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外壁のチョーキング(白亜化)現象って何?写真で解説
「そもそもチョーキング現象って何?」
「名前は聞いたことあるけど、実際にどんなものか知らない」
という方もいらっしゃるでしょう。
ずばり、次の写真のような症状が、外壁のチョーキング(白亜化)現象です。
写真のように、外壁を指で触るとチョークの粉のようなものが付着すると、その外壁にはチョーキングが起こっているということです。
詳細については後述しますが、塗料に含まれている顔料が粉状になって外壁表面に浮き出している現象を「チョーキング現象」と呼びます。
また、「白亜化現象」とも呼ばれます。
チョーキング現象は、一般の方でもわかりやすい外壁塗装の塗り替えサインです。
もしご自宅の外壁にチョーキングを発見したら、できるだけ早めに塗装業者に相談するようにしましょう。
ただし、ここで注意点があります。
チョーキングの粉は外壁の色によって異なる
インターネット上の情報で、チョーキング現象が起こった際の粉を「指で触った時に白い粉が〜」といったように「白い粉」と書いているサイトがあります。
もちろん白色の場合が多いのは確かですが、グレーやベージュなど外壁の色によって粉の色は異なります。
一概に「白じゃないからチョーキングじゃないだろう」と決めつけるのは早計です。
また、「チョーキングだと思ったら、外壁についてる砂や埃だった」という場合もあります。
ご自身での見極めが難しい場合は、念のために塗装業者に診てもらうのが良いでしょう。
簡単な見極め方法として、別の箇所でも同じ粉が指につくかどうか確認するというものがあります。
チョーキング現象は部分的に起こることはなく、建物全体で同じ時期に発生します。
そのため、別の箇所の外壁を触ってみて、違う汚れが指に付くのであればただの部分的な汚れ、同じ汚れが付くのであればチョーキングの恐れがある、と判断することができます。
また、「外壁に水をかけてみる」という方法もありますが、こちらは 「外壁にチョーキング現象が発生しているかどうかの確認方法」にて詳しく解説します。
チョーキング現象が起こらない外壁材がある
建物の外壁には、モルタル・サイディング・レンガと様々な種類が存在します。
その中で、チョーキング現象が起こらない外壁材があります。
チョーキング現象が起こる外壁材
- モルタル
- サイディング(窯業系・金属系)
- ALC
- 木材
チョーキング現象が起こらない外壁材
- レンガ
- サイディング(樹脂系)
チョーキング現象が起こる外壁材と起こらない外壁材の違いは、「塗装が施されているかどうか?」です。
上述のように、塗料に含まれている顔料が粉状になって起こるのがチョーキング現象です。
そのため、塗装が施されていない外壁材にはそもそもチョーキングが起こらないのです。
ただし、チョーキング現象が起こらない外壁材と言っても、日本の一般住宅に使用されている外壁材はほとんどチョーキング現象が起こると考えて良いでしょう。
外壁にチョーキングが発生する原因とは?
それでは、外壁にチョーキング現象が原因は何なのでしょうか?
チョーキングが発生する原因は、主に次の2つになります。
長期にわたって紫外線や雨を浴びたことによる経年劣化
チョーキングの発生原因のほとんどは、この経年劣化によるものと考えて良いでしょう。
長期にわたって紫外線や雨を浴び続けることで、外壁塗膜は少しずつ劣化していきます。
そして、劣化が進行すると起こるのが、外壁塗膜の成分分離です。
外壁塗料は、「シリコンやウレタンなどの合成樹脂」「顔料」「添加剤」など様々な成分によって形成されています。
この内、分離が進むことで成分の内、「顔料」が粉に戻ってしまい外壁表面に浮き出してしまう現象、それこそがチョーキング現象です。
「顔料」の中でも特に「白色顔料(酸化チタン)」がチョーキングを起こしやすく、白色やベージュ、グレーといった色の外壁ではチョーキングが起こりやすいと言われています。
しかし、濃い色の塗料でも白色顔料が含まれている可能性はあるため、外壁の色が濃いからといってチョーキングが起こらないという訳ではないので注意しましょう。
経年劣化によるチョーキングは、顔料が使われている塗料である以上必ず起こるもので、防ぐ方法はありません。
チョーキングが発生するタイミングは取り巻く環境によっても異なりますが、およそ10年前後で発生し始めます。
ちなみに、紫外線や雨水や、酸素などが塗料の顔料に触れることで発生する物質を「ラジカル」と呼び、外壁塗膜の劣化を引き起こす劣化因子とされています。
近年は、この「ラジカル」の発生を抑制し、チョーキングが起こりくい「ラジカル制御型塗料」が、シリコン塗料と並んで塗装業界のスタンダードになりつつあります。
こちらの記事で「ラジカル」について詳しく解説し、おすすめの「ラジカル制御型塗料」を紹介していますので、ぜひご覧ください。
施工不良
まれに、
・塗料の希釈量に間違いがあった
・塗料の攪拌(かくはん)不足
・塗料メーカー指定の方法で塗装を行わなかった
といった施工不良が原因でチョーキングが発生することがあります。
この場合、塗装工事から5年〜7年といった経年劣化よりはるかに早いタイミングでチョーキングが発生する恐れがあります。
塗装業者によっては保証の対象となり塗装をやり直してもらえる場合もあるので、10年を待たずして早々にチョーキングが発生した場合は、施工業者に連絡をとって確認してもらいましょう。
外壁にチョーキングが発生しているかどうかの確認方法
ご自宅の外壁にチョーキングが発生しているかどうかを確認するために、3つの方法があります。
手で外壁を触ってみる
手で直接外壁を触った際、指先に粉状のものが付着するようであれば、チョーキングが発生している可能性があります。
また、チョーキングは外壁塗膜が紫外線によって劣化して発生するため、できれば日当たりの良い部分の外壁で試す方が良いでしょう。
指についた粉が少量であれば、「そろそろ塗り替えの時期なのかな?」と塗装工事を検討し始める程度でも大丈夫です。
一方、指についた粉が多量であれば、外壁塗膜の劣化が進行してしまっている恐れがあるため、早めの塗り替えが必要となります。
ただし、指についた粉上のものがチョーキングによるものなのか、外壁についた砂や埃なのか判断がつかない場合もあります。
ご自身で判断がつかない場合には、次の方法を試してみてください。
少し離れた箇所の外壁を触ってみる
前項で触った箇所から少し離れた箇所の外壁を触ってみましょう。
その箇所で指に再度粉状のものが指に付着するのであれば、チョーキングが発生している疑いが高まります。
チョーキングは、同じ建物内であればほぼ同時期に発生します。
日当たりの良い表面、日当たりの悪い裏面では発生時期に多少の差が出ますが、同じ面であればほぼ同時期です。
しかし、ただの汚れであれば、建物の同じ面全体に同時に付着することはありません。
そのため、少し離れた箇所で同じ粉状のものが付着するならチョーキング、違う粉状のものが付着するならただの汚れ、と判断することができるのです。
ただし、これでもまだ「たまたま同じ壁面が広範囲にわたって汚れた」という可能性もあります。
より確実にチェックするために、次のような方法があります。
外壁を水で濡らし、変色するかチェックする
例えば、木が水を吸い込むと黒く変色しますが、木の表面がコーティングされていれば水を吸い込まず変色は起こりません。
外壁も同様で、チョーキングによって外壁塗膜の防水性が損なわれていると、外壁材に直接水が染み込むため外壁の色が変わります。
ホースなどで外壁に水をかけてはっきりと変色が起こる、晴天時と雨天時で外壁の色が変わるようであれば、外壁にチョーキングが発生している可能性が高いです。
外壁材に直接水が染み込めば、外壁の寿命を著しく縮め、建物全体の耐久性も損なわれます。
外壁の防水性を最適な状態に保つためにも、できるだけ早く塗り替えを検討してください。
チョーキングを放置し続けるとどうなる?
チョーキングを放置し続ける最大のリスク、それは「雨水が建物内部へ侵入するのを許してしまい、雨漏りのリスクが高まる」という点です。
ここまでの説明の通り、チョーキングが起こっているということは、
・外壁塗膜が経年によって劣化している
・外壁塗膜に施工不良が起こっている
このどちらかです。
外壁塗装を行う最大の目的は、美観回復ではなく外壁の防水機能を蘇らせることです。
塗膜が劣化してしまい防水機能が損なわれた状態を放置してしまうと、外壁は雨水を吸い込んでしまい、次第にコケや藻、カビなどが発生します。
さらに放置し続ければ、外壁にヒビ割れ(クラック)が起こる恐れもあります。
たしかに、チョーキングを発見したからといって、即座に外壁材が腐食したり、建物筐体に深刻なダメージを及ぼすことはないでしょう。
しかし、防水機能が損なわれた外壁を放置し続けるのは、雨漏りのリスクを高めてしまうのは間違いありません。
建物へ甚大なダメージを与える雨漏りを引き起こさないためにも、チョーキングが起こっている外壁には早めの塗り替えが必要となります。
チョーキングの危険性を強調してくる訪問営業に要注意!
「外壁にチョーキングが発生しているかどうかの確認方法」で解説したように、外壁の劣化サインとしてチョーキングは比較的容易にチェックすることができます。
そのため、皆様が気づかないところで勝手に自宅の外壁を触り、チョーキングが起こっている家に訪問営業を行う悪徳塗装業者も多いです。
こういった訪問営業では、上述のようなチョーキングを放置した際のリスクを強調します。
繰り返しになりますが、チョーキングを発見したからといって即座に外壁材が腐食したり、建物筐体に深刻なダメージを及ぼすことはありません。
訪問営業を行うような悪徳業者と急いで契約を結ばなくても、ご自身でじっくり塗装業者を探す時間はたっぷりあります。
その場ですぐに契約を結ぶようなことせず、本当に信頼できる塗装業者を選んでください。
チョーキングへの対策や補修費用は?
ここまで、チョーキングが発生する原因や確認方法、放置するリスクなどを解説しました。
それでは、チョーキングへの対策や補修する際の費用はどうなっているのかを見ていきましょう。
チョーキングの補修について
チョーキングが発生してしまっている外壁に対しては、塗装以外の補修方法はありません。
仮に高圧洗浄などで綺麗に粉をすべて除去したとしても、塗膜自体が劣化してしまっているため、根本的な解決にはなりません。
塗り替えることで塗膜を再形成し、防水機能を蘇らせるしかないのです。
チョーキングの補修は費用がいくらかかる?
上述のように、チョーキングの補修方法は塗り替えしかありません。
つまり、通常通り外壁塗装を行うのと同等の費用が必要となります。
一般的な戸建て住宅の、坪数ごとの費用相場は次の通りです。
- 坪数
- 費用相場
- 20坪
- 約40~70万円
- 30坪
- 約60~100万円
- 40坪
- 約80~130万円
- 50坪
- 約100~160万円
- 60坪
- 約120~200万円
ただし、上記はあくまでも相場価格です。
実際の塗装面積、現在の外壁の状態(劣化状況)、使用する塗料などによって費用は大きく異なるので注意しましょう。
外壁塗装の費用・相場がどうやって決まるのかはこちらで詳しく解説しています。
チョーキングの予防・対策にはラジカル制御型塗料がおすすめ
現在、チョーキング現象の発生を完全に防ぐ方法はありません。
解説してきたとおり、チョーキングは塗料に含まれる「顔料」の劣化によって引き起こされますが、顔料を使用していない塗料は存在しないからです。
顔料が使われている外壁用塗料である以上、チョーキング現象の発生は避けられないのです。
しかし、「ラジカル制御型塗料」を使用することによって、チョーキング現象の発生を遅らせることはできます。
紫外線や雨水や、酸素などが塗料の顔料に触れることで発生する物質を「ラジカル」と呼び、外壁塗膜の劣化を引き起こす劣化因子とされています。
近年は、この「ラジカル」の発生を抑制し、チョーキングが起こりくい「ラジカル制御型塗料」が、シリコン塗料と並んで塗装業界のスタンダードになりつつあります。
費用もシリコン塗料と大きくは変わらないため、チョーキングが気になる方は「ラジカル制御型塗料」の使用も選択肢の一つとして検討してみると良いでしょう。
外壁のチョーキング(白亜化)現象はなぜ起こる? まとめ
チョーキングが起こったまま長期にわたって放置してしまうと、外壁材にダメージが蓄積し、やがて雨漏りを引き起こす恐れがあります。
大切な住まいで長く快適に暮らし続けるためにも、チョーキングに気づいたら早めの塗り替えを検討しましょう。
チョーキングはわかりやすい外壁塗膜の劣化サインの一つです。
「チョーキングの発生原因が〜」といった難しいことは覚えておかなくても全く問題ありません。
しかし、「チョーキングは塗膜の劣化サイン=塗り替えのタイミング」ということだけは覚えておいてください。