外壁塗装のチラシの落とし穴
新聞折込や郵便受けに入っている外壁塗装のチラシですが、外壁塗装〇〇円!と安く塗装できるように書かれています。魅力的な文句も多く、探すのも面倒だからこのままここに依頼したいなと思われるかもしれません。
しかし外壁塗装のチラシにはいくつか落とし穴があります。
チラシに書かれている塗装の金額そのままでは工事できないことが多い
すべてではありませんが、実はチラシに記載されている金額そのままでは塗装できないことが多いです。
理由1:シーリング工事が含まれていない
なぜかというと、まず一つはシーリング工事費用が含まれていないことが多いためです。
シーリング工事とは、外壁と外壁のつなぎ目、ジョイント部分を埋めて高度な防水性・気密性を持たせる工事です。これを行うことで隙間から雨水などの侵入を防ぐことができます。また地震や強風の際に目地の動きに合わせてシーリング材が柔軟に追随、伸び縮みをすることで緩衝材としての役割を果たします。
シーリングは建物を水や衝撃から守る大切な工事です。
外壁塗装のチラシにはこのシーリング工事が含まれているかどうかしっかり確認しましょう。シーリング工事の費用が極端に安い場合にも手抜き工事の恐れがあるため注意をしてください。
理由2:見本金額の塗装面積が小さい
一見安く見える塗装の金額ですが、よく見ると塗装対象面積が「~80㎡」や「~100㎡」となっていたりします。
80㎡の外壁面積は坪数では約20坪、100㎡の場合は約25坪です。
注文住宅の平均坪数は、約37坪、建売住宅で約30坪なので、かなり小さめの住宅を対象とした価格になっています。
このように一見安く見える金額に見えるけれども自分の家に当てはめると、全然違ったということもあります。
チラシの表紙されている金額を超えた場合は、割高に塗装単価で請求されてしまう…などということもあり、見積をとったら倍近い値段になってしまったなどというケースもあります。
理由3:付帯部塗装が含まれていない
チラシに記載されている「外壁塗装」がどこまで含まれているかは注意が必要です。
外壁塗装は外壁のみでなく、屋根の下にある軒の裏側部分(軒天)や、破風板、雨樋、庇、シャッターボックス、雨戸などそれぞれ別に塗装をする必要がある部分があります。こうした部分をまとめて付帯部とよびます。外壁を塗装する際にはこうした付帯部も一緒に塗装をしないと色の差が歴然としてしまいます。
チラシの記載に「外壁塗装〇〇円」のみでどこが含まれるか記載がない場合にはこの付帯部が含まれず、あとからオプションで費用がかかり結局高額になってしまったという場合もあるため、事前にどこまで含まれるか確認しておきましょう。
チラシを見て依頼・契約するとクーリングオフの対象外
いったん契約をした後でも、不安になったり悪徳業者と判明した場合には解約できるクーリングオフ制度が存在します。
ただクーリングオフが適用されるためには色々な条件があり、訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入、特定継続的役務提供(定期的。継続的な高額サービスの提供。エステティックサロンなど)の契約にたいしては契約から8日間は無償で解約が可能です。
ここにはチラシが含まれていないように、チラシを見て自分から連絡をとって見積依頼・契約をした場合にはクーリングオフの対象外になってしまいます。
業者によっては無料でキャンセルしてくれるところもありますが、悪徳業者の場合には高額なキャンセル料をとられてしまうことがあります。
チラシを見て契約をする際には慎重になることが重要です。
悪徳業者もチラシを配っている
ポストの中には日々色々なチラシが投函されています。チラシにいいイメージがない方もおられるかもしれません。
しかしチラシを配布する塗装業者には、昔から地域で活動しているいい塗装業者もいます。
その反面、中には低品質な工事を行う悪徳業者も存在しているのも事実です。
慎重に見極めることで、有名ではないけれども地元で活動する優良塗装業者に出会える可能性もあるため情報の見極めが大切です。
ここに注意!信用できない外壁塗装のチラシ
提示されている金額が相場に比べて高すぎたり安すぎないか
外壁塗装は一緒に何度もする工事ではなく、また壁全体を塗り替える大規模な工事のため高額になりがちです。
約30坪の家の場合、塗料や築年数によりますが約60~100万前後、外壁・屋根も一緒に塗装すると約100~120万前後が相場になります。
「安ければ安いほどいい」そんな消費者心理をついてくるのが悪徳業者のチラシです。
「外壁塗装74万円」
「外壁塗装50万円ポッキリ!」
の二つがあれば50万円の方に惹かれてしまいますよね?
「安いとなぜだめなの?」と思われるかもしれませんが、安すぎるものには必ず裏があるものです。この裏を探ることが悪徳業者を見分けるために必要です。
外壁塗装の金額は、塗装面積に対する塗料代、職人の人件費、足場代、会社の利益に加えて直接施工をしないハウスメーカーなどは中間マージなどの手数料という内訳になります。良い工事をするためには最低限かかる金額というものがあります。例えば塗料代や人件費を削ることはできません。
最低限の売り上げや必要経費を確保しないと赤字になってしまいます。
相場の金額よりも安すぎる場合には、本来三回塗りのところを一回しか塗らない、薄めて三回塗る、手抜き工事で人件費を削減するなどどこか必要なところを削っている場合が考えられます。
たとえばスーパーのチラシのように、「これは適正に安いな」と判断できるのは、普段私たちがそのものの値段を知っているからです。
外壁塗装の値段は色々な要素によって決定され、現在の外壁の状態によっても変わってくるため固定の金額がなく、相場のわかりづらい工事です。
しかし複数見積をとる、いくつかチラシを比較検討するなどして相場を知ることで値段の安さだけに騙されてしまうことを避けることができます。
坪パックで金額が記載されている
よく見る「シリコン塗装 〇坪 〇〇円」という表記には注意が必要です。
この坪数が延べ床面積なのか実際に塗装する面積なのか判断ができません。
それに同じ坪数でも壁面積が異なるケースもあります。
外壁塗装は外壁材によって塗装できる塗料が決まってきます。
他にも現在の下地の状態によって価格も変わってくるため外壁塗装の金額は単純に坪数だけでだすことはできないのです。
そのため同じ坪数=同じ金額とは限りません。チラシで見せている金額はいかに安くみせるかが勝負なところがあります。
前述したように、まずそのまま金額では塗装できないと考えた方がいいでしょう。
足場代サービスには注意
「足場代サービス!」と聞くとお得な感じがしますよね?
足場代は通常約1㎡あたり700~1,500円前後のため、一般的な約30坪の家の外壁塗装の場合、約15~20万程度かかります。
それだけの金額をサービスしてくれるのは大幅な値引きです。足場は専門的な工事のため、多くの塗装業者は外注をしています。
一般的な優良塗装業者の外壁塗装における利益率は25~35%です。60~70万の工事の場合、15~20万の足場代がほぼ相当します。
自社の利益率をほぼ削ってまでサービスする会社はほぼないでしょう。
一部の業者では社内に足場と足場を組み立てる資格をもった職人を抱えており、安く足場を提供できることもありますが全部タダというのは考えにくいです。
その分どこかの工事費用を削っている可能性が高いか、元々高額な値段設定からサービス分を引いて利益がでる価格にしている可能性もあるため、「足場代サービス」とあった場合どうしてそれが可能なのか検証することが重要です。
高額な割引キャンペーン
他にも「半額!」や「〇〇%オフ」など大幅な値引きをしている場合にも注意が必要です。
上の足場サービスと同じように、あまりに高額な割引はその分手抜き工事をされている可能性があります。
「即日契約で半額」のようにこちらに考えさせる時間を与えず契約を迫るような文句には注意が必要です。
「モニター価格」もモニターになるだけで工事が大幅に安くなるのは危険です。そもそも何のためのモニターなのかそんなにお客様がいないのかよく確認をしましょう。
スタッフ(職人)の写真が載っているか
所属するスタッフ(職人)が乗っていないチラシには注意しましょう。
地域で活躍していて、実際に施工する親方や職人が在籍している場合、ふつうは写真を掲載します。その方がインパクトがありますし、「この人が施工してくれるんだ」と安心感があるからです。
なにも写真が乗っていないチラシは実体のない悪徳業者の可能性があります。
ほかにも所属するの職人がおらず、下請けに丸投げしている訪問販売業者や代理店ということもあります。
訪問販売業者や代理店は自社で施工しないため、下請けに出し、その分中間マージンが発生して工事費用が高額になるか、同じ工事費用でもマージンの分、自社で施工する会社よりも品質が下がります。
スタッフの項目に「一級塗装技能士」など専門の資格をもっと人がいるかどうかもチェックしましょう。
資格をもたなくても技術や経験のある職人は多いですが、一つの目安になります。
外壁塗装のチラシのチェックポイント
塗料の商品名を確認する
チラシには「シリコン塗料、ラジカル塗料」とだけよく記載されていますが、メーカーや商品によって価格や耐久年数、性能が大きく異なります。
そのため塗料の商品名など詳細な情報が記載されていないチラシの情報だけでは、掲載されている価格が正確なのかがわかりません。
チラシの記載されている外壁塗装工事の詳細や、正確な価格を把握するためには、工事に使用される塗料を確認する必要があります。
地元の業者かどうか住所や運営元をチェック
最近では外壁塗装業者だけでなく、様々な業態の業者が塗装業界に参入しています。
チラシを配っているのがどんな業態なのかをチェックしましょう。
チラシを配布する外壁塗装の業種には様々あり、主なところでは
・大手ハウスメーカー
・リフォーム業者
・地元業者
・ホームセンター
・訪問販売会社
があります。このうち、大手ハウスメーカー、リフォーム業者、ホームセンター、訪問販売会社は自社に塗装職人を抱えていることがほとんどないため、塗装は外注となり、中間マージンが発生して費用が高くなりがちです。全国展開している大手は一度にたくさんの受注をとって施工はその時空いている下請けに振り分けるため品質が安定しません。
チラシの業者が気になった場合、記載されている所在地を確認して地元の塗装専門の業者であるかどうかを確認しましょう。
地元の専門店の場合は大抵地域密着で営業をしています。
地元で営業を続けていくには信頼が必要です。悪い評判が広まってしまうとその地域での営業は難しくなってしまうからです。
大抵は小さな店が多く、こつこつと信頼を重ねて地元の人から受注をとっている店がほとんどです。
そのため優良な塗装専門店は、誠実にしっかりとした工事を行うことを何よりも大切だと知っています。
チラシの塗装店が気になったら業者の種類や、地元の塗装専門店であるかどうか確認しましょう。
またネットで住所を検索して実際に存在している会社なのかも確認しておくと安心です。
保証やアフターフォローをチェック
もしも施工不良があった場合に、自社の工事を保証してくれる保証制度があると安心ですよね。
本当にいい塗装は、2~3年たっても美しさや丈夫さを保ち、外壁をしっかり保護してくれるかで決まります。
施工不良があると塗装して3年以内に塗装が剥がれてきたなどという不具合が発生することがあります。
保証制度をきちんと設けている会社なら、万一工事に不具合があれば無償で修繕をしてくれます。アフターフォロー制度があれば、定期定検など塗装工事が終わったあとでも状態をこまめにチェックしてくれる会社もあるためさらに安心できます。
保証やアフターフォローを明確に記載している会社は、自社の工事に自信と責任を持っている会社とも言えます。
チラシに記載されているかどうかチェックしてみましょう。
外壁塗装の保証について詳しくはこちらもご覧ください。
ホームページや口コミをチェック
チラシは多くの場合A4やB4サイズに情報を記載しますので、紙面の問題ですべての情報が載せられないことも多いです。
そのためチラシを見て気になった会社があれば、ネットで検索してホームページがあればこれまで実際にどんな工事を行ってきたのか施工実績があるかどうか、そして実際に利用した人の口コミもチェックしておきましょう。
外壁塗装のチラシのチェックポイントまとめ
外壁塗装のチラシはけしてすべてが悪い塗装業者というわけではありません。
中には地域に根付いた塗装専門の誠実な業者もたくさんいます。
ただ中には安さという数字だけで契約をとろうとする業者もいるため注意が必要です。
チラシに書かれていることを鵜呑みにせず、ご説明したように安さには必ず理由があるため根拠を求めることが重要です。
業者選びは大変なのでついつい安さに惹かれて契約したくなってしまいますが、「今だけ!」などの契約をせかす文章に騙されず、冷静に一度立ち止まって考えながら慎重に選んでいきましょう。
値段で即決するのではなく、普段からチラシを集めて比較検討し、面倒でも相見積もりを何社かとって相場を知ることが成功する外壁塗装の秘訣です。
外壁塗装の悪徳業者の見分け方についてはこちらもご覧ください。