目次
外壁メンテナンスの4つの種類とメリット・デメリット
主な外壁メンテナンスの種類は4つです。それぞれのメリット・デメリットを解説します。
- 塗り替え
- 部分補修
- 重ね張り(カバー工法)
- 張り替え
それぞれ解説します。
塗り替え
メンテナンス方法の1つ目は外壁の塗り替えです。塗装は外壁の防水性の向上や美観を保つ役割があり、長持ちさせるためには重要なメンテナンス方法です。
外壁は常に紫外線や雨風にさらされており、時間が経過すると塗膜が弱くなります。塗膜が劣化した状態を放置すると、雨漏りにつながることがあります。
メリット
塗り替えのメリットは、外観が美しく生まれ変わる点と建物の劣化の進行を遅らせられることです。また、塗料によっては遮熱性に優れた塗料や防汚・防カビ・防藻機能に優れた塗料もあり、付加機能をプラスすることもできます。
デメリット
デメリットとしては、塗装範囲によっては費用が高額になることです。塗り替えの費用相場は使用する塗料にもよりますが、1平方メートルあたり3,000〜5,000円です。30坪の一戸建ての場合は30〜50万円程度で、工期は7〜10日程度を見ておくとよいでしょう。
また、工事期間は洗濯物が干せなかったり、窓の開閉に制限がでます。足場を組んだり飛散防止ネットを設置することで、近所へ配慮する必要も出てきます。ですが、塗装は防水性を高めて建物を保護する役割もあるため、塗り替えをしないことの方がリスクといえます。
部分補修
シーリングの切れや0.3mm未満のひび割れ、部分的な外壁塗装など、軽度な劣化状態であれば部分補修にて補修を行います。
メリット
部分補修のメリットは、コストを抑えられる点です。参考までに、部分補修の主な費用相場は以下のとおりです。
- シーリングの打ち替え:900〜1,500円/1平方メートル
- ひび割れの補修:2,000〜3,000円/1平方メートル
- 外壁の剥がれの補修:4,000〜6,000円/1平方メートル
- 高圧洗浄による汚れ落とし:200〜300円/1平方メートル
部分補修は軽微な補修のみ有効です。外壁の劣化状態によっては部分補修ではなく、後述する重ね張りや張り替えによる工事が必要になる場合もあります。
デメリット
デメリットは部分補修した箇所が目立ちやすく、美観を損ねる恐れがあります。また、部分的な補修は長い効果は期待できません。ひび割れや剥がれなどが再発する恐れがあります。
重ね張り(カバー工法)
外壁の重ね張りはカバー工法ともいいます。塗装や部分補修では対処しきれない場合に用いられるメンテナンスです。重ね張りは、既存の外壁を撤去せずに上から新しい外壁材を重ねる方法です。
メリット
張り替えと比較して、既存の外壁材を撤去しないため撤去費用や廃棄費用が不要なため、費用や工期が短縮できるのがメリットです。また、外壁材が二重になる分、断熱性や遮熱性も高まります。
デメリット
デメリットは新しい外壁材をかぶせてしまうため、既存の外壁材の劣化状況を確認しづらくなる点です。また、重ね張りは二重になる分、重量も増えるため耐震性が下がる点もデメリットといえます。
張り替え
張り替えは外壁材の状態が酷い場合や雨漏りしている場合に用いられるメンテナンスです。既存の外壁材をすべて撤去して新しい外壁材に取り替える工事です。
メリット
既存の外壁材をすべて撤去するため、外壁が雨漏りの原因の場合、雨漏りを根本的に解決できるのがメリットです。また、ガルバリウム鋼板など軽量な外壁材に変えることで、耐震性の向上も期待できます。
デメリット
デメリットは、既存の外壁材をすべて撤去するため撤去費用や廃棄費用がかかるため、工事費用が高額になることです。また、工期も重ね張りに比べて5日程度多くかかります。
外壁材の種類とメンテナンス周期
ここでは、外壁材の種類とメンテナンス周期について解説します。主な外壁材は以下のとおりです。
- 窯業系サイディング
- 金属系サイディング
- 木質系サイディング
- 樹脂系サイディング
- モルタル
- ACLパネル
- タイル
それぞれ解説します。
窯業系サイディング
窯業系サイディングは、主原料のセメントに繊維質を混ぜて板状に成形した外壁材です。製造工程で窯を使って高温処理されているため「窯業」という名がついています。
窯業系サイディングは耐火性や耐震性に優れていながら、安価な点がメリットです。タイル柄や木目調、レンガ調などさまざまなデザインが発売されており、日本でもっとも多く使われている人気の外壁材です。
メンテナンス周期は約7〜8年で、価格相場は1平方メートルあたり3,000円程度です。
金属系サイディング
金属系サイディングは、塗装金属板と断熱材が一体となった外壁材です。金属の種類は「塗装ガルバリウム鋼板」「塗装溶融亜鉛めっき鋼板」「アルミニウム合板塗装板」「塗装ステンレス鋼板」などの4種類があり、「塗装ガルバリウム鋼板」が多く使われています。
軽量で耐震性に優れていながら、断熱材と一体となっているため省エネ効果も期待できます。ほかの外壁材に比べてひび割れや凍害の心配がないのもメリットです。
メンテナンス時期は約10〜15年で、1平方メートルあたり4,000円程度が価格相場です。
木質系サイディング
木質系サイディングは天然の無垢材に耐火性などの機能を追加した外壁材です。天然の無垢材のため木の温もりを感じられて、温かみのある外観に仕上がるのが特徴です。
材質が天然の木材のため、塗装による防水性が失われると腐食しやすくなる点がデメリットといえます。また、耐火性の機能を追加してはいるものの、ほかの外壁材に比べて劣るため、準防火地域では使用できない可能性がある点も注意が必要です。
メンテナンス周期は約10年で、1平方メートル6,000円程度が相場です。
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは「塩化ビニル樹脂」を主原料とした外壁材です。施工時にシーリング(コーキング)を使用しないため、外壁材の継ぎ目が目立ちにくく、シーリングのメンテナンスが必要ないことが特徴です。
塩化ビニル樹脂の素材の利点から、耐衝撃性や耐久性に優れており、塩害や凍害に強い点もメリットです。
メンテナンス周期は約10〜29年、1平方メートルあたり9,000円程度が価格相場です。
モルタル
モルタルの外壁はセメントや砂、水を混ぜ合わせて成形する外壁材です。モルタルの仕上げ方は「リシン」「スタッコ」「吹き付けタイル」「左官仕上げ」の4つがあります。窯業系サイディングなどのようにシーリングが不要で、金属系外壁材のように表面が熱くなりにくい点がメリットです。また、曲面にも施工可能です。
一方で、現場で職人によって仕上げ作業を行うため、職人の腕によって仕上がりに差がでる点はデメリットです。
メンテナンス周期は8〜10年で、1平方メートルあたり4,500円程度が相場です。
ALCパネル
ALCパネルとは、珪石・セメント・生石灰・発泡剤のアルミ粉末などを主原料としたコンクリートの外壁材です。ALCパネルは不燃材料のため耐火性に優れており、発泡剤の効果によって断熱性も持ち合わせています。
また、外壁材内部にはスチール製の金網が組み込まれているため、強度にも優れています。
メンテナンス周期は約10〜15年、1平方メートルあたり7,500円程度が相場です。
タイル
タイル外壁は土や石を約1,300度の高温で焼き固めてできています。タイルは耐候性に優れており、塗装メンテナンスが必要ない点もメリットです。初期費用が高い点がデメリットといえますが、デザイン性に優れているため重厚感や高級感を出したいときはおすすめできる屋根材です。
メンテナンス周期は約20年と長くメンテナンス費用が抑えられますが、1平方メートルあたり13,000円とほかの屋根材より高価格帯の屋根材です。
外壁の劣化状況の見分け方
ここでは、外壁の劣化状況の見分け方について解説します。基本的には見た目の劣化状況によって見分けることになりますが、耐用年数でメンテナンスを考えるのもひとつです。
劣化状況で見分ける
以下のような症状が出てきたときはメンテナンスのタイミングです。
- 塗装の色あせや剥がれ
- シーリングのひび割れや割れ、痩せ
- チョーキング現象
- 外壁材の割れ
- 外壁材の浮きや反り
外壁材の汚れや色あせ、チョーキング現象がみられるようであれば、塗膜が劣化し防水性が落ちているサインです。外壁材から雨漏りしていなければ、再塗装することで防水性が復活し見た目の印象もよくなります。
外壁材の割れや浮き、反りが発生している場合は、雨水が浸入している可能性があります。雨漏りしていなければ重ね張りで対応も可能ですが、雨漏りしているようであれば外壁材の張り替え工事が必要となります。
耐用年数で見分ける
「外壁材の種類とメンテナンス周期」の章でも解説していますが、外壁材の種類によって耐用年数に差があり、7〜10年程度をひとつの目安として考えるのがよいでしょう。
金属系や樹脂系、タイルなどはメンテナンス周期が長い外壁材ですが、置かれている環境によって早く劣化する場合もあります。見た目の劣化状況も考慮しながらメンテナンスするのをおすすめします。
外壁のメンテナンスを怠ると起こるリスク
外壁のメンテナンスを怠ると起こるリスクは以下の3つです。
- 雨漏りが発生する
- 外観の印象が悪くなる
- 修理費用が高額になる
それぞれ解説します。
雨漏りが発生する
外壁のメンテナンスが必要なタイミングは外壁に現れます。外壁のひび割れ、浮きや剥がれなどです。症状が現れても放置してしまうと、ひび割れや剥がれの隙間から雨水が浸入することで雨漏りが発生します。
外観の印象が悪くなる
外壁が劣化してくると見た目の印象が悪くなってしまいます。塗装が劣化してくると、外壁に汚れや色あせが目立つようになります。汚れや色あせは塗膜が劣化しているサインです。
外観の印象が悪くなると、近隣や来客から良いイメージを持たれません。外壁塗装は建物を保護する防水の役割もしています。汚れや色あせが進行すると、防水機能が働かなくなり雨水が浸入し雨漏りにつながります。
修理費用が高額になる
外壁のメンテナンスを怠ると、劣化が進み建物全体に傷みが生じます。早めに対処すれば部分補修など比較的安価な修理費用で済みますが、放置すると部分補修では対応できずに、外壁の重ね張りや張り替えといった高額な修理費用へと発展してしまう恐れがあります。
外壁を長持ちさせるためのメンテナンス方法
外壁はメンテナンスフリーではありません。外壁のメンテナンスを放置してしまうと、劣化が進み建物の耐久性が落ちるだけでなく、修理費用が高額になってしまいます。
定期的にメンテナンスすることで、外壁だけでなく家の寿命も延ばすことにもつながります。ここでは外壁を長持ちさせるメンテナンスを3つ紹介します。
定期的な掃除
日ごろからできるメンテナンスとして、定期的に掃除することをおすすめします。外壁は常に紫外線や雨風にさらされているため、ホコリやゴミなどが付き、汚れてきます。
外壁の汚れを放置すると、最終的には雨漏りにつながってしまうため、定期的に汚れを落とすことで塗装の効果を長持ちさせ、防水機能も維持できます。
定期的にできる掃除として、モップやブラシを使って汚れを落とします。家庭用の高圧洗浄機であれば傷つけることも少ないです。注意してほしい点としては、高所での作業は控えるようにしてください。
高所での作業は転落の危険があるため、専門業者に任せるようにしましょう。
定期点検
定期的な清掃とあわせて重要なのは、定期点検です。定期点検は外壁のプロに点検してもらうことをおすすめします。日々の掃除で家の状態を把握することはできますが、細かく確認するのは難しいです。
定期点検は新築であればハウスメーカーや工務店などで行ってくれます。屋根や外壁の修理経験があれば、担当した施工業者が定期点検をしてくれるでしょう。
耐用年数の長い塗料を使う
軽微な劣化であれば、定期的な塗り替えをすることで外壁が長持ちします。塗り替えの際、耐用年数の長い塗料を選べば、メンテナンスの頻度も抑えられます。
耐用年数の長い塗料は初期費用が高くなりますが、メンテナンスの頻度が少なくなる分、結果的にコストパフォーマンスが良くなります。
参考に、主な塗料と耐用年数、価格相場について紹介します。
- アクリル塗料:耐用年数約3〜5年、価格相場:1缶あたり5,000〜15,000円
- ウレタン塗料:耐用年数約5〜7年、価格相場:1缶あたり5,000〜20,000円
- シリコン塗料:耐用年数約7〜10年、価格相場:1缶あたり12,000〜40,000円
- フッ素塗料:耐用年数約15年、価格相場:1缶あたり35,000〜100,000円
- 無機塗料:耐用年数約15年、価格相場:1缶あたり50,000〜120,000円
- 光触媒塗料:耐用年数約15年、価格相場:1缶あたり50,000〜100,000円
上記金額はあくまで目安となり、塗装の範囲や価格相場によって変動します。
外壁のメンテナンスをするうえでの注意点
ここでは、外壁のメンテナンスをするうえでの注意点について解説します。注意点を把握することで、外壁のメンテナンスについての失敗が少なくなりますので、しっかりと理解しておきましょう。
DIYでは行わない
DIYは費用を安くできるメリットがありますが、シーリング補修や塗装など知識がなく行ってしまうと、余計に劣化が進んでしまう恐れがあります。
また、仕上がりに納得いかずに何度も繰り返し余計に費用がかかってしまう場合があります。結果的にプロに頼んだ方が、費用や時間の節約になります。
実績のある専門業者へ依頼する
外壁のメンテナンスをする場合は、実績のある専門業者へ依頼することが大切です。外壁塗装であれば外壁塗装を専門にしている業者、外壁の修理であれば、板金業者や屋根・外壁修理業者になります。近年は外壁塗装や屋根・外壁修理、雨漏り修理など総合的に行っている業者もあります。
実績があるかどうかは、業者のホームページで過去の施工実績などや料金一覧、施工メニュー、口コミなどを確認してから依頼するようにしましょう。すぐには見つけられない場合は、外壁や雨漏り修理の検索サイトや比較サイトも参考にしてみるのもよいでしょう。
まとめ
今回は、外壁メンテナンスの種類とそれぞれのメリット・デメリットについて解説しました。主なメンテナンスは以下の4つです。
- 塗り替え
- 部分補修
- 重ね張り(カバー工法)
- 張り替え
外壁メンテナンスは劣化状況によって、メンテナンス方法が異なります。外壁の汚れや色あせのみであれば塗り替え、シーリングのひび割れや痩せなどであれば部分補修が可能です。
しかし、外壁材の割れや浮き、剥がれ、反りなどの症状であれば外壁材の張り替えなど劣化症状に応じた対応が必要です。雨漏りしている状況であれば、下地材や防水シートなども傷んでいる場合もあるため、張り替えが必要となり重ね張り(カバー工法)では対応できません。
外壁材の劣化症状を放置してしまうと、外観の印象が悪くなるだけでなく雨漏りにつながります。また、雨漏りしてしまうと修理費用が高額となる可能性もあります。
外壁を長持ちさせるためにも、定期的な清掃や定期メンテナンスが重要となります。外壁材の汚れを落とす簡単なメンテナンス以外は専門業者への依頼がおすすめです。
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