くわかりません。
このような業者は、いくら老舗であったり経験が豊富な業者であっても工事を依頼するべきではありません。
お客様に対して工事内容を明記しないということは、お客様への誠実さに欠けると言えるでしょう。
雨漏り修理に際してどんな工事を行うのかをしっかりと説明してくれる業者に依頼するようにしましょう。
外壁からの雨漏りかどうかを見極めるポイント
雨漏り修理は原因箇所の特定が必須ですが、原因を見つけるためには屋根に登らねばならず危険が伴います。
また、散水調査によって屋根の上が濡れてしまえば、さらに転倒や落下の危険性が増します。
ですので、雨漏りを発見してもご自身では修理しようとせず、専門業者に依頼することをお勧めします。
ただ、専門業者に依頼すると調査に来てくれるまで時間がかかりますし、業者によっては費用もかかります。
そのため、安全な地上から外壁に原因があるのかどうかだけでも見当をつけておくと時短になり、コストを抑えることができるかもしれません。
次のような項目を外壁に発見したら、雨漏りの原因は外壁にあるかもしれません。
外壁のひび割れ(クラック)
外壁表面にひび割れがあれば、ひび割れの隙間から雨水が内部へ侵入している可能性があります。
ただし、幅0.3㎜以下、深さ4mm以下の細いひび割れは「ヘアークラック」と呼ばれますが、ひび割れがこの範囲内であれば大丈夫でしょう。
問題は、幅0.3㎜以上、深さ5mm以上のひび、「構造クラック」です。
特に、ひびが外壁の奥深くまで達している場合には要注意です。
ひび割れは外壁の劣化症状としては非常にわかりやすいので、雨漏りが起こっていない状況でもひび割れを発見したら早めに補修・修繕、そして外壁塗装を検討した方が良いでしょう。
外壁目地・継ぎ目のコーキングの劣化
外壁の目地や継ぎ目にはコーキングが打設されています。
このコーキングは紫外線に弱く、ほとんどの場合で外壁材より先に劣化が進みます。
そして、コーキングの劣化が進めばコーキング自体が硬化し、表面にひび割れが発生します。
そこまで劣化が進んでしまえば、ほとんど防水性は損なわれていると言えるでしょう。
目地部分のコーキングを指で触れてみて、もしコーキングの柔軟性が無くなり硬くなっているようなら、コーキングの打ち替え、あるいは打ち増しを検討してください。
外壁の変色・コケやカビの発生
外壁の一部が変色している場合、その箇所は何かしら不具合が発生していると疑って良いでしょう。
また、常時水分がある場所にか発生しないはずのコケやカビが発生している場合、外壁表面の防水性が損なわれている恐れがあります。
ベランダやバルコニーと外壁との取り合いなど、違う建材が取り合っている箇所は雨漏りが発生しやすい箇所です。
じっくりチェックして、外壁の色が変わったりコケやカビの発生していないか確認してください。
雨漏り修理で覚えておきたい大切なポイントとは?
ここまで、外壁から雨漏りが起こる原因や、外壁塗装では雨漏り修理にはならない理由を解説しました。
それでは、雨漏り修理覚えておきたい大切なポイントとはなんでしょう?
「塗装をすれば雨漏りが止まる」という業者は信用しない
まずは、繰り返しになりますが、「外壁塗装・屋根塗装をすれば雨漏りが止まりますよ」と断言する塗装業者を信用しないことです。
上述で解説したように、塗装は建物の維持・保全、特に防水性の維持・回復を目的とした工事であり、補修・修繕を目的とした工事ではありません。
外壁塗装と雨漏り修理は全く別の工事です。
「塗装をすれば雨漏りが止まる」という業者は、あくまで塗装工事の契約を結びたいだけと思って問題ないでしょう。
雨漏り修理ではなく塗装工事だけが目的の業者が施工した場合、塗装したことによって雨漏りがさらに悪化する恐れもあります。
屋根は通常の塗装工事でも特に注意が必要な箇所で、万が一塗膜によって雨の排水経路を塞いでしまうと、逃げ場を無くした雨水が溢れ出し、雨漏りが悪化したり別の箇所から雨漏りが発生したりもします。
塗装だけを目的に何も考えず塗装すればほぼ間違いなく排水経路を塞いでしまうでしょう。
雨漏り修理を目的に、雨の排水経路までしっかり把握した上で施工してくる塗装業者に依頼するようにしてください。
雨漏りの原因箇所を確実に突き止める
次に大切なのは、雨漏りの原因箇所を確実に突き止めることができる業者に依頼することです。
そもそも、原因箇所を突き止めていなければ、本当に適正な対処をすることも難しいでしょう。
ただし、雨漏りの原因箇所の特定は、経験豊富な業者であって非常に難しい作業です。
そのため、雨漏りに気づいたらご自身でも状況をメモしておくと良いでしょう。
雨漏りが起きている場所、起きる頻度、起きた際の雨量や風向きなどを記録しておけば、雨漏りの原因箇所の特定に必ず役立ちます。
雨漏りが起こっている箇所が直接の原因ではないケースも非常に多いです。
建物内部の構造部を伝って雨漏りが発生していることもあり、全く予想もしていなかった箇所が原因だったという事例もあります。
だからこそ、むやみに塗装工事をしただけでは決して直らないのが雨漏りです。
雨漏りの原因箇所を確実に突き止めることができる、信頼できる塗装業者に雨漏り修理を依頼しましょう。
雨漏り修理なら火災保険が適用されるケースも
また、雨漏り修理の際に忘れてはならないのが火災保険の存在です。
火災保険や住宅総合保険に加入されている場合、雨漏り修理に火災保険が適用される場合があります。
適用される条件は加入されている保険によって異なりますが、雨漏りが「風災」による被害であることが証明できれば、火災保険が適用される可能性が高くなります。
ただし、被害が経年劣化や新築時の施工不良と判断された場合は保険の対象外になるので注意しましょう。
雨漏り修理は経験豊富な塗装業者に依頼しよう
結論からお伝えすると、雨漏り修理を依頼する先は、屋根修理・雨漏り修理の専門店、塗装業者、工務店などリフォーム業者のいずれであっても大丈夫です。
雨漏り修理の経験・知識が豊富な業者であれば、どんな業種であってもしっかり雨漏りの原因箇所を補修・修繕してくれるでしょう。
そのためにも、依頼する業者の施工実績は必ず確認するようにしてください。
雨漏り修理は、塗装工事や屋根工事以上に経験がものを言う工事です。
施工実績が豊富な業者を選べば、プランも幅広く提案してくれ、しっかり雨漏りを直してくれるでしょう。
実績はその業者のホームページでも確認することができますし、ホームページに掲載されていない場合は直接業者に雨漏り修理の実績があるのか聞いてみましょう。
ペイントGOの施工実績ページにも、登録業者の雨漏り修理の実績をいくつか掲載しています。
当サイト内では紹介しきれていない実績も数多くあるので、気になった塗装業者がいればホームページへのリンクも掲載していますので、ぜひ塗装業者のホームページを覗いて実績をご確認ください。