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外壁塗装の保証の種類について
一口の外壁塗装の保証といっても種類があります。こちらでは代表的な二つをご紹介します。
外壁塗装業者独自の保証
外壁塗装を行う会社が自社で設けている保証制度です。
施工した工事に対して保証するため、「工事保証」とも呼ばれています。
保証の内容や期間はそれぞれの会社によって異なります。
外壁塗装の塗料にはメーカーが決めた塗料の耐用年数(寿命)があり、使用する塗料の寿命が保証の期間となることが多いです。対象箇所や症状が条件に合えば、行った工事に不具合があった場合に無償で補修を行ってくれます。
ただ業績の悪化などで会社が倒産してしまったりすると、当然保証は受けられなくなってしまいます。
外壁塗装の保証で重要なのは、「どの箇所を保証してくれるか」と「どのような条件で保証してくれるか」ということです。
対象箇所の例:外壁・屋根・附帯部・木部・鉄部
保証の対象(状態):塗膜の剥がれ、膨れや浮き、変色
保証の年数:1年、5年、10年、15年、20年
多くの場合は変色は対象になりません。また箇所によって保証の年数は異なります。
木部と鉄部は剥がれやすいなどのトラブルが発生しやすいためこちらへの保証があるかどうかも確認しておきましょう。
どの部分がどのような条件で保証が受けられるのか、事前に具体的な保証の条件を確認しておくことが重要です。
各塗料メーカーの保証
外壁塗装の塗料を生産しているメーカーが設けている保証もあります。
各メーカーの製品にたいして保証するため「製品保証」とも呼ばれます。
塗料の品質にたいして不備や瑕疵があった場合に塗料メーカーが塗料代を保証します。
メーカーが保証するため、倒産による保証が受けられないという心配がないことがメリットです。
日本の外壁塗料におけるシェアは、日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研がその多くを占めています。
このうち保証があるのは日本ペイントで、「製造ロットで確認できる製造年月日から通常1年もしくは開封時まで」の塗料にたいして、メーカーが定めている正しい過程にて施工を行ったにも関わらず、塗膜の剥がれや膨れなどの症状が発生した場合に保証をしてくれます。
ただ、日本ペイントのダイヤモンドコートは、大手損害保険会社と提携し、業界初の「塗膜保証システム」を提供した「塗膜保証付保険」に加入できます。
この保険は、ダイヤモンドコートで施工した外壁のみでなく、一緒に塗装した雨樋などの附帯部まで塗り替えた場所すべてを保証してくれます。
保証期間は仕様により3〜7年で、最大7年間の保証がつきます。
ダイヤモンドコートは耐用年数が15年、4度塗りで高い耐久性を持ち、上記のような保証が受けられる点が大きなメリットです。
デメリットは塗料そのものが高価なことと、日本ペイントの審査をクリアした認定施工店が加盟できる加盟店でしか施工ができない点です。メーカー保証の保険を希望される方はこうした塗料を使って制度を利用するのも一つの方法です。
詳しくはダイヤモンドコートのページをご覧ください。
この三社以外だと、アステックペイントが塗料の種類によって5~10年の保証を設けています。
メーカー保証はマンションなどの大規模な建物への保証が多く、住宅への保証はあまり多くありません。
実施している会社が少ないこともあり、近くで信頼できる保証内容やアフターケアを実施している塗料店に頼む方がより確実です。
外壁塗装の保証を受けられる主な症状
では外壁塗装で実際に保証を受けられるのはどんな症状なのでしょうか?
こちらでは主な例をあげてご紹介します。
塗膜の剥がれ
塗装をした後に3年以内に塗膜の剥がれや膨れが発生した場合には施工不良の可能性があります。
例えば下地の処理や洗浄後の乾燥が不十分であった、下地にあった塗料を選定していない、メーカー既定の塗り回数などの施工方法を守っていないなどが考えられます。例えば最近の表面に特殊なコーティングがしてある「難付着サイディング」では、決められた専用の下塗り材を使用しないと塗膜が剥がれてしまいます。
塗膜の浮きや膨れ
塗装して3年以内に表面が水ぶくれのように浮き上がっている場合や気泡ができている場合にも施工不良の可能性が考えられます。
塗膜の浮きや膨れは外壁材に塗られた塗料がしっかりと密着しておらず隙間に空気が入り込む場合に発生します。塗料は通常下塗り、中塗り、上塗りの三回塗がスタンダードですが、特に下塗りは外壁材と塗料をくっつける接着剤の役割をしています。
この下塗り材が外壁材にたいして不適切である場合や、下地の傷みがひどく多くの下塗り材を吸い込んでしまい下塗り材が不足している場合など、下塗り材が何等かの原因で機能をしないと塗膜が浮いたり膨れたりしてしまいます。
この二つのケースは経年劣化でも発生するため、塗装から何年で発生したかが重要です。
塗装して1~2年で発生する場合はまず施工不良が原因と考えられます。
外壁塗装の保証を受けられないケース(免責事項)
多くの場合、保証には保証対象とならない免責事項が設けられています。
施工後に発生した症状が下記のことが原因である場合、大体の保証制度では保証を受けることはできません。
一般的な面積事項は以下のようなものがあります。
地震、噴火、洪水、津波、台風、暴風などの自然災害や異常気象に起因する場合
建物の構造上の欠陥、躯体素地、旧塗膜に起因する場合
施工部位以外の発生の場合
戦争、内乱、労働争議、暴動、騒擾(そうじょう)などが原因の場合
施工業者使用材料以外に起因する場合
大気汚染、付着物による汚染
経年劣化によるシーリング材の劣化
引渡し後の施主及び第三者による、不適切な使用方法や改築等に起因する場合
他にもひび割れやコケが生えてきたなども経年劣化や災害によるものか判別できないため、保証の対象とならないことが多いです。
このような免責事項があるのが一般的な外壁塗装の保証です。
むしろ契約ほしさに「なんでも無料で直します!」と謳っているところは逆にあやしいため、どこまでが範囲でどのような事象が保証対象なのかしっかりと事前に確認しておきましょう。
外壁塗装の保証のトラブル事例
こちらでは外壁塗装の保証が受けられずにトラブルになった事例をご紹介します。
どんなケースでトラブルが起こるのか事例と対処方法をあらかじめ知ることで不要なトラブルを避けることができます。
保証書を紙でもらっていなかった
外壁塗装などのリフォーム業界では明確な契約書を交わさずに口約束だけで契約を交わしてゆくゆくトラブルに発生するケースがよく報告されています。
塗装の保証書もその流れで「保証書」として紙でもらっておらず、いざ事象が発生した際に保証書がなかったという場合が往々にしてあります。
特にいつもお願いしている業者の場合は口約束で済ませてしまいがちですがしっかりと書面でもらうようにしましょう。
書面でもらうことで言った・言ってないという不要なトラブルを避けることができます。
いつも依頼する業者でも必ず書面で保証書を発行してもらうようにしましょう。
またはじめて依頼する場合には書面で提出してくれるところは安心感と信頼感があります。
不具合の発生した箇所や症状が保証対象外だった
塗料に不具合が発生した箇所や症状が保証の対象外だったというのはよくあるケースです。
上にも挙げたように、変色やひび割れは多くの場合保証の対象外となっています。内容をよく読んでいなかった場合には、「保証が受けられると思っていたのに断れてしまった」という事態になってしまいます。
附帯部は外壁そのものよりも劣化しやすいため注意が必要です。さらに木部や鉄部は外壁塗装において特に劣化が発生しやすい場所なため、保証範囲に含まれているか保証内容を確認しておきましょう。
このようなトラブルを避けるためにも事前に保証の各要項をよく確認しておくことが重要です。
事前に保証書のサンプルを見せてもらう、不明な点は質問して確認するなどして不明点をなくし認識のすり合わせを行うことでトラブルを避けることができます。
依頼をした外壁塗装が倒産していた
保証書に記載されている事項をすべて満たしており、いざ保証をうけようと思ったら施工を依頼した外壁塗装業者が倒産していて対応してもらえなかったというケースです。
創業時期が浅い会社に起こりやすいです。もちろん若い会社がすべて危ういわけではありません。
しかし創業年数にたいしてあまりに長い保証年数を設けている会社は実績がないという点では信頼性に欠けると言えるでしょう。
基本的に塗料の耐用年数は20~25年であり、現在最も使用されているシリコン塗料で7~10年のため、30年以上の保証などというのはあまり現実的ではありません。
多くの会社の保証年数は10~15年です。創業年数に対して保証年数が現実的な数字かどうかも優良業者を見極める目安になります。
外壁塗装の保証を選ぶ時のチェックポイント
外壁塗装の保証を安心して受けるためにはやはり業者選びが肝心です。
口ではうまいことを並べていても万一異常が発生した際に、なんだかんだと理由をつけて言い逃れをされたり、業者が倒産していては安心できません。
ここでは契約前に外壁塗装の保証を確認するためのチェックポイントをご紹介します。
保証内容は年数ではなく内容で選ぶ
すこしでも長い保証年数は魅力的ですが、これまでお伝えしたようにそもそも外壁のみや屋根のみ長い年数があるよりも、傷みやすい附帯部や木部・鉄部の保証がしっかりしているかで選ぶことも大切です。
また長期保証にひかれたものの話をよく聞いてみると、アフターフォローは別途料金がかかるという場合もあります。
単純に年数だけではなく、保証内容や信頼度など様々な角度から検証しましょう。
保証の内容をしっかりと説明してくれる
外壁塗装の保証について事前にきっちりと説明をしてくれる業者は安心感があります。
きちんとした業者であれば見積書や契約書に保証についても明記しています。
工事内容もそうですが丁寧にわかりやすくこちらのことを考えて説明してくれる業者は、大切な家を任せるのに足る信頼があるといえるでしょう。
こちらが聞かなければ何も言わないような業者には注意が必要です。
アフターフォローがあるとさらに安心
保証だけでなく、アフターフォローがついているかどうかも確認しましょう。
点検の頻度は塗装後1年、3年、5年、7年あたりが平均的です。
多くの業者で行われているアフターフォローは、無料の定期点検です。どのくらいの頻度で定期点検をしてくれるのか、無料で行ってくれるのかどうかを確認しておきましょう。
中には定期的に点検してくれて小さな不具合なら無料で修理してくれるところもあります。依頼をする塗装店がどんなアフターフォローを行っているのか知っておくと安心して依頼ができます。
外壁塗装の保証は事前に確認を!
今回は外壁塗装の保証についてご紹介をしました。
重要なのは事前に保証対象の範囲など保証の内容を確認することと、保証内容を書面で出してもらうことです。
事前に確認をしておくことで不要なトラブルを避けることができます。
そもそも保証というのは万が一の施工不良や製品不良が発生した際に考えるもので、いわば最終手段です。
やはり施行中から施工後まで一貫して信頼できる業者にであえることが第一です。
外壁塗装は塗って終わりではなく塗り替えもあり、長いお付き合いになります。保証よりも次の塗装もお願いしたいか?信頼できるか?で選ぶようにしましょう。
塗装の優良業者を見極めるポイントについては下記の記事を参考にしてください。