よくある手抜き手口11選+番外編
では、これから塗装業者の手抜きの手口をお話させて頂きます。内容は、今現在も全国のあらゆる塗装現場でされている手抜きになります。
また、手抜きの種類とは別に、その手抜きはどれくらいの確率でされているのか?また、見破ることはできるのか?についても、お話させて頂きます。
確率に関しては、私の経験上になりますが、200以上の塗装業者、塗装職人と仕事をしてきた中での数字なので、確率は決して間違っていないと思います。手抜きの種類の後に、その手抜きをされる確率と、見破れるか、見破れないかを、(可能)もしくは、(不可能)等と書いて、その見破り方も簡単に書かせて頂きます。
1 水洗いをいい加減にする
【水洗いをいい加減にする。チョーキング、汚れを落とし切らない】
される確率=100%
見破れる可能性=可能。
水洗い後に、玄関周り以外の外壁を触って、チョーキング、汚れが手に付かないかを確認する。(玄関周りはお客様が目と手に付きやすいため、そこだけはきれいにする業者もいるため)
2 規定の湿度・気温を守らない
【規定の湿度・気温を守らない ※塗装業界の暗黙の手抜き】
される確率=100%
見破れる可能性=可能。その時の湿度、気温を確認する
どのメーカーのどの塗料も、湿度85%以上気温5度以下では塗装をしてはいけない使用になっているが、湿度や気温を守らないで塗装をする。それを守っていたら仕事が進まない。利益、給料が減るため。また、塗装業界の暗黙の手抜きであるため(一般の方はほとんど知らないため、昔から今現在も、暗黙の手抜き工事となっている。今は各塗料メーカーのホームページにもちゃんと記載されてはいるが、一般の方はまずそこまで調べない)
3 塗料を規定以上に薄める
【塗料を規定以上に薄めてたくさんの面積を塗る】
される確率=30%前後
見破れる可能性=ほぼ不可能。その塗料の希釈率を調べる事と、常にお家にいて、職人が塗料を作る度に、希釈率を計算して秤でちゃんと測っているかを隣で見る事ができれば可能
4 無理やり塗料をこすりつける
【塗料を無理やりこすりつけてたくさんの面積を塗る】
される確率=10〜30%
見破れる可能性=ほぼ不可能。よーく見れば、下地が透けている事も多いが、上塗り2回目を塗られたらなかなか透けることはない。劣化症状は早くに出るが、お客様もその劣化症状に気付かない人も多く、また、気付いたとしても、こんなものかと納得してしまうため
5 中塗り・上塗りを省略する
【下塗りとは別に、中塗り、上塗りと2回塗らなければいけないものを、1回しか塗らない】
される確率=業者が下請けか、自社請けかによって確率に幅がある。下請けの方が確率は高い
見破れる可能性=ほぼ不可能。お家に常にいて、工事の進み具合を常に観察できれば可能。また、技術がある職人ほどわかりづらく1回できれいに塗るため、技術がある職人ほど、塗り終わった外壁を見ただけでは難しい
6 下塗りを省略する
【下塗りを塗らない】
される確率=5%前後
見破れる可能性=下塗りのタイミングにお家にいて、工事をよく観察できれば可能。確率が低い理由は、塗装業界でも最悪の手抜きと見られているため、この手抜きをする業者は比較的少ない
7 希釈が必要な塗料を全く希釈しない
【希釈が必要な塗料でも全く希釈しないで塗装する】
される確率=5番目の手抜きと関連あり
見破れる可能性=不可能
8 塗料が乾燥しきっていないのに重ね塗り
【塗り終わった塗料が乾燥しきっていないのに、重ねて2回目、3回目と塗る】
される確率=70%以上 寒い季節になればなるほど確率は高まる。気温が低いと乾燥に時間を要するため、作業の待ちの時間を作る事を嫌がり、確率はもっと高まる
見破れる可能性=ほぼ不可能。常にお家にいて、工事をよく観察する事や、ご自身の手で外壁を触って、塗り終わった外壁の乾燥度合いを確認する事ができれば可能
9 2液型塗料の比率を守らない
【主材、硬化剤とセットになっている2液型塗料の比率の割合(7対1 、 9対1等)を、計算機で計算せず、秤でも計らず、自分の感覚で入れて混ぜて使う。】
※建築業界は、学生の頃に勉強してこなかったという職人が多く、計算ができない、計算式もわからないという職人が非常に多い。そのため、計算機アプリがあっても、そもそも計算式がわからないため計算できない事と、計算できる職人であっても、めんどくさがって計算して秤で計ることをしない。
される確率=90%以上
見破れる可能性=ほぼ不可能。使用される塗料がセットの2液型塗料である事を知っておく事と、職人が毎回塗料を作る度に、計算機を使って比率を計算している所を確認する事や、秤でちゃんと測っているかを隣で見る事ができれば可能
10 下塗りを角までしっかり塗らない
【手間がかかって面倒なため、下塗りを、サッシ周りや、軒天の角までしっかり塗らない。】
される確率=80%
見破れる可能性=不可能
11 下地処理をしない
【下地処理をしない】
される確率=下請けか、自社請けかによって確率に幅がある。下請けの方が確率が高い
見破れる可能性=お家にいて、工事初期によく観察する事ができれば可能
番外編(度が超えている事と、確率も少ない。私はそれぞれ1度ずつ目の当たりにした事のある手抜き)
12【番外編】高級塗料の空缶に安価な塗料を入れ替える
【グレードの高い塗料の使い終わった空缶に、グレードの低い安い塗料を入れてグレードの高い塗料と見せかけて使う】
される確率=1%以下
見破れる可能性=不可能
13【番外編】下塗りと中塗りを混ぜて一度で塗る
【下塗り塗料と中塗り塗料を混ぜ合わせて使い、「下塗りと中塗りをいっぺんに終わらせた」とする】
される確率=1%以下
見破れる可能性=工事初期によく観察できれば可能
以上、塗装業界の手抜きの手口11選+番外編でした。
手抜きの慣習化と業界の暗黙ルール
以上の、手抜きの手口11選については、今現在もあらゆる塗装現場でされています。これは、みんながみんな、これらの手抜きを全てやっている、という事ではなく、「うちはこの手抜きはしていないけど、この手抜きはしている」というように、業者毎にそれぞれしている手抜きの種類や数は違います。
しかし、1番と2番の、確率ほぼ100%のものは、ほぼ皆、どこのどの業者も守っていない手抜きになります。特に、2番の、湿度や気温によっては塗装をしてはいけない、という手抜きは、塗装業界では、暗黙の手抜き工事になっています。
全国には、守っている業者も当然いるでしょう。しかし、その数は本当にごくわずかであり、全体としてはとても少ないです。塗装業者の多さ、母数の多さから言えば、そして私の経験から言ったら、ほぼ100%守られていない手抜きが、1番と2番です。
大手ハウスメーカーの現場の実態
これらの手抜きは、大手ハウスメーカー、街の塗装業者等、関係なくされています。むしろ、大手ハウスメーカーの方が確率は高いです。
この大手ハウスメーカーの、塗装の話についても次の章でさせて頂きます。
「誰もが知る大手上場企業のハウスメーカーが、そんな事をするはずがない!」
と驚く事でしょう。しかし、考えたら誰でもわかる事です。大手ハウスメーカーは指示していなくても、大手ハウスメーカーから安く工事を請け負っているのは、名も無い街の下請け塗装業者です。大手ハウスメーカーの、様々な手抜き工事の塗装現場を、私は過去、たくさん手伝ってきてしまいました。事実として、手伝いに行った大手ハウスメーカーの現場での手抜き率は、経験上100%です。次の章で、この大手ハウスメーカーの実態について、お話させて頂きます。
そして、番外編に関しては、明らかに度が超えてはいますが、しかし、先の11選の手抜きについても、どれも業者の利益であり、詐欺である事には変わりありません。もちろん、どの手抜きも耐久性も劣ります。
この手抜きは良くないけど、この手抜きならやってもいい、というのもおかしな話だと思います。各業者毎に、それぞれの正義と、それぞれの妥協するところは違います。
今の私は、何一つ、一切の手抜きをしていませんが、しかし私のように一切の手抜きをしない塗装業者、塗装職人はとても少ないのが現実です。また、そういう手抜きをする業者と、手抜きをしない業者を見極める事も、不可能と言っていいでしょう。なぜなら、業者はみんな良い顔をしてウソをつくからです。
また、1番と2番の、100%される手抜きは、100%見破れもしますが、しかし見破る事はほぼ不可能な手抜きもたくさんあり、やはりいくらでも手抜きはできてしまいます。
手抜き防止のためにできること
しかし、これらの事実や手抜きの種類を知らないよりは、知っている方が塗装業者に対する牽制にはなるはずです。
塗装をお考えの方は、塗装業者にこちらの記事を読んでもらうのもいいと思いますし、手抜きの手口11選をコピーして渡して、「これらの手抜きをしない事を約束してほしい」というのもいいと思います。
業者に、何も知らない人と思われるよりは、お客様も知っている方だ、と思われた方が絶対にいいです。
ただ一点だけお伝えしたい事は、業者を疑い続けるのもまた違うという事です。疑い続けるのはお客様も疲れますし、疑われ続ける業者もまた、いい気持ちでは仕事をできません。疑い続けたところで、いくらでも手抜きはできてしまうものです。最終的には、業者を信じるしかありません。だから、
「良い業者かどうかは、選ぶ人の運次第」
なのです。
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