外壁塗膜に剥がれ・膨れが起こる原因とは?
冒頭で、「どんな建物でも起こり得る代表的な塗膜の劣化症状」と解説したように、外壁塗膜に剥がれ・膨れはどんな建物であっても起こり得ます。
それでは、何が原因で外壁に剥がれや膨れが起こるのかを見ていきましょう。
経年劣化
外壁は24時間365日、雨風や紫外線といった自然環境にさらされています。
そして、特に紫外線は外壁塗膜が劣化する大きな要因であり、どれだけ高耐久な塗料を使ったとしても紫外線による劣化を避けることはできません。
紫外線による劣化症状として代表的なものにチョーキングがあります。
チョーキングも塗り替え時期のサインですが、この段階で塗り替えを行えば剥がれ・膨れが起こることはありません。
しかし、チョーキングが発生している状態を放置し、さらに雨風や紫外線にさらされ続けると塗膜はさらに劣化し、耐久性・防水性を失って雨水が内部に入り込みます。
耐久性を失って脆くなった塗膜が崩落してしまうのが「剥がれ」、防水性を失って雨水が外壁塗膜の内部に入り込み、内部に溜まった水分が昼夜の温度差で膨張し、内側から塗膜を押し出してしまうのが「膨れ」です。
常に雨風や紫外線といった外的要因にさらされている外壁塗膜は、どんな高価な塗料であっても経年劣化を避けることはできません。
上記のチョーキングを含め、塗膜の剥がれ・膨れも比較的発見しやすい外壁塗膜の劣化です。
剥がれ・膨れを発見したら塗り替えを行うのはもちろんですが、できれば剥がれ・膨れが起こる前に塗り替えを行い、被害を最小限に食い止めるのがおすすめです。
塗膜の劣化は放置しても改善されることは決してありません。
外壁に塗り替えのサインを発見したら、できるだけ早く塗り替えを検討するようにしましょう。
チョーキング、塗膜の剥がれ・膨れ以外の外壁の劣化症状については、こちらの記事で詳しく解説しています。
施工不良
経年劣化以外にも人的ミス、施工不良で塗膜の剥がれ・膨れが起こる場合があります。
起こり得る施工不良にはいくつか考えられますが、よくあるのが「無理な工期でスケジュールを組み、下塗りが完全に乾燥する前に上塗りをしてしまった」というケースです。
外壁塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3度塗りが基本ですが、次の工程に進むには前工程で塗った塗料が完全に乾燥するのを待つ必要があります。
完全に乾燥する前に次の塗料を塗ってしまうと、外壁と塗膜の密着が弱くなったり色ムラができる原因となるからです。
しかし、無理な工期を組んでしまった塗装業者は、乾燥を待たずに次の工程を進めてしまうケースがあるのです。
また、雨天の中で無理に工事を進めてしまった場合にも同様の症状が起こります。
塗料がしっかり乾燥するのを待たなかったという以外にも、
・ケレン作業など下地の処理が不十分だった
・外壁材と塗料、もしくは下塗り塗料と上塗り塗料の相性が悪かった
というケースも考えられます。
外壁塗装では、もちろん塗料を塗る技術も大切ですが、どれだけ下地をしっかり処理できるかが仕上がりに大きく影響します。
下地処理には高圧洗浄などがありますが、特にケレン作業は仕上がりを左右する重要な作業です。
いずれのケースも、塗装業者の技術・知識不足、そして工事に対する責任感の欠如によって起こるものばかりです。
その意味で、外壁塗装ではどんな塗料を選ぶかも大切ですが、本当に信頼できる塗装業者を選ぶことが仕上がりの大半を占めると言っても良いでしょう。
外壁塗膜に剥がれ・膨れを放置するとどうなる?
外壁塗膜の剥がれ・膨れを発見しても、「目立つ場所じゃないし気にしない」「新築じゃないし外壁に劣化があっても当たり前」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、外壁の剥がれ・膨れを放置してしまうと、重大な二次被害につながることも少なくありません。
ここでは外壁塗膜に剥がれ・膨れを放置すると、どんな二次被害が発生するかについて見ていきましょう。
雨漏りの原因になる
外壁塗膜に剥がれ・膨れが起こっている場合、特に剥がれが起こっているとその箇所は雨水に対して完全に無防備になってしまいます。
膨れも塗膜こそ残っていますが、外壁から完全に剥離してしまっているので耐久性・防水性はほぼ無いと考えて良いでしょう。
雨水に対して無防備な状態が続くと、その箇所から雨水が外壁内部に入り込んでしまい、やがて室内の天井やクロスに雨漏りシミなど雨漏り被害を引き起こします。
また、室内に目に見える被害が起こっていなくても、外壁内部では建物の柱など躯体が腐食しているといったケースもあります。
いずれの場合でも、雨漏りが発生している時点で建物躯体にも大きなダメージが発生しており、さらに放置してしまえば建物自体の寿命を著しく縮めてしまいます。
塗り替え工事も決して安い工事ではありませんが、雨漏り被害の修繕工事が必要となる状態まで被害が進んでしまうと、さらなる高額な出費が必要になってしまうでしょう。
そうならないために、そもそも雨漏りが起きないよう定期的に塗り替えを行い、常に外壁塗膜を適正な状態に保つことが重要です。
【参考記事】
雨漏りの原因に?外壁や屋根をメンテナンスせず放置するリスク
外壁材の寿命が短くなる
建物の外壁材にはサイディングやモルタル、ALCなど様々な種類がありますが、半永久的にメンテナンスフリーな外壁材というものは存在しません。
どんな外壁材にも必ず耐用年数(寿命)があり、塗膜によって雨風や紫外線など外的要因から守り、外壁材の劣化を防ぐために行われるのが外壁塗装です。
塗膜によって保護されず劣化が進んだまま放置されてしまった外壁材は、メーカーが定める耐用年数よりはるかに短い年数で寿命を迎えるでしょう。
しかし、剥がれ・膨れが起こっている外壁は、前項で解説したように雨風や紫外線に対して完全に無防備になっています。
そのため、外壁材自体の劣化がどんどん進行し、雨漏り以外にも外壁材の割れや崩落、外壁内部の腐食といった被害が発生してしまうのです。
ここまで被害が進んでしまうと雨漏りと同様に高額な出費となってしまうため、そこまで被害を進行させないための早め早めのメンテナンスが重要となります。
各種外壁材についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
カビや害虫が発生する恐れがある
雨漏り被害が発生すると、同時に起こるのがカビや害虫の発生です。
カビはジメジメとした水分が多い環境を好むため、雨漏りが発生した住宅などはカビにとっては絶好の生息場所となります。
カビは人間には見えない胞子を飛ばして繁殖範囲を広げていくため、空気に乗ってさまざまな場所にカビができてしまいます。
また、一度カビが発生すると根絶するのが難しく、何度も発生を繰り返してしまう恐れもあり、さらにはカビの胞子を人間が吸い込むことによってアレルギーなどの健康被害を招くこともあります。
加えて、雨漏りをして水分を含んだ木材には、カビ以外にも害虫が付きやすくなり、その代表がシロアリです。
シロアリは気付かないうちに住宅の大切な躯体部分を食い尽くしてしまう恐れのある害虫です。
場所によっては建物の寿命を著しく縮めてしまう危険もあるので、決して放置してはいけません。
カビや害虫が発生する原因となるのは雨漏りなので、やはりまずは雨漏りを起こさないためにも定期的な塗り替えで外壁塗膜を常に適正な状態に保つことが一番の対策法となります。
外壁の剥がれ・膨れを見つけたらどうすればいいの?
ここまで解説してきたように、外壁に剥がれや膨れを発見した場合、放置しても状態が改善することは決してありません。
むしろ、放置すればするほど外壁材には雨風や紫外線によるダメージが蓄積され、雨漏りをはじめとした大きな被害の原因となってしまいます。
「部分的な剥がれや膨れだし、DIYでも塗り直せるんじゃないの?」と考える方もいらっしゃいますが、やはりプロの外壁塗装業者に依頼するのがおすすめです。
目に見える剥がれ・膨れは部分的なものですが、一箇所でも剥がれや膨れが起こっている外壁は、全体的に塗膜の劣化が進行していると疑って良いでしょう。
そうなれば、一箇所だけ塗り直しても結局また別の箇所に剥がれや膨れが起こる可能性が高いです。
また、剥がれ・膨れが発生しているということは、外壁内部にも劣化が進行している恐れがあります。
適切な外壁診断を行わず外壁表面だけを塗り直してしまえば、本当に修繕が必要な箇所を塗装によって塗り固めてしまうことになり、適切な修繕ができなくなるので根本的な解決にはなりません。
大切な住まいでこれからも末長く快適に暮らすためにも、外壁に剥がれ・膨れを発見したら早急にプロの外壁塗装業者に相談するようにしましょう。
しっかりと外壁診断を行い、状態に適した施工、そして適した塗料を使って塗り替えることが、住まいの寿命を延ばすことにつながります。