目次
屋根塗装と外壁塗装、それぞれの目的と違い
外壁塗装と屋根塗装は、どちらも建物の寿命を延ばすために欠かせない重要なメンテナンスですが、それぞれの目的や役割、塗料の種類、劣化のスピードなどには明確な違いがあります。
外壁塗装の主な目的
美観の維持
建物の外観は、築年数が経つにつれて色あせや汚れ、カビ・コケの発生などが目立つようになります。外壁塗装を行うことで、建物の印象を一新でき、資産価値の維持にもつながります。
防水性の確保
外壁には目に見えない微細なひび割れや隙間ができることがあります。そこから雨水が侵入すると、内部の構造材が劣化し、雨漏りや腐食の原因となることも。塗装はそのようなダメージを防ぐ「防水膜」の役割を果たします。
紫外線や風雨からの保護
外壁は一年中、紫外線・雨・風・ホコリなどにさらされています。塗膜がしっかりしていれば、紫外線による劣化やヒビ割れ、汚れの蓄積を防止できます。
屋根塗装の主な目的
防水・防錆機能の強化
屋根は、雨や雪を直接受ける場所です。塗装によって防水性を高めることで、雨漏りや屋根材の腐食を防ぎ、建物全体の耐久性を守る役割があります。
遮熱性の向上
屋根に使う塗料は、遮熱塗料や断熱塗料が選ばれることが多く、室内の温度上昇を抑える効果があります。特に夏場は屋根の温度が60〜70℃になることもあり、遮熱塗装によってエアコン代の節約にもつながります。
苔やカビの防止
屋根は湿気がこもりやすく、放っておくと苔・カビ・藻が発生し、屋根材を傷める原因になります。塗装によって表面に撥水性や防カビ効果を与えることで、屋根の長寿命化につながります。
劣化スピードの違い
一般的に、屋根のほうが外壁よりも早く劣化します。その理由は、屋根が建物の最上部に位置し、直射日光や雨風を真正面から受ける過酷な環境に置かれているためです。紫外線の影響や雨の量、風の当たり方によっては、屋根の塗膜は5〜7年で劣化することもあります。
それに対して外壁は、場所によって日当たりや風通しの差があるため、10年程度での塗り替えが目安とされることが多いです。
使用する塗料の違い
塗料についても、それぞれの目的や環境に応じて最適なものが選ばれます。
- 外壁用塗料:ラジカル制御型塗料、シリコン塗料、フッ素塗料など(耐候性・防カビ・防藻性などを重視)
- 屋根用塗料:遮熱塗料、防錆塗料、ラジカル制御型塗料など(耐熱性・耐水性・反射性などを重視)
屋根と外壁では、塗装の目的や性能が異なるため、使用する塗料の性能や耐用年数も変わってくるという点に注意が必要です。
【同時施工のメリット】屋根と外壁を一緒に塗装する利点とは?
「屋根塗装と外壁塗装は別々にやった方がいいの?」「同時に行うと何が変わるの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。実は屋根と外壁を同時に塗装することには、費用面・工期面・仕上がり面のすべてにおいて多くのメリットがあります。
1. 足場代が1回で済むからコスト削減
外壁や屋根の塗装を行う際には、必ず足場を設置する必要があります。これは職人の安全を確保し、正確な作業を行うために欠かせない工程です。
ただし、この足場設置費用は決して安くありません。一般的な2階建ての住宅で15〜25万円前後が相場とされており、屋根と外壁を別々に施工する場合には、この費用が2回発生することになります。
しかし、屋根と外壁を同時に塗装すれば、足場の設置は1回で済むため、その分だけコストを抑えることが可能です。浮いた費用をグレードの高い塗料に回すといった活用もできるため、費用対効果の面でも非常に合理的といえるでしょう。
2. 工期が短く、生活への影響も1回で済む
塗装工事中は、足場の設置や塗装作業によって、生活に一定の影響が出ることは避けられません。
たとえば、
- 窓が開けられない
- 養生によって出入りが制限される
- 塗料のニオイや工事音が気になる
- 洗濯物が外に干せない
といった不便が生じます。
屋根と外壁を別々のタイミングで塗装すると、こうした生活へのストレスが2度にわたって発生してしまいます。
一方、同時施工であればこうした負担を1度で済ませることができ、精神的にも肉体的にも余計な負担を減らすことが可能です。小さなお子様やご高齢の方がいるご家庭では、特に大きなメリットといえるでしょう。
3. 劣化の進行に差が出にくい
屋根と外壁は、建物を構成する外装の要です。どちらか一方だけを先にメンテナンスすると、もう片方がすぐに劣化してしまい、メンテナンスサイクルがズレる原因になります。
その結果、
- 外壁だけ先にきれいになっても、屋根が古びて見えて美観を損なう
- 屋根から雨漏りが始まり、せっかく塗装した外壁に被害が及ぶ
といったケースも考えられます。
同時施工であれば、屋根と外壁を同じ時期に保護できるため、次回のメンテナンスタイミングも揃いやすくなります。定期的な点検や将来的な塗り替え時の計画も立てやすく、建物全体の維持管理がしやすくなるのです。
4. デザインをトータルで整えられる
外壁と屋根の色合いは、家の印象を大きく左右します。
たとえば、外壁をベージュ系にしたのに、屋根の色がくすんだグレーのままだと、全体にチグハグな印象になってしまうことも。また、色のバランスや配色次第で、スタイリッシュにも、やさしい雰囲気にも演出が可能です。
同時施工を行うことで、全体のカラーコーディネートを統一でき、外観のバランスが美しく整います。プロに相談しながら、屋根・外壁・雨樋などの色の組み合わせを決めることで、ワンランク上の仕上がりが期待できます。
【同時施工のデメリット】状況によっては分ける方がよい場合も
屋根と外壁の塗装を一緒に行うことで多くのメリットがある一方で、すべてのケースにおいて「同時施工がベスト」とは限りません。建物の劣化状況や予算、生活環境によっては、分けて施工する方が合理的なこともあります。ここでは、同時施工の主なデメリットや注意点を詳しく解説します。
1. 初期費用が高くなる印象
屋根と外壁をまとめて塗装する場合、施工費用の合計が一度に請求されるため、どうしても支払額が大きく感じられます。特に、屋根に遮熱塗料を使用したり、外壁に高機能なラジカル制御型塗料などを選ぶと、塗料代も高くなりやすく、総額で100万円を超えるケースも少なくありません。
そのため、「思っていたより高額…」と感じてしまう方も多く、予算に限りがある方には心理的なハードルが高くなる傾向があります。
ただし、長期的に見れば足場費用の節約などでトータルコストは抑えられるため、事前に複数の業者から見積もりを取り、費用対効果を冷静に比較することが大切です。
2. まだ塗り替え時期でない面を早く塗ってしまうことに
屋根と外壁では、劣化のスピードが異なるケースがあります。たとえば、
- 外壁は築10年で塗装が必要だけど、屋根はまだ状態がよい
- 屋根は数年前にリフォーム済みだが、外壁の色あせが気になる
というように、必ずしも同じタイミングでメンテナンスが必要とは限りません。
このような場合、同時施工を選ぶとまだ劣化していない部分まで先に塗ってしまい、結果的に塗料の寿命を“使い切れず”に次回塗り替え時期がズレてしまうという可能性もあります。
費用対効果を最大化するには、屋根と外壁の状態を専門業者に調査してもらい、「今、本当に塗装すべきかどうか」を客観的に判断することが大切です。無理に同時施工をすすめてくる業者は要注意です。
3. 工期が長くなる可能性
塗装の範囲が広がる分、当然ながら施工日数も長くなる傾向にあります。外壁だけの塗装であれば7〜10日程度で終わるところが、屋根も加わると10〜14日ほどに延びることも。
特に注意したいのが、梅雨や台風など雨が多い季節。屋根は滑りやすく安全面でも作業が中断されやすく、塗装の乾燥にも時間がかかるため、予想以上に工期が延びるケースもあります。
また、長期間足場が設置されることによって、
- 洗濯物が干しにくい
- 日差しが入らない
- 工事音や塗料のニオイでストレスが溜まる
といった生活への影響も増すため、長期間の工事に不安がある方は、分割施工も選択肢の一つです。
屋根と外壁を同時施工すべきか判断するポイント
「屋根と外壁、同時に塗装した方がいいの?」と悩んでいる方にとって重要なのは、見た目だけで判断せず、複数の視点から総合的に検討することです。以下の4つのポイントを基準に判断すると、より納得感のある選択ができます。
1. 現在の劣化状況を確認する
まず最初に見るべきは、外壁や屋根の劣化症状です。特に以下のような症状が見られる場合は、塗装のタイミングが迫っているサインです。
- チョーキング現象(壁を触ると白い粉がつく)
- 色あせやツヤの消失
- ヘアクラック(細かいヒビ)や構造クラック
- 塗膜の剥がれ・浮き
- 苔や藻の発生
屋根の場合は、地上から見えにくいこともあるため、業者による無料点検やドローン調査を活用するのも有効です。両方に明らかな劣化が見られるなら、同時施工が効率的といえるでしょう。
2. 前回の塗装時期と経過年数を確認する
外壁や屋根の塗装には、使用する塗料によっておおよその耐用年数が決まっています。一般的には以下の目安が参考になります。
- シリコン塗料:10〜13年
- ラジカル制御型塗料:12〜15年
- フッ素塗料:15〜20年
前回の塗装からこれらの年数が経過している場合は、そろそろメンテナンスの時期と考えられます。屋根と外壁の塗装時期にあまり差がないなら、同時施工でメンテナンスサイクルを揃えるのが合理的です。
3. 今後のライフプランを考慮する
今後の住まい方によって、塗装にどこまでお金や手間をかけるべきかも変わってきます。
- この先10年以上住む予定がある場合→ 同時施工で長期的なメンテナンス計画を立てた方がコスト面でも安心。
- 数年以内に売却を考えている場合→ 美観や建物の印象を整えるために、劣化の目立つ方だけを補修する選択肢も。
住まいの将来像によって、「今、何を優先すべきか」が変わってくるため、ライフプランをもとに判断することが大切です。
4. 予算に余裕があるかどうか
どれほど劣化が進んでいても、現実的に予算に余裕がなければ同時施工は難しくなります。外壁・屋根を合わせた塗装工事の費用相場は、100万〜150万円前後になることが多く、決して安い出費ではありません。
- 足場を2回組むよりは一度に済ませた方が長期的にはお得。
- ただし、一括の支払い負担を考えると、時期をずらした方が現実的なケースも。
最近では、分割払いやローンの相談ができる塗装業者も増えているので、金銭的に無理のない計画を立てることがポイントです。
同時に行った方がおすすめなケース
屋根塗装と外壁塗装を同時に行うことで、コスト面・時間面・美観面のバランスが取れたメンテナンスが実現できます。特に以下のような状況に当てはまる場合は、同時施工を強くおすすめします。
築10年以上が経過し、屋根と外壁の両方に劣化が見られる
築年数が10年を超えると、塗膜の防水効果が徐々に低下し、ひび割れや色あせ、苔の発生などの劣化症状が出始める時期に差し掛かります。屋根と外壁の両方に劣化が見られるなら、それぞれ別のタイミングで補修するより、一度にメンテナンスをまとめた方が効率的です。
また、見た目では気づきにくい屋根の劣化も、点検で発見されることがあります。外壁塗装をきっかけに屋根の状況も点検してもらい、必要に応じて一緒に対応するのが望ましいでしょう。
長く住む予定があり、維持管理を計画的に行いたい
「これからもこの家に10年、20年と住み続けたい」とお考えの方にとっては、建物の寿命を延ばす計画的なメンテナンスが欠かせません。
屋根と外壁の塗装周期を合わせておけば、次回のメンテナンス時期も揃えやすくなり、中長期的に見て管理がシンプルかつ合理的になります。また、住宅ローンやライフイベントに合わせて予算配分もしやすくなるという利点もあります。
足場代などのコストを少しでも抑えたい
塗装工事において意外と大きな割合を占めるのが「足場代」です。一般的な住宅であれば、1回あたり15〜25万円程度が必要とされます。
これを屋根・外壁別々で施工すると、足場代が単純に2倍になる可能性があります。同時に塗装を行えば、足場は1回の設置で済むため、大幅なコスト削減に直結します。
「費用を抑えながらもしっかりメンテナンスしたい」という方にとって、同時施工は非常に現実的な選択肢です。
家の見た目を一新したい
外壁と屋根の色を変えることで、住宅全体の印象が大きく変わります。特に、経年劣化でくすんだ色合いになっている場合、新しく塗り替えることで見違えるように美しく生まれ変わります。
屋根と外壁を別々に塗装してしまうと、色のバランスや質感に差が出てしまう可能性がありますが、同時に行えば、全体のデザインを統一しやすく、より洗練された外観に仕上がります。
「家をリフレッシュしたい」「外観の印象を大きく変えたい」とお考えの方には、同時施工が最適です。
分けて塗装した方が良いケース
屋根と外壁の塗装は同時に行うのが理想とはいえ、すべてのケースでそれが正解とは限りません。建物の状態や住まい手の事情によっては、あえて分けて塗装する方が合理的な場合もあります。
以下のような状況に該当する場合は、屋根と外壁を別々に塗装する選択肢も検討してみましょう。
最近片方だけ塗り替えたばかり
例えば「2年前に屋根は塗装済みだが、今回は外壁だけ劣化している」といったケースでは、無理に屋根まで再塗装する必要はありません。
塗料の耐用年数は種類によって異なりますが、屋根に高耐久の塗料(フッ素系・無機系など)を使用している場合、10年以上持つことも珍しくないため、まだまだ塗り替えのタイミングではない可能性があります。
このような場合は、劣化が進んでいる外壁のみ先に施工し、屋根は次回のメンテナンス時に改めて対応するというスケジューリングも賢明です。
今回は予算が限られているが、将来的に塗装はしたい
「家全体をきれいにしたい気持ちはあるけれど、予算の関係ですべてを一度に施工するのは難しい」という方も少なくありません。
そうした場合、状態が悪い方の塗装を優先し、数年後に残りの箇所を塗装するプランでも十分です。
このとき注意したいのは、施工業者との中長期的な計画の共有です。次回の施工時期やメンテナンスサイクルを相談しておくことで、後の工程がスムーズになります。
また、同じ業者に依頼することで、色や塗料の選定・施工履歴の管理も統一されやすくなり、見た目の違和感も最小限に抑えられます。
売却予定が近く、最低限のメンテナンスで十分
近い将来、住宅を売却する予定がある場合、「最低限のメンテナンスだけ行っておきたい」と考える方も多いでしょう。
このようなケースでは、目につきやすい外壁のみ塗装を行い、見た目の印象を整えるだけで十分という判断もあります。屋根の塗装まで含めると費用が大きくなりますが、売却価格に十分反映されないことも。
ただし、屋根の状態があまりに悪いと、購入希望者が不安を感じることもあるため、事前に屋根点検を受け、必要に応じて補修や簡易的な塗装のみ行うことをおすすめします。
業者選びのコツ
屋根塗装と外壁塗装を同時に行う場合、業者選びは特に重要なポイントとなります。通常よりも施工範囲が広く、費用も大きくなるため、信頼できる業者に任せなければ後悔につながるリスクが高まります。
以下のポイントを意識して、慎重に業者を選びましょう。
足場・屋根・外壁を一貫して対応できる業者か
同時施工の場合、足場の設置を含めた全体を一括管理できる業者が理想です。中には外壁のみ、屋根のみといった部分施工しか対応できない業者もありますが、そうなると別々に業者を手配する必要があり、手間もコストも増えてしまいます。
また、外注や下請けに依存しすぎる業者だと、工期の管理や品質にばらつきが出る恐れも。自社施工・自社管理の業者であれば、スムーズに進めやすく、トラブルも起こりにくくなります。
トータルコーディネートの提案があるか(カラーシミュレーションなど)
外壁と屋根を同時に塗装するからこそ、色の組み合わせやデザイン性のバランスも大切です。優良な業者であれば、カラーシミュレーションを活用した色選びのサポートを行ってくれるため、完成後のイメージがしやすくなります。
特に、「屋根は濃色、外壁は淡色」など配色のバランスで家の印象は大きく変わります。見た目の満足度を高めるためにも、コーディネート提案ができる業者を選びましょう。
塗料や工程、保証内容を明確に説明してくれるか
同時施工は金額も工程も大きくなるため、「何にいくらかかるのか」「どんな塗料でどんな工程を踏むのか」を事前に明確に説明してくれるかどうかが非常に重要です。
保証についても、「屋根と外壁で保証年数が違うのか?」「万一不具合があった場合はどう対応してくれるのか?」など、細かい部分まで確認することが後悔を防ぐ鍵になります。
施工実績や口コミ評価があるか
判断に迷ったときは、過去の施工実績や、実際に依頼した人の口コミを確認してみましょう。
ホームページに掲載されている施工事例はもちろん、Googleレビューや第三者サイトの評価もチェックすることで、その業者の「信頼度」や「対応力」が見えてきます。
特に「屋根・外壁同時塗装の施工実績が豊富」な業者であれば、同時施工の段取りやノウハウにも長けており、効率的で安心感のある工事が期待できます。
まとめ
屋根と外壁の同時塗装は、多くのご家庭にとって費用対効果の高い選択といえます。ただ、お住まいの状態や家族の状況によって、最適な方法は変わってきます。
まずは専門家に家の状態を診てもらい、複数の見積もりやアドバイスを参考にしながら、ご自身が納得できる塗装プランを考えていきましょう。
屋根と外壁の同時塗装をお考えでしたら、【ペイントGO】での無料相談がおすすめです。信頼できる優良業者を厳選してご紹介し、お家に合ったカラー提案や塗料の比較もサポートしています。また、しつこい営業は一切なく安心してご相談いただけますので、外壁・屋根の塗装で後悔しないために、ぜひ「ペイントGO」をご活用ください。