目次
軒天とは?役割と劣化しやすい理由
「軒天(のきてん)」とは、屋根の裏側にある天井部分のことを指します。玄関ポーチやベランダの天井部分も軒天に含まれます。
一見目立たない場所ですが、軒天には以下のような役割があります。
雨水の吹き込み防止
屋根の先端部分からの雨水や湿気の侵入を防ぎ、外壁や住宅内部を守ります。
屋根裏の換気・通気性確保
通気孔が設けられている場合、屋根裏の湿気を逃し、結露や腐食を防ぐ働きがあります。
火災時の延焼防止
防火性能のある材料が使われることで、屋根裏への火の回りを遅らせる役割もあります。
住宅の美観を整える
玄関まわりやベランダの軒天が綺麗に保たれていることで、住まい全体の印象が引き締まります。
ただし、軒天は紫外線や雨風、湿気の影響をダイレクトに受けやすい場所であり、劣化が進みやすい部位でもあります。以下のような劣化症状が現れたら、塗装メンテナンスが必要です。
- 色あせ・汚れ
- 塗装の剥がれ・浮き
- 黒ずみ・カビ・シミ
- 板材の反り・割れ
軒天塗装はDIYでできる?
「業者に頼むと費用がかさむから、自分で塗ってしまおうかな…」
軒天塗装について、こんな風に考える方は少なくありません。実際、軒天の塗装はDIYでも対応可能です。しかし、メリットだけでなくデメリットやリスクも理解したうえで判断することが大切です。
DIYのメリット
軒天塗装をDIYで行う最大の魅力は、コスト面での大きな節約効果です。
業者に依頼した場合、足場代や人件費、材料費などが含まれ、最低でも5万〜15万円程度の費用がかかります。しかしDIYなら、塗料や道具代だけで済み、数千円〜1万円程度に抑えられることも可能です。
また、DIYならではの利点として、自分のペースで作業できる点も挙げられます。天候や体調に合わせて作業日を調整できるため、急がず丁寧に作業したい方には向いています。
さらに、「軒天の一部分だけ汚れが気になる」「広範囲ではなく、玄関ポーチだけ補修したい」といった場合は、業者に頼むよりも手軽に対処できるのがDIYの強みです。
DIYのデメリット・注意点
一方で、軒天塗装をDIYで行う際には、次のようなデメリットやリスクに注意が必要です。
高所作業の危険性
軒天は家の「天井部分」に位置するため、脚立や足場を使った高所作業が不可避です。特に2階部分や、ベランダの軒天など高い場所では、バランスを崩すと転落事故のリスクもあります。
DIY初心者にとっては「思った以上に危険な作業」になるため、安全面への配慮が欠かせません。作業に不安がある場合は、無理せず業者に依頼することを検討しましょう。
塗りムラ・塗料剥がれが起きやすい
軒天は顔より上の位置にあり、天井面への塗装作業は非常に腕や肩に負担がかかります。長時間の作業で疲れてくると、どうしても塗料の厚みが均一にならず、ムラや塗り残しが発生しやすくなります。
また、軒天は湿気がこもりやすく、塗料の密着性が低下しやすい部分でもあるため、適切な塗料を選び、下地処理を丁寧に行わないと、すぐに剥がれてしまうリスクがあります。
下地処理が難しい
軒天の劣化は、目に見える「色あせ」や「剥がれ」だけでなく、目地部分の浮きやカビの発生など、下地部分にまで及んでいることが多いです。見た目だけ綺麗に塗っても、下地処理が不十分であれば、数ヶ月で再びトラブルが発生してしまいます。
DIYでは、こうした下地補修の判断や対応が難しいため、「見た目だけの簡易的な補修」になることも覚悟が必要です。
DIYに必要な道具・材料
軒天塗装をDIYで行う場合には、以下のような道具や材料が必要となります。
- 下塗り用シーラー:塗料の密着性を高めるために必須です。軒天は湿気がこもりやすいので、専用シーラーを選びましょう。
- 軒天専用塗料:防カビ・防藻・透湿性の高い塗料がおすすめです。通気を妨げない塗料を選ぶことで、長持ちする仕上がりが期待できます。
- ハケ・ローラー:天井面はローラーで広範囲を均一に塗り、隅や細かい部分はハケを使って丁寧に仕上げます。
- 脚立・足場台:安全性を重視し、作業しやすい高さの台を準備しましょう。2人以上で作業するのが理想です。
- 養生シート・マスキングテープ:外壁や窓サッシに塗料が飛ばないよう、しっかりと養生することが必要です。
- 高圧洗浄機またはデッキブラシ:軒天の汚れやカビをしっかり除去するために使います。高圧洗浄がベストですが、ブラシでの手洗いでも代用できます。
DIY作業の流れ
①清掃・下地処理
まずは軒天の汚れやカビ、ホコリをしっかり落とします。高圧洗浄機があると便利ですが、デッキブラシと洗剤での手作業でも対応可能です。カビがひどい場合は、カビ取り剤を使い、完全に乾燥させます。
②養生作業
塗料が外壁やサッシ、植栽に付かないようにビニールシートとマスキングテープで養生します。養生が甘いと、作業中の塗料飛散で余計なトラブルに繋がります。
③シーラー(下塗り)塗布
下地と塗料を密着させるために、軒天専用のシーラーを全体に塗ります。ここで手を抜くと塗料が剥がれやすくなるため、均一に丁寧に塗ることが大切です。
④上塗り(2回塗りが基本)
1回目の上塗りを行い、しっかり乾燥させます。その後、2回目の上塗りで塗膜に厚みを持たせ、美しい仕上がりに仕上げます。
⑤養生撤去・清掃
塗料が完全に乾いたら、養生を丁寧に剥がし、周囲の清掃を行って作業完了です。
DIYは「小さな範囲」に限定するのがおすすめ
DIYでの軒天塗装は、玄関ポーチの天井部分や、1階部分の手が届く範囲であれば十分に対応可能です。しかし、2階部分やベランダの軒天、高所作業が伴う部分は、安全性・仕上がりを考慮して、プロに依頼することをおすすめします。
無理にDIYに挑戦して、転落事故や施工不良になってしまっては、逆に大きなコストがかかってしまうことにもなりかねません。「無理をしない」「自分の限界を知る」ことが、DIY成功のコツです。
業者に依頼する場合のメリット・デメリット
軒天の塗装はDIYでも挑戦できますが、特に「安全性」「仕上がり」「耐久性」を重視するなら、やはりプロの業者に依頼するのが安心です。ただし、費用面や業者選びの失敗リスクも含めて、メリット・デメリットを理解しておく必要があります。
業者に依頼するメリット
安全に高所作業ができる
軒天塗装で最もリスクが高いのが「高所作業」です。特に2階部分やベランダの軒天は、脚立だけでの作業は非常に危険で、転落事故につながる可能性もあります。
プロの業者であれば、作業箇所に応じて適切な足場を設置し、安全対策を万全にしたうえで作業を行います。さらに、安全講習を受けた職人が作業するため、事故リスクを限りなくゼロに近づけることが可能です。
安全に作業が進むことで、作業効率も上がり、結果として仕上がりも安定します。
下地処理や補修もプロが対応
軒天は湿気や雨風の影響を受けやすく、塗装前に「下地補修」が必要なケースも少なくありません。
例えば、
- 板の反り返り
- 割れや穴あき
- カビの繁殖
- 塗膜の剥がれ
こうした劣化部分は、単なる「塗り替え」だけでは改善されず、適切な補修をしなければ再発のリスクが高まります。
業者に依頼すれば、現場調査の段階で劣化状況を正確に診断し、必要な補修工程(張り替え・パテ処理・シーリングなど)を踏まえて施工プランを提案してくれます。
美しい仕上がり・耐久性もアップ
軒天塗装は、天井面への作業という難易度の高さから、DIYでは塗りムラや塗料の垂れが発生しやすい場所です。
しかしプロの職人は、ローラーやハケを使い分けて厚みを均一に保ち、細部まで美しく仕上げる技術を持っています。また、塗料の乾燥時間や気温・湿度を考慮した作業工程を組むため、塗膜の密着性や耐久性が格段に向上します。
適切な施工を行えば、軒天の美しさと防水性を10年以上維持できることも珍しくありません。
外壁塗装と同時施工でコスト削減も
軒天塗装を業者に依頼する場合、外壁塗装や屋根塗装とまとめて施工することで、足場代などのコストを抑えられるのも大きなメリットです。
通常、足場の設置と解体には15万〜25万円程度かかりますが、同時に複数の部位を施工することで、足場費用を1回で済ませることができます。
将来的に外壁塗装を考えている場合は、軒天と一緒に施工することでトータルコストを大幅に削減できるため、計画的なメンテナンスが重要です。
業者に依頼するデメリット
DIYに比べて費用は高くなる
業者に依頼する場合、どうしてもDIYと比べて初期費用は高くなる点は避けられません。
- 一般的な戸建て住宅(20㎡前後)で、約5万〜15万円
- 劣化状況や補修内容によっては、さらに追加費用が発生するケースも
ただし、DIYの場合は仕上がりや耐久性が劣り、数年後に再施工が必要になることも考えられます。
「1回の施工で長期間持たせたい」「足場代をまとめて節約したい」と考えるなら、業者に頼んだ方が結果的にコストパフォーマンスが良くなるケースも多いです。
業者選びを間違えると失敗するリスクも
業者に依頼する場合、業者選びを誤ると「高いお金を払ったのに満足できない」トラブルに発展するリスクがあります。
例えば…
- 手抜き工事で塗膜がすぐに剥がれる
- 必要な補修をせず、劣化が進行
- 見積もりが曖昧で後から追加請求される
- アフター対応が不十分
こうしたトラブルを避けるためにも、「軒天塗装の実績が豊富」「説明が丁寧」「保証やアフターサービスが明確」といったポイントを押さえた業者選びが重要です。
軒天塗装を業者に頼む場合の費用相場
軒天塗装を業者に依頼する場合、相場としては1㎡あたり1,500円〜3,500円程度が目安となります。
一般的な戸建て住宅の場合、軒天の面積は20㎡〜30㎡程度が多く、全体で5万〜10万円前後が標準的な施工費用です。
ただし、これは「塗装のみ」の場合であり、軒天の劣化状態や施工範囲、使用する塗料のグレードによって、費用は大きく前後します。
費用相場の目安
項目 | 費用相場 |
---|---|
塗装単価(1㎡あたり) | 1,500円〜3,500円 |
戸建て住宅(20〜30㎡) | 5万〜10万円前後 |
下地補修作業 | +数万円(劣化状況により変動) |
高圧洗浄作業 | 5,000円〜1万円程度 |
足場設置費用(単独設置の場合) | 15万〜25万円 |
費用に影響する主な要素
劣化の進行度
軒天の塗装費用は、塗る面積だけでなく「補修がどこまで必要か」によって大きく変動します。
例えば、塗膜の剥がれや汚れだけであれば通常の塗装作業で済みますが、以下のようなケースでは追加費用が発生します。
- 板の反りや浮きがあり、張り替えが必要
- 割れや穴が開いており、パテ補修や交換が必要
- カビや藻の除去作業に手間がかかる場合
こうした下地補修は、劣化範囲が広がるほど工期や材料費、人件費が増えるため、想定よりも費用が膨らむ要因になります。
塗料のグレード(防カビ性能・透湿性能)
軒天は湿気がこもりやすく、カビや結露が発生しやすい場所です。そのため、塗料選びも重要なポイントになります。
- 安価なアクリル塗料(3〜5年耐久)
- スタンダードなシリコン塗料(8〜10年耐久)
- 高性能な防カビ・透湿性塗料(10年以上耐久)
耐久性の高い塗料を選ぶほど、初期費用は高くなりますが、塗り替え周期を長くできるため結果的にコストパフォーマンスが良くなる場合もあります。
足場設置の有無(外壁塗装と同時施工なら割安に)
軒天塗装を業者に頼む際、必ず確認すべきポイントが「足場設置費用」です。
軒天だけの塗装を依頼する場合でも、安全のために足場が必要になるケースが多く、その費用が15万〜25万円程度発生します。
この足場費用が、工事総額を押し上げる最大の要因です。
しかし、外壁塗装や屋根塗装と同時に軒天塗装を行えば、足場費用はまとめて1回で済みます。
複数箇所のメンテナンスを一括で行うことで、結果的に大きなコスト削減効果が期待できるのです。
見積もり時のチェックポイント
軒天塗装の見積もりを取る際は、「総額」だけで判断するのではなく、以下の点をしっかり確認することが重要です。
- 各項目が「数量 × 単価」で明記されているか
- 下地補修の範囲や方法が具体的に記載されているか
- 使用する塗料のメーカー名・品名・グレードが記載されているか
- 足場費用やその他諸経費が明確に記載されているか
「軒天塗装一式○○円」など曖昧な表記の見積もりは、追加請求や手抜き工事のリスクがあるため注意が必要です。
複数の業者から相見積もりを取り、金額だけでなく説明の丁寧さや内容の明瞭さも比較しましょう。
DIYと業者依頼、どちらが向いてる?
軒天塗装は「DIYでもできる」と言われる一方で、実際に取り組んでみると「想像以上に難しかった」という声も多く聞かれます。逆に、プロに頼むと費用はかかりますが、仕上がりや耐久性、安全性においては圧倒的に安心できます。
それぞれの状況や目的によって最適な選択は異なります。ここでは、DIYが向いているケースと、業者に依頼すべきケースを具体的に解説します。
DIYが向いている場合
玄関まわりや室内の小さな範囲だけ塗りたい
「玄関ポーチの天井だけ」「室内の軒天部分のみ」といった、手が届く範囲に限定される作業であれば、DIYでも比較的安全に取り組むことができます。足場を設置する必要がなく、簡易的な脚立や足場台で対応できるので、施工ハードルは低めです。
できるだけ費用を抑えたい
軒天塗装を業者に頼むと、足場設置費用や人件費が加わるため、どうしても費用がかさみます。DIYで行えば、必要な道具と塗料を揃えるだけなので、数千円〜1万円程度で施工できるケースもあります。「とにかく出費を抑えたい」という方には、DIYが有力な選択肢となります。
DIY経験があり、細かい作業に自信がある方
これまでに外壁塗装や室内リフォームなど、DIY経験がある方であれば、軒天塗装にも十分挑戦可能です。天井面への塗装は姿勢が辛く、技術も求められますが、細かい作業が得意な方なら綺麗に仕上げることもできるでしょう。
こまめにメンテナンスすることが苦にならない方
DIY塗装は、業者施工と比較するとどうしても耐久性に劣り、3〜5年程度で再塗装が必要になる場合が多いです。しかし、こまめにメンテナンスをする習慣があり、「数年ごとに塗り直しも楽しめる」という方には、DIYの方がコスト面でメリットがあります。
業者依頼が向いている場合
外壁塗装や屋根塗装と一緒に行いたい
外壁塗装や屋根塗装を同時に行う場合、足場設置費用を一度にまとめられるため、軒天塗装も一緒に依頼することでコスト削減が可能です。別々に施工すると、足場代だけで20万円以上余分にかかることもあります。
劣化が進行しており、補修作業が必要
軒天の板材が反っている、割れている、カビが広範囲に繁殖している場合は、塗装だけでなく下地補修や交換作業が必要になります。こうしたケースでは、プロの技術と判断力がなければ、適切な施工が難しくなります。
2階部分など高所での作業が必要な場合
DIYでの高所作業は非常に危険です。脚立や簡易足場では作業が不安定になり、落下や怪我のリスクが高まります。2階部分の軒天や勾配のある屋根下部分は、必ず業者に依頼するべきでしょう。
美観・耐久性を重視したい場合
「見た目も綺麗に仕上げたい」「10年以上長持ちさせたい」という方は、プロに任せるのがベストです。業者による施工は、塗膜の厚み・密着性・仕上がりの美しさにおいてDIYとは比較になりません。きちんとした施工であれば、次回の塗装時期を10年〜15年先まで延ばすことができます。
業者選びで失敗しないためのポイント
軒天塗装を成功させるカギは、やはり「業者選び」にあります。以下のポイントを押さえたうえで、信頼できる業者を選びましょう。
目地塗装やタイル補修の施工実績が豊富か
軒天塗装の実績が豊富な業者であれば、仕上がりの美しさや耐久性にも安心感があります。過去の施工事例写真を見せてもらうと良いでしょう。
使用する塗料や施工方法を丁寧に説明してくれるか
信頼できる業者は、塗料の種類や特性、施工工程を細かく説明してくれます。「一式で大丈夫」と曖昧な説明しかない業者は避けましょう。
見積書が明確で「一式」表記が少ないか
「軒天塗装一式 ○○円」といった大雑把な見積書では、追加料金が発生するリスクがあります。数量や単価が明記された詳細見積もりを提示してくれる業者を選びましょう。
保証やアフターサービスがしっかりしているか
工事後の保証書発行や定期点検など、施工後のフォローが整っている業者は、品質に自信がある証拠です。
口コミや評判を確認する
Googleレビューや施工ポータルサイトで、実際に依頼した方の口コミや評判をチェックするのも有効です。対応の丁寧さ、仕上がりへの満足度などを参考にしましょう。
まとめ
軒天塗装は、住宅の美観だけでなく、住まい全体を守るために欠かせないメンテナンスです。
DIYで対応できる範囲もありますが、高所や劣化が進んでいる場合は無理をせず、プロの力を借りるのが安全で確実です。
費用や作業内容に不安がある方は、信頼できる業者に相談することでトラブルを未然に防ぐことができます。
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